偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
2週間弱にも及ぶ外出は思っていた以上に負担だったようで、昨日寮に戻ってからはみんな荷物の片付けもそこそこに泥のように眠った。
かく言うアタシもその一人で流石にゲームに手を付ける気にもならなかった。
とは言えもう夏休みは残り1ヶ月を切っている。Fes×LIVEに向けての準備とか新曲とかラブライブ!出場に向けてとか色々とやらなければならないことが山積みなのだ。
「姫芽ちゃん、ちょっといいかな?」
そんな風に目覚ましの音と責務との格闘をしていたところにいずみんが訪ねてきたのでアタシは今日もまた自分の睡魔との勝負に勝つことが出来た。や、別にいずみんか来なくても勝ってたけどね。
Tシャツショーパンという寝間着のままだけど、遠征中散々お互いに見た姿だし、今更かと髪の毛だけ手櫛で落ち着かせていずみんを部屋に入れた。
いずみんは格好こそジャージを着たラフなものだが、朝からパリッと目が冴えているようで、昨日までの疲れの色など全く見せないのは流石の一言だ。
「珍しいねぇ。どしたん?」
「ちょっと対戦したくてね」
「? というと?」
「月末のFes×LIVEについてなんだけど、私の新曲に姫芽ちゃんにコールを入れて欲しいんだ」
根がしっかりしているいずみんは遠征中も隙を見ては新曲の制作を進めていたようだ。
今年は色々な事に挑戦したいといういずみんは強調については特に軸を定めていないようで今回はラップ要素を取り入れる様だ。いわゆるfeat.姫芽という形での参加になる。
「せらりんじゃなくていいの?」
「この曲は高めあう、という感じの曲だ。なら姫芽ちゃんとやってみたいとそう思ったんだよ」
「それはまた、いずみんってアタシのこと好き過ぎじゃないかにゃ〜?」
「そういうことにしてよ。令沢君にも見せつけてあげようじゃないか」
ああそういうこと、と感心してしまった。
みらくらぱーく!として今年の私の相方は葵ちゃんだ。ただ、アタシも葵ちゃんもそつがないタイプなのでそれが却って関係性に距離を作っているように思える。仲が悪いということは決してないのだが、ビジネスライクな感じが否めない。ラブライブ!優勝を目指す目標は共有しているけれども、あの子のことを掴みきれていない。
いずみんとコンビプレーすることでちょっとした化学変化があるのなら、くらいの気持ちは持っててもいいかもしれない。
「目が冴えてきたぜ〜」
「それは良かった。これは一緒に朝食どうかな?」
「お供しますとも」
自分のタスクがまた増えた気がしないこともないけれどまぁそれはそれだ。
面白いことは楽しんだもの勝ち。これも一つの勝負。対戦、よろしくお願いします。