偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
『With×STATION 告知』
みなさんこんばんは。セラス・柳田・リリエンフェルトです。
早くも8月も中旬。世間はラブライブ!フェスのお知らせで夏の暑さも忘れている頃でしょう。そんなみなさんには夏を思い出して貰いましょう。そう、Fes×LIVEで。
大きなお知らせにうつつを抜かして忘れていた、なんてまさか言わないですよね?蓮ノ空が夏にFes×LIVEをやらないなんてことある筈ないですから!今年もやりますよ、やりますとも。いつものあの徳光海岸で。
恋人達が一夏の思い出に愛を刻みにくる彼の地で、ご機嫌なスクールアイドルミュージックを轟かせてやりましょうじゃないですか?
え?空気読め?任せてください。私達のライブを浴びれば絶対忘れられない一夏の思い出が出来上がりますから。
8月30日(日)、8月最後の休日を私達と一緒に過ごしましょう。それでは今日はここまで。ポチッ
本日の配信は終了いたしました
ご視聴ありがとうございました
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徳光海岸へのアクセスは車でなければ難しい。
そのためFes×LIVE当日は臨時のシャトルバスを手配しているのだが、流石に今日のように挨拶回りの場合は当然そんなものはない。
松任駅まで電車で行き、そこからタクシーで乗り継ぎだ。
住宅街と田んぼを抜けどこまでも続くかのように横に長い砂浜がある海へと出る。徳光海岸、正式には徳光海水浴場だ。
ここまでの導線で分かるように催し物を開催する場所としてはマイナーな場所となる。そういうところでは瞬間的に大勢の人が動くことに街が慣れていないのだ。
会場までの道一つとっても徒歩では現実的な距離じゃないしバス停も近くには無い。
会場周辺にはパーキングエリアがあるだけなのでトイレの数も心もとない。
そういった問題点を洗い出して対策を打ち、はじめてイベントの開催が成立するのだ。シャトルバスの件もその一つ。
仮説トイレの設置や臨時のドリンク販売、誘導員の配置など例をあげればキリがない。そんなノウハウを先人が作ってくれているので私達ブラッシュアップとそのノウハウを絶やさないことに力を入れるのだ。
今日の挨拶回りだってその一環だ。
スクールアイドル後援企業や施設が協力してくれるからこそ私達スクールアイドルのステージは成り立つ。バス会社や建機レンタル会社、特に徳光海岸に近くのパーキングエリアには当日お世話になるので事前・事後に打ち合わせやクレームの有無の確認など手を抜くことは許されない。
「そのあたりは去年はさやか先輩が説明担当、花帆先輩が挨拶担当って感じでツーマンセルで動いてたんだよね」
「適役ですねそれぞれ。なら今年は吟子・・・部長が説明と挨拶担当ですね」
「後ろでニコニコしてれば良いなんて私は言わないよ、セラス」
「確かに、私の愛嬌を使わないのは勿体ないですもんね。いいでしょう。挨拶担当は任せてください」
「釈然としないんやけど!」
なんやかんや言いつつ私も分かっている。吟子部長は今から来年を見据えて私に引き継ぎしているのだ。スクールアイドルクラブ唯一の2年生である私に。
「こういうノウハウも伝統だよ」
「吟子部長っていつもそうですね・・・!伝統のことなんだと思ってるんですか!」
「いや伝統でしょ」
吟子部長とのお出かけの度にするこんな他愛ないやりとりが繰り広げられる。明日を待たずに忘れてしまうような内容のない雑談。私と吟子部長だけの特別な時間。
吟子部長としては部の事を少しでも私に伝えたいと思っているだろうけど、私は義務感だけの時間にしたくないと思っている。
そんな私の気持ちを知ってか知らずが私の減らず口に付き合ってくれる。この距離感が・・・まぁ嫌いではない。