偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
二週間もすれば体にリズムができはじめ、寮生活、学校生活ともに良い意味で慣れ始めた。だからもう1つくらい、慣れるものが増えても良いだろう。
「それでは入部を祝しましてーーーー」
「・・・これ自分達でやること?」
私、錦上マイカと令沢葵は昨日スクールアイドルクラブに入部した。
もともとスクールアイドルクラブに目的があって来た訳だし順当といえば順当。迷いが無いわけでもなかったけど一先ず初志貫徹できたのは我ながら褒めてもいいと思った。
「良いじゃん良いじゃん。節目ダイジニだよ」
「入学式の日も、初めて部活体験した日もやってたよね?」
「良いことは何回やっても良いの」
毎度のことながら調子の良いことを言って部屋に突撃してくる葵についつい小言を言ってしまうけれども、まぁ今回は私もちょっとした達成感があるから良いか、とDr Pepperを注いだグラスを持つ。本当はピンクMONSTERが好きなのだけどあれは目が冴えすぎるので本当に眠気を飛ばしたい時以外は飲まないようにしている。
「じゃ改めまして乾杯」
葵の持ったグラスとグラスを合わせた。
スクールアイドルになった。なれた。漫画の主人公みたいに普通普通詐欺ではない。本当にごく普通の私がだ。
「私達がスクールアイドルだってね」
「なんかむずむずするね」
望んだその日から誰でもスクールアイドルになれる。そう言われているけれどもやはり実際の部活動に所属するとなると実感が違う。
「で、スリーズブーケに入るの?」
「そうしたい」
ごく普通の日野下花帆が特別になった場所。そこにいれば私も何かが変わるかもしれない。
「葵は?」
「Edel Note」
「去年の限定じゃん」
「知ってる。まだ検討中かな」
葵の難儀な所が見え隠れしている。手に入らないものを欲しがってしまう。一つ手に入れたら更に欲しくなる。どこまでいっても満足出来ない。そんな欲が。
「まだ私達以外にも新入生くるかもだしね」
「どうだろうね?」
スクールアイドル生活がどんなものになるのか?一つずつ丁寧に教えてくれたけど途中で方向性が変わってしまった子が結構いた。
カメラを回すことに興味が出てしまった子。衣装作りにハマってしまった子。大道具にこだわりたくなった子。
スクールアイドルはある意味総合職。その中で関わる専門分野にこそ惹かれてしまう子は毎年いるのだと聴いたことがある。
体験入部のフローチャートを最後までやりきった人の中でも別の部活に行った人がいたくらいだ。
現状は私と葵の二人しかスクールアイドルクラブに入部していない。
「他の人がどうなるかは置いておいて、ユニットを決めたらいよいよ次はいよいよOPENING!Fes×LIVEだよ」
現地ライブと生配信ライブ。その記念すべき最初の一回目だ。
普通の私がステージに立ったら他の人から見たらどう映るのだろう?