偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
『With×STATION ASMR』
みなさんこんばんは。蓮ノ空女学院1年の錦上マイカです。本日もよろしくお願いします。
はい!3年生の徒町小鈴です。なにとぞ、よろしくお願いします。
本日はこの二人でお送りします。
マイカちゃん!やっと一緒に配信やれるね。私楽しみにしてたんだよ。
あ、ありがとうございます。頑張ります。
うん。でもね、今日は程々に頑張って欲しいんだよね(小声)
ASMR配信だからですか?(小声)
そうそう。マイカちゃんは声"も"良いからやって欲しいってお便りが沢山来ててね。久し振りにやりたいなって思ってたところだったから是非にと。
恐縮です。頑張ります。
うん。ほどほどにね。えーっと、お便りにはやって欲しいセリフとかもあって・・・
え、これですか?意味が分からないんですけど。
うん。お願い!
・・・じゅ〜、じゅ〜(小声)、これなんなんです?
ベーコンを焼く音、という建前で耳に息を吹きかけられているシチュエーション、だって。
はぁ、よく考えますね。
私じゃないからね!次行こ!
え〜・・・おはよ(小声)
なんか朝食作ってから起こしてくれる、みたいなストーリーが出来てる!?
長くなりそうなので続きはまた、次回・・・いや、いつか。
それ、絶対やらないやつだよねーーーーーー
はい、ポチッ
本日の配信は終了いたしました
ご視聴ありがとうございました
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Fes×LIVEまで1週間。何の因果か最近は本当に天気が悪く、またしても中止の可能性を視野にいれなければならないと部内で話し合いが行われている。特に今回は海岸線の特設ステージだ。もろに天候の影響を受けるので今回は本当に中止になる可能性が高い。
「そうすると現地は中止して、配信では前のFes×LIVEの時に緊急で収録したFes×ReC:LIVEを流す形になりますか?」
部室の空気は重い。前とは違い設営の関係もあるためギリギリまで粘るという選択は出来ないからだ。無茶すれば事故に繋がる。
「ある意味、収録が無駄にならずに済んだとも言えるね」
いつかお披露目する日が来ると思っていたものが予想よりも早くその日が来たのは誤算だけど。
「言いにくいが、今回は新規収録とかする余裕は無い。衣装周りとパフォーマンス精度を犠牲にするなら別だけどね」
桂城先輩は現実的な結論を口にする。
「安全が第一。そして妥協はしない」
あまり悠長に議論をしている時間は勿体ないとでも言わんばかりに百生部長が一喝する。
諦め、というより妙案あるようなちょっとイタズラっぽい表情で。
「ただ収録したものを流しても前やったFes×LIVEの内容のままになるから、副音声でオーディオコメンタリーをしよう」
今回は決行か中止かの判断は2日前までが限度だろう。それまではやるつもりで準備するため収録した映像に新しく何かを組み込む時間は無い。が、即興で声なら届けることができる。
それならばスタジオを借りて副音声用の配信窓で同時生配信すれば済む。
配信用のスタジオなら2日前ならまだレンタルが間に合う。
「アタシ達って本当に諦め悪いよね」
「先輩方からそう教わったので!」
そう笑い合う先輩達の様子に、はじめて出会った時のことを私は思い出した。
誰かが頑張ればなんとかなるものを、なんとかできる自分達がやって道を作る。そうやって荷物を抱えて坂を駆けていた先輩達の姿を。
「余裕なんて中々出来ないんですね」
「だからやれることをやるんだよ」
そんな先輩達を見て一緒に荷物を抱えて坂を走ったのは自分だ。それは今も続いている。