偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
私の初めての後輩がしっかりと仕事をこなした。そこからバトンを渡されたなら仕事を最高の形にしてみせるのが先輩の役目だ。
みおんから詞を貰って作編曲をしてようやく形になった。
実際、詞先で曲を作るとなると詞が雄弁にリズムを語ってくれるので感覚としては編曲の割合が大きい。だからこそ"完成"まで漕ぎ着けられた。
「そういうわけで、上納します。小鈴先輩」
「うん。苦しゅうないよ!なんてね」
朝練をしてから一度身支度を再度整えてから私は部室に急ぎ、一番乗りしている小鈴先輩に完成の報告をする。
小鈴先輩は早速パソコンにデータを落とし込むと完成した曲を再生した。
「うん。聴いてたイメージが形になってるね!凄いよ!」
衣装制作の兼ね合いもあるので方向性とかは予め進捗報告していた。詞も曲もイメージした通りだと思う。
「DOLLCHESTRAに新しい色が加わったね」
小鈴先輩はしみじみとそう言った。
それもそうだろう。去年は夕霧綴理先輩という色が抜けたという喪失からのスタートだったのだ。今年はもちろん喪失もあったけれども増えたものの方が多いのだ。それを嬉しいと受け取ってくれていたら私は嬉しい。
「だけどこれは驚く人も多いかもね」
「驚かせましょうよ。私達はの場所はここだと知らしめてやりましょう」
苦笑する小鈴先輩に私は作曲作業のランナーズハイが続いているからか強気に返す。
今年のDOLLCHESTRAはこれだと世界に響かせるのだ。
「これがベースになって来年からまた繋がっていくんだ・・・」
もう来年の、小鈴先輩のいないDOLLCHESTRAを想像するなんて早いです。とは言えなかった。もう4つある季節のうち2つは終わろうとしているのだから。
「・・・衣装のイメージはもしかしたらもう少し強気でも良かったかもしれないね」
小鈴先輩は部室のラックに掛かっているハンガーからカバーを剥ぎ取ると鮮烈な赤色をした衣装が姿を現した。
「これ小鈴先輩が用意したんですか!?」
「手伝ってもらったりはしたけどね。でも曲聴いてもう少し強そうにしてもいいのかなってね」
「なら、装飾を増やしてみますか」
ベースを変えるような時間は無いし、それならアクセントを追加するくらいのものが良いだろう。
「じゃあ、今日は午後からアクセサリー探しに行こうか」
「はい!」
午前中は早速新曲の歌割りや振り入れといった実践的な練習だ。今日中に基本形を作って明日からはひたすら通し練習になるだろう。
中止になるかもしれないFes×LIVE。しかし、私達は私達に出来ることを精一杯取り組むことでしか抗うすべを知らない。