偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
『With×STATION 夏制服』
みなさんこんばんは。蓮ノ空女学院104期生の百生吟子です。本日もよろしくおねがいします。
早いもので夏休みも最終日。明日からは新学期が始まります。9月からは衣替えになりますので私達3年生の夏服はもう見納めになりますね。
え?改めて見せて欲しい?お気持ちは分かります。蓮ノ空女学院の制服って良いですもんね。では僭越ながら・・・くるくるくる〜じゃん。
ワンピースタイプのセーラーって昨今中々見ないと思うのですが、このデザインですよ。天才的だと思います。
女子高校生ともなるとスカート丈を短くしたいって子も中にはいるんですけど、この制服はそのまま着るのが体格関係なく一番よく似合うように出来てるんですよね。それこそあの藤島慈先輩ですらアレンジせずに着てましたから。
特に夏制服のこの絶妙な青みがかった白色が良いですよね。涼やかで。しかもこの色って機能的な面もあって、ちょっとした黄ばみを目立たなくするんですよ青って。3年間実用に耐えられるようにって設計思想がまた良くて。まぁ、お料理こぼしたりしたら目立つので諸刃ではあるんですけどね。
さて、では私の夏制服での配信は今日で最後になります。録画配信なので今週中くらいはまだ他のメンバーの夏服は見られると思うので、残暑と一緒に楽しんでいただければ幸いです。
それではまた赤の実る秋にお会いしましょう。ポチッ
本日の配信は終了いたしました
ご視聴ありがとうございました
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Fes×LIVEを中止したとは言えするべき事は変わらない。セラスを連れて徳光パーキングエリアに挨拶をしてきた。
実際に開催していたら間違いなく沢山の人がこの施設を利用することになる。普段と違う客層、そして人数。それらの負担を掛けてしまうため、毎年ここには事前・事後に直接挨拶しているのだ。来年はセラスが窓口になるというのも含めてのご挨拶をした。
幸いと言うべきか昨日は午後には雨も強い風も止んで特に事件らしいものはなく穏やかな一日だったらしい。
これまで運が良かっただけでこういうことは今後も起こりうるし、中止判断も早く対応が良かったと褒められた。ある意味でモデルケースになったと思えば無駄だったことは少ないのかもしれない。
セラスには良い置き土産ができただろう。そんな事を話しながら私達は真っ直ぐ蓮ノ空へと戻った。
交通の便が悪いため、朝に寮を出ても帰ってきたのは昼をとうに過ぎていた。
冬制服の簡単なチェックと、明日の持ち物を纏めて今日はおしまいかなと思いつつ、いったん今回のFes×LIVE用に持ち出していた資料を部室に戻そうと部室に足を向けた。
夏休み最終日ということでみんな最後の1日を楽しもうとしているのか校舎の中は特段人の気配が少なかった。
「あれ?開いてる?」
部室につくと扉は施錠されておらず中に入るとマイカちゃんがパソコンとにらめっこしていた。
「どうしたの?わざわざ部室で」
「部長を待ってました」
「なら待ってたついでにお茶でもしようっか」
「用意してます」
ご丁寧にマイカちゃんはコップを用意すると持参していた水筒からコーヒーを注いだ。
「では。いただきます」
程よく冷えていて外から帰ってきた私には丁度いい塩梅だ。
「で、どうして待ってたの?」
「これです」
そういってマイカちゃんはパソコンの画面をこちらに向ける。そこには先日完成したFes×LIVEで着る予定だった衣装の写真が写されていた。
「このあたりにワンポイント入れたくて」
「#LOVEだね」
本当に目立たないようにブーツの縁に控え目に入れられている。
「Fes×LIVE、残念だったね」
「そうですね。なんというか肩透かしをくらったといいますか。いざやれないとなると、これまでなんだったんだろうとか、そういうこと考えちゃって」
「それはね。悔しいっていうんだよ」
「・・・だから次にこの衣装に袖を通す時はその気持ちも乗せないといけないって、そう思って」
「それで徳光海岸を象徴するモニュメントをデザインに入れた、と」
「幼稚だと思いますか?」
「ちょっとだけ。でもいいんじゃないかな。それと、どうせなら文字入れるだけじゃなくて、ちょっとデコレーションしようよ」
私はコーヒーを飲み干すと立ち上がりながらそう言った。
「デコレーション?」
「そう。徳光海岸で貝殻とか、運がよければシーグラスとか取ってさ。天候不良だったから海岸線、色々と打ち上がってる筈だし」
「今から行くんですか!?」
「今だから行くんだよ」
自分の気持ちに不器用な後輩が衝動で動いたのだ。だったらその衝動の続く限りやれることをしたいじゃないか。
私はマイカちゃんの手を引いて部室を出た。
「今から行ったら帰り夜になっちゃいますよ!?」
「今日のうちはまだ夏休みだよ」
終わらなかった夏ならば、気が済むまで、夏らしくあろう。