偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話   作:マーケン

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4月21日(火) 着飾ること乙女のごとく

 今年のスリーズブーケ最初の衣装は和テイスト強めでいこうと思っている。というのも去年を通して衣装は花帆先輩により似合いそうな、いや、何を着ても似合うのけど、着て欲しいというか、とにかく衣装作りの方向性を花帆先輩のビジュアルベースにしていた。

 だから今年はちょっと私自身の好みを押しだそうと思っていた所にやってきたのが錦上さんだ。

 印象的な長く綺麗な赤毛はほんのりくすみがかっていて落ち着いた雰囲気をしており、着物の持つ落ち着き、華やかさ、どちらとも調和が取れそうでワクワクしてい。

 

「これまでの和風衣装は稼働を考慮してスカート形状、膝丈にしてたけど」

 

「けど?」

 

「錦上さんを見て思ったの。袴スタイルが似合いそうだなって」

 

 インスピレーションを得たのが昨日の出来事だ。

 紫輪さんを連れて部室にきた時の錦上さんの迷いの無い、1本芯の通ったような姿から格好いい方向に舵を切っても良いのではないかと思った。

 これまでのスリーズブーケは優雅さ、可憐さを全面に出していたけれども、花帆先輩が居ない今可憐さを出すにはちょっとまだ心が振りきれていない。

 新入生の御披露目でもあるし錦上さんの印象を強く刻むような、そんな衣装と曲を披露したいと思っている。

 

「でしたら色は白を基調にしたものがいいです」

 

「なるほど。ありだね」

 

 入部しよう、というその時は流石におどおどしていたけれど一度こうと決めてからの錦上さんはハッキリした性格を見せている。

 物怖じせずに意見を出してくれるのは正直かなりありがたい。

 

「こんな感じになりそうかな」

 

 ラフ画でシルエットが出来上がる。

 そこまでくればあとは図面に落とし込むだけ。

 新生スリーズブーケは順調そのものだ。

 

「他のユニットは大丈夫かな?」

 

 月末のOPENING!Fes×LIVEとは直接関わらない内容と含めみらくらぱーく!はぐいぐいと精力的に動いている。

 DOLLCHESTRAはそれこそ昨日、一人候補が来た。(本人にそのつもりがあるかは分からないけど)

 泉はセラスに曲を作ってもらい既にパフォーマンス練習とブラシュアップまで取りかかっているわ!

 セラスはDOLLCHESTRAの練習をしているけれどもどうなるかはちょっと分からなくなってきた。

 部としてトータルでみたら一進一退というところか。

 部長としてバックアップできるようにしとかないとなぁ、と私はある提案をした。

 

「念のため、なんだけど一曲多く練習しておこうか」

 

「伝統曲ですか?」

 

「その通り」

 

 察しが良くて本当に助かる。けれども、余りにもこう、クセが無さすぎて未だ錦上マイカさんというパーソナリティーを掴みきれていない感覚がある。

 

「いったん休憩しようか」

 

 少しこの子と話す時間も意図的に作らないと取っ掛かりにすら辿り着けない。そう思ったのと、衣装について話していたので自然と喉も渇いていた。

 私は部室備え付けの棚からティーセットを取り出して紅茶を容れる。梢先輩や花帆先輩の残したものだ。

 

「スクールアイドルになって一週間。体は慣れてきた?」

 

「はい。でも・・・」

 

 錦上さんは一度気まずそうに言葉を切った。

 

「何て言うか、生活の一部に落とし混んだだけでまだ実感が沸いてないです」

 

 自分の事がよく分からないこの子がスクールアイドルを通して何を感じるのか?

 まだまだその道は遠そうだった。

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