偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
ゴールデンウィークも残り2日。実家に起床している生徒も徐々に寮に戻りはじめ、微かに賑わいが戻ってきたように感じる。
私 令沢葵も一度だけ実家に顔を出したものの、実家は同じ市内。帰ろうと思えばすぐ帰れるしと思い結局ほとんど寮で過ごしていた。
OPENING!Fes×LIVE後に部長から今年の活動をどうしていきたいか考えろとのお達しがあってから、私はある準備をしていた。
それはみらくらぱーく!の相方である安養寺姫芽先輩を説得するためのプレゼン。ラブライブ!に出場するためのプレゼンだ。
昨年の蓮ノ空はBloom Garden Partyという夢の祭典を開催するためにラブライブ!には出場しなかった。そしてBloom Garden Partyを未来へ繋げていく、と言っていたことから、今年の蓮ノ空もまたそれを軸に活動していくことが想像できる。
けれどもそれだけでいいのか、と私は言いたい。
今後もイベント開催を主軸に活動していくならばラブライブ!優勝経験のある名門と言えども大会出場を目指すタイプの人は蓮ノ空には来なくなるかもしれない。絶対とは言わないけれどパフォーマンスに一定以上の質を維持するためにも競技から離れすぎるのも良くないと私は思うのだ。
欲しいものは全部手に入れなければ気が済まないとか私欲だとか決してそう言う訳ではない。
現実問題として1からBloom Garden Partyを作った去年と比べ、今年は去年のノウハウがある。
そして、ラブライブ!出場の有無関係なく新曲を作ったりするので、ラブライブ!出場のためだけの活動というのは実はそれ程多くはないのだ。ならば両立というのは可能なのではないか?
これを証明することは今後の蓮ノ空にとっても意義のある試金石となるだろう。
「当代最強のスクールアイドルの称号。そして、イベント開催によるオレの考えた最強のライブが出来る主催特権。ふ、ふふ、絶対に手に入れる」
「何を手に入れるの?」
「徒町先輩!?何故ここに?」
「いや、ここ部室だし」
今日は部活動はお休みだったのだが、集中するために活気の戻りつつある寮ではなく部室に来て作業をしていたのだ。徒町先輩が来るとは思わなかった。
「まだ内緒にしていて欲しいんですけど、ラブライブ!出たいんですよね」
「なるほど。それは確かにナイショ話だ」
話を通さなければならない人にまだ話していない。それを徒町先輩は敢えて口に出すことで理解を示した。
「徒町先輩は今日はどうして?」
「徒町は新曲を完成させなければならないので」
そう言って先輩は部室のノートパソコンで作曲ソフトを立ち上げた。
そういえばDOLLCHESTRAに新入生が入った時のために新曲を準備をしていたというが、OPENING!Fes×LIVEでは伝統曲を披露していた。
「紫輪さんのための曲、なんですね」
「その通りです。こないだはちょっと調整が間に合わなかったので、早く完成させたいんだ」
DOLLCHESTRAには紫輪さんが無事に入ったもののライブ直前の入部であったため、新曲のベースを作っていても専用チューニングは出来ていなかったらしい。
「徒町は自分がされて嬉しかったことを、自分の後輩にもしてあげたいと、そう思うんだ」
徒町先輩は懐かしそうに、そしてちょっと寂しそうに呟いた。たぶん、卒業した先輩にしてもらったことが本当に嬉しかったのだろう。
「自分専用曲か・・・」
そう言えばこないだのOPENING!Fes×LIVEで披露したみらくらぱーく!の新曲って、とちょっと我が身を振り返る。
あとで安養寺先輩に問い詰めないとなぁ