偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
ゴールデンウィークも最終日、ということはそれほど関係ないけれど、忙しい時期に手伝わずして何がお手伝いか、ということで徒町は紫輪さんを連れて近江町市場に足を運んでいた。
毎年、DOLLCHESTRAはスクールアイドル活動の一環としてここ近江町市場でお手伝いをしている。どのあたりがスクールアイドル活動の一環になるのか言語化が難しいけれども、ここでの触れ合いや出会いが思わぬ形で切っ掛けになったりするので、とにかくスクールアイドル活動の一環なのだ。
「お久し振りです、れいかさん」
「久し振りー小鈴ちゃん。いよいよ3年生かぁ、早いねぇ」
市場で働いているれいかさんは実質私達の窓口のような人だ。世界一周旅行したりとパワフルな人だ。
「徒町も先輩の中の先輩になりました。そして今年はDOLLCHESTRAに後輩ができました」
「は、はじめまして。紫輪みおんと申す者です」
「あらあらはじめまして。なんだか武士語になっちゃってるね」
みおんちゃんは特殊な2つ結びの髪をイジイジして恥ずかしそうにしていた。
「こないだのライブ、凄かったじゃない」
「そんな、まだまだです。でも、ありがとうございます」
そんなやりとりをしつつエプロンを貰い、早速鮮魚の店頭で宣伝をする。
ゴールデンウィーク最終日ながらまだまだ観光客も多くそういう人達は驚いた顔をするけど常連の人や市場の人はニコニコと挨拶してくれる。なんでも、ここに来る子が新しい顔ぶれになると年度の変わったことを実感するのだとか。
本当はもっと早く来たかったのだけど、4月のスクールアイドルクラブのスケジュールはキツキツで徒町の要領の悪さではここまで手が伸ばせなかった。
「センパイ、ここの人達メチャクチャ親切なんですけど?」
「それは徒町よりももっと、もっと、もーと、ずっと前から先輩達がお世話になってて、良い関係を作ってくれたからだよ」
「金沢あっての蓮ノ空ですもんね」
先輩達の顔に泥を塗らないように、というよりもどちらかと言えば今後もこの人達と一緒に居られるようにと私は思っている。
「ふと思ったんですけど、最初に近江町市場に手伝いに来た人って、どうしてここに来ようと思ったんでしょうね?」
「確かに。それは徒町も先輩から教わってない事でした」
さやか先輩も綴理大先輩もそのあたりについては触れてこなかったから、もしかしたらそもそも知らなかったのかもしれない。
大倉庫に行ったらその辺りのことを調べてみようと私は密かに思うのだった。