偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話   作:マーケン

4 / 53
4月4日(土) 桂城泉と桜色のSaturday

 新年度を迎えて最初の週末。

 入寮して早々の一年生はまだ部屋の整理も終ってない子が多い上、引っ越してから急に足りないものがあることに気付いて買い出し等に忙しくなるのが通例だ。

 そのため蓮ノ空のおおよその部活はこの土日に新入生の体験活動はお休みだ。スクールアイドルクラブも例外ではなく、各々のんびりした朝を迎えている。

 だが私、桂城泉はというと軽めの朝食を済ませて早々に市内へと向かっていた。やるべき用事が決まっている時は早めに済ませる性分であるのもそうなのだが、新入生の買い出しラッシュに巻き込まれる前にバスに乗りたかったからだ。

 

「今年は録画配信がメイン、か」

 

 昨日吟子部長からお知らせがあった通信設備のオーバーオールの件、新入生が帰ってから部員一同で対策を練った。その結果、今年の配信活動についてはリアルタイム配信ではなく録画配信をメインに据えて活動することとなった。

 通信設備のオーバーオール自体はまだ始まっていないが、いざ始まってから配信方式を切り替えるより、慣らしも兼ねて次の配信から録画方式にした方がいいと結論付けた。

 平日に動画の録画・編集をし、週末に市内に出て通信速度の速い場所から配信アプリ"スクールアイドルコネクト"(通称スクコネ)にタイマー設定でアップロードする、という流れで決まった。

 次回配信を4月6日と決めていたため、急遽になるがお蔵入りしていた姫芽ちゃんとのカラオケ動画を編集し、そして今日、私がデータを持ってこうしてお出かけしているということだ。

 

「お使いを済ませたら、折角だし散歩でもしようかね」

 

 まだ桜が散る前にのんびり桜巡りするのも悪くない。

 そういえば一年前にはセラスと一緒に満開の桜に迎えられて蓮ノ空に来たものだ。そして来年、次の桜が咲く頃にはーーーーーー

 

「あと一年、か」

 

 長くて短い。いや、今はまだ感傷に浸るのは早いだろう。

 私は蓮ノ空伝統の3ユニットではなくソロとしてやっていく。とはいえ、さてさてどうやって過ごしていこうか。

 ラブライブ!に出るのもいいだろう。蓮ノ空に新たな伝統を作っていくのもありだろう。ソロ主体でやっていた学校もあった筈だし、まずはそこに習ってみるのもありかもしれない。

 この活動を通して私は私を、桂城泉を表現する。そして、そこから生まれ出でるものを育てる。まずは106期OPENING!Fes×LIVEに向けて作戦を考えなければ。

 

「新しい私、なんてありきたりだと思っていたが」

 

 どうしてか悪くないと思える。そう思考に耽りながらバスの窓から見える桜並木からインスピレーションを得た。ありきたりついでに桜モチーフの衣装なんかも悪くないかな、なんて今までなら一蹴していた想像を膨らませ胸をときめかすのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。