偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
今日から中間テスト本番。とはいえ赤点にならない程度ならどうとでもなるし、今回点数が低い科目も期末テストで挽回できるのでそれ程身構える必要もない。
そして私は結構要領が良いのでそういうダメージコントロールは得意なのだ。ゲームメイクするにあたってダメージ計算と割り切りは必須スキルといっても過言ではないのである。
「そろそろみらぱの方針について話し合わないとなぁ」
基礎固めして、難しい手順の問題はすっぱり捨てる。それだけで勉強時間が大幅に減らせる。
その時間を使って私は今期のことに思いを巡らせた。
令沢葵ちゃん。新しいみらくらぱーく!の相方。
まだ少しの付き合いでしかないが、自分以上の要領の良さ。飲み込みの早さは驚嘆に値する。
大抵の事を出来てしまうがためにもっと、もっとと手を伸ばしてしまう向上心。あるいは強欲。
私はその種の感覚を知っている。
中学時代にゲームの大会で優勝するまで留まることが出来ない暴走機関。
私のそれは優勝を手に入れたことである程度制御出来るようになったけど、それがそのまま葵ちゃんに当てはまるのかは分からない。
だが、スクールアイドルとして1つの分かりやすい到達点、ラブライブ!優勝がある。
「狙わないはず無いのよね」
ラブライブ!優勝でもって葵ちゃんが自身の持つ衝動と上手に付き合えるようになるのか?そもそもそれが正しい事なのか。本人と一緒に見付ける必要がある。そのヒントを探るべく先日のOPENING!Fes×LIVEの模様を再生するのだった。
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舞台袖でスリーズブーケの深みと優美さを目を輝かせながら見詰めている葵ちゃんを見て私もうんうんと無言で頷いていた。
スリーズブーケの錦上マイカちゃんの初ステージを喜んでいるのが伝わってくるし、本当に好きなんだろうなと感じる。
「だったら、マイカちゃんにも葵ちゃんの良さ見せ付けてやらないとねぇ」
スリーズブーケの曲"水面ラビリンス"が終り、ステージが暗転すると私達がステージに入る。
スリーズブーケとすれ違いざまに私は吟子ちゃんと、葵ちゃんはマイカちゃんと拳を突き合わせ称賛と激励を交換した。
ステージの中央、ポジション0を挟んで私と葵ちゃんが横並びになると、加速していくメトロノームのように単音の電子音が鳴り響く。
"Let’s go MIRAI,パーっと駆け抜けろ"
"Let’s cry Party,涙を飛ばせ"
一フレーズを歌い上げると私と葵ちゃんは向かい合って拳をぶつけあう。
挑戦的な目。威勢の良さ。新人の遠慮なんてどこかへすっ飛ばしたような全速力。
それが気持ちよくて、気付けば私達はそれぞれ別方向にステージの端まで走ってた。
"息が切れて倒れても"
"腹ペコぐ~って泣いてても"
楽しくて再現性の無い振付無し。フリーをコミカルにこなして場に緩急を付けながらクライマックスまで登ってく。
"ワンっだ奮って 声あげて"
"にゃんぞこれしき負けないぞ"
もっと、もっと、もっと、と煽って煽って煽りまくる私と葵ちゃん。
ふとステージで目が合うと、その煽る相手には私も含まれているのが分かる。
なまいきな。と後輩先輩関係なく私も負けじと煽りかえす。
仲間、相棒、というより寧ろライバル。
今年のみらくらぱーく!は戦いになるだろう。そう予感させる"わん on にゃん"のパフォーマンスだった。