偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
『With×Station みらくらぱーく!の雑談配信』
「で、どうだったの中間テストは?」
「心配ご無用ですよ。あれ?もしかして出来ない子の方が可愛げあります?」
「そう言うのはめぐちゃん先輩の専売特許だから~」
「じゃあ精一杯有能ムーブしないとですね」
「お、自信満々だねぇ。蓮ノ空は進学校って程ではないけど、それなりに学力水準は高いよ?」
「そこはほら、メタ読みで~」
「学校のテストでまず使わないワードを使うのやめようね~」
「ゲーム好きの先輩からの影響かもしれませんね?」
「ぐうの音も出ない」
「それじゃあ、テスト明けの息抜きに行ってくるのでもしかしたら近所の人とはすれ違うかもしれませんよ?」
「みんながこれ見てる頃には寮に戻ってるだろうけどね」
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街に繰り出して動画を投稿予約したらいよいよ今日という日はフリーだ。今日は私と令沢葵ちゃんとの外出。
まぁこの地域出身の2人で改まってどこか行く、という感じでもないので、ここは振り切ってゲームセンターの動物園でも覗こうかとも思ったけど、結構遠いところにしか好きなゲーム設置店舗が無いのでやめた。
今年公開された映画の機体が実装されたりとか大会予選とかで盛り上がってるだろうとか思うけど、全寮制学生の身でアーケードゲームにハマったら終わる。
なるべく息抜きは近所で済ませたいなぁと考えるとふと近江町市場の近くにある東出珈琲店のことが頭に浮かんだ。
さやか先輩が時々来ていたチェーン店ではないお店だ。日曜日はお店が休みなので意外と行けるタイミングが無かったりするので丁度良い機会だ。
通り沿いにポツン、と立つレンガ調が目立つ四角い建物。中に入ると空間を広く使ってチェーン店で見るようなごちゃごちゃした印象はない。
テーブルやカウンターなど木製のものをベースに統一されておりゆったりとした空気がながれている。壁や天井の何とも言えない褪せたような色味が毎日珈琲を浴びて育まれたもののように感じて愛おしい。
「すんなり入れて良かったですね」
「基本並んでるからねぇ。朝一で外出して正解だったっしょ?」
「ですね。こういうお店ってちょっと敷居が高い気がして入ったこと無かったんですよね」
ちょっと前まで中学生だった葵ちゃんなら尚更だろう。
「カフェ巡り、コスメ、ブランド、みんな通る道だと思うんですが、私は早々にリタイアしたので」
「そうなの?意外」
「やっぱり最終的に経済力の壁に突き当たるんで。それに気付いてからは能力方面を攻めてたんで」
なるほど、と思った。葵ちゃんの欲深さは知っているけど、言われてみると物欲だとかそういう方向には向いていなかった。
「最近はちょっと承認欲求に振ってますけどね」
「スクールアイドルで世界手に入れたい。となるとフォロワー数とかは1つの指標だしね」
たぶんだけど、今までこの子に着いてこれた人はそんなに居なかったんじゃないかと思う。決めたらブレーキを踏まない。心底出来ると信じる。イカれてると思われることもあっただろう。
「ラブライブ!」
「え?」
「出たいんでしょ?いや、出て優勝したいでしょ?」
葵ちゃんは凄く嬉しそうに笑みを浮かべた。私が察していたこと、というよりも同類を見付けたような、そんな顔だ。
「今年のみらくらぱーく!はラブライブ!に出て優勝する」
「優勝すれば実質、その年のトップスクールアイドル。1つの到達点」
「でも、優勝したらどうする?スクールアイドルやめる?」
「どうでしょうね?今まで最後まで突き詰めるってことはしてこなかったので分からないです」
「ならスクールアイドルでいて楽しかったこと。沢山見付けようね。スクールアイドルじゃないと駄目なこと。これからもスクールアイドルで居られたらいいなと思えること。沢山、沢山見付けよう」
この子が結果だけでなく過程にも価値を感じられますように。