偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
セラス先輩の提案も勿論だけど、部活紹介記事についても進めなければならない。基礎練習終わりに部室で卓を囲んで私達1年生が方針を固める。
「他の部活は近年の成果報告みたいな感じみたい」
なにかと情報通な紫輪さんが口を開く。
その路線はスクールアイドルクラブとしては有りだと思う。
ラブライブ!優勝、そして地域を巻き込んだ大型イベント開催。これ以上に宣伝できるネタは私には他に思い付かない。
「でも、蓮ノ空に入るような子ならその当たりはみんな知ってそうじゃない?マイカちゃんは知らなかったみたいだけど」
Bloom Garden Partyに連れていかれるまでそのあたりの情報を抑えていなかった私が言うのもなんだが一理ある。
学外の人ならいざ知らず学内の人に向けての記事となるなら端折れる情報は精々余白に箇条書きする程度でも良さそうだ。
「なら、今後の展望とか?まだ纏まってないし、先輩とかと擦り合わせもしないとだけど?」
「でもスクールアイドルって学校ごと、年ごとにやることガラッと変わったりするから今年はこうしていきたいって部分は必要じゃない?」
「スクールアイドルって良くも悪くも自由っすからね~」
ラブライブ!にでる。イベントを開催する。遠征ライブで全国を飛び回る。キャラクター性を重視してファンミーティングを多くする。配信だけするなどなど、スクールアイドルの活動は多岐に渡る。大元のアイドルというのが時代と共にエンターテイメント総合職みたいになっているのでスクールアイドルもそうなるのは必然だろう。
「じゃあ今後の部分については先輩達が帰ってきてから作るようにしよっか。あまり具体的に書きすぎてもネタバレになっちゃうからここの部分も最後の締めって感じで良さそうだね」
「なら中核どうしよっか?」
うーん、と3人して悩む。葵や紫輪さんはともかくとしてそれほどこの部活のこと、先輩方のことを深く知っている訳ではない。2人もたぶん表面から見える情報以上のことはまだ深掘り出来ていないのではないだろうか?
「あ、なら大倉庫、行ってみる?」
活動記録をはじめとした資料の宝庫。
百生部長から案内されたそこに2人を連れていこうと、そう思った。
「蓮ノ空の大迷宮!遂に足を踏み入れられるの!」
「そっか。葵はまだ行ってなかったんだね」
「みらくらぱーく!は現代っ子なのでどちらかというとデジタル方面だからねー」
「・・・大倉庫に行く前にちょっといいです?」
紫輪さんが短めの眉を困らせて挙手しているので何だろうと私も葵も顔を見合わせた。
「部活を知る以前に、私達って、というか私ってお二人のことあんま知らない」
「確かに」
「改めて思うと、私達って何となく一緒にいるだけ感が強いかも」
「そこっすよ。1年生同士ですら通じあってないのに部活のこと書ける?」
ぐうの音も出ないけれども改めてじゃあどうすれば良いのかが私には分からなかった。そして残念なことに、葵も、言い出しっぺの紫輪さんも具体的にどうすれば良いのかというところまでは案がなかった。まさかこんな躓きかたをするとは思ってもいなかった。