偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話   作:マーケン

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6月10日(水) 朝練

 最近楽しみが増えたからなのか気合いが入りすぎているのか朝早く目が覚める。

 特別規則正しいわけでもないけれど不思議と二度寝するような目覚め方じゃない。それと加え初夏でも早朝はまだ過ごしやすいため、最近はやり場の無い爽快な朝をランニングに費やしている。

 過去に行ったライブTシャツとハーフパンツをさっと着て外に出ると、まだ湿り気の少ない気持ちのいい空気が肌を撫でる。

 

「おはようセラス後輩!」

 

 寮の玄関を出たところには別に約束をしているでもないセラス後輩がラジオ体操風味な準備運動をしていた。

 髪の毛を纏めるのか面倒だったのか綺麗で線の細いブロンドヘアはキャップで押さえ付けられている。

 

「おはようございます。朝一で小鈴先輩と会うと今日がいい日になる気がしますね」

 

「それ毎日言うの?」

 

 セラス後輩は私が最近早起きするようになるもっと前、それこそ106期が始まる前から朝ランニングしていたので、約束してるでもないのはどちらかと言えば徒町の方なのだろう。

 

「お、おはようございます~」

 

 そしてそれは私だけじゃない。

 セラス後輩が改めてDOLLCHESTRAとしてやると決まってからはみおん後輩も顔を出すようになった。

 

「また私がビリッケツっすか。早起きとか全然苦手じゃないのになぁ」

 

「みおんは無駄に夜更かしとかしないもんね」

 

 みおん後輩は上下セットのランニングウェアに身を包んでいる。以前写真で見せたさやか先輩の練習着を意識しているのだろう。

 

「じゃあ準備運動しようか。セラス後輩は先にやってたみたいだけど、朝だからしっかりめにね」

 

 誰が言い出したでもなく結果としてこうして同じ様な行動をしているあたりどこかしら通じ合っているのかもしれない。

 

「じゃあ改めて」

 

 もう恒例になりつつあるがセラス後輩はスマホからわざわさラジオ体操第一を流し始めるので私達はそれにしたがって体を慣らしていく。わざわざ音源、それもスクールアイドルがカバーしたものを用意するあたりスクールアイドルへの拘りが見られる。

 

「小鈴先輩、撫子祭は」

 

「セラスちゃんの予想どおり、いよいよ新曲をやろう」

 

「106期DOLLCHESTRAの新曲!」

 

 他のユニットに遅れてになるが、今期の色を100%乗せたDOLLCHESTRAを見せられる。いや、魅せつける。

 綴理先輩のような純粋から来る息苦しさも、さやか先輩のような斯くあらねばという美しさと脆さも無い。私が知らない新しいDOLLCHESTRA。けれどもその中に確かに昔の伊吹を感じられるように新曲を仕上げたつもりだ。

 今期始まる前から用意して、OPENING!Fes×LIVEで披露しなかったことから更に調整をした徒町でさえ自画自賛する一曲だ。

 

「みおんを迎えるための曲だよ」

 

「だけじゃない。セラスちゃんもだよ」

 

「私も!?」

 

「私達のDOLLCHESTRAを私達が迎え入れよう」

 

 水面を進む小舟かもしれない。雨に彷徨う迷子かもしれない。違いを埋める仮面かもしれない。そんなバラバラの何かでも居られる場所を私達が作ろう。

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