偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話 作:マーケン
昨日の体育祭で使ったチア衣装は作りがシンプルな分、動き回った痛みなどは特に見当たらなかった。ノースリーブ、へそだし、ミニスカートという稼働を妨げる布が着いていないのだから当たり前といえば当たり前だが、次に使うとしたら来年の体育祭。その時には自分はもう卒業しているのだからチェック出来るときにやらなければならないと、洗濯を終え収納する前に総点検したのだ。
そう。もう季節は巡り早くも春が終わりを告げた。次に春を迎えるのは卒業の時、四度目の桜を見る時だ。
「今年もきっとあっという間なんだろうな」
8人分の衣装にアイロンを掛けながら時の早さを想う。
自分で着るのが躊躇われるこの衣装だって着る人が着ればとても華のある自信作なのだ。もう袖を通されることはないと思うと物寂しい気持ちにもなる。
「他の衣装も、あと何回着られるんだろう・・・?」
コンスタントに新しい衣装を作っていて言うセリフではないかもしれないが、一回着たっきり全然着る機会がないものものあるのだ。ライブで着ることが出来ないにしても着た写真くらいは納めたいものだ。
全然着ない衣装問題についてちょっと企画を考えても面白いかもしれない。そんなこを考えながら洗いシワを伸ばして衣装を畳む。
このチア衣装もメンバーカラーでそれぞれ作っているので今年も実は106期生の分は新調していたりする。去年の型紙や図面の現本をちゃんと管理していたからかなりスムーズに製作できた。
伝統保護と製作環境を整える試みは去年からチョビチョビ進めていたが、今年はそれを加速させている。
図面が活動記録に添付されていたり、その年に使った小道具と一緒になっていたりと纏まりがなかったものを集約しデータ化。紙媒体の記録は目次とインデックスを付けて整頓した。もちろん、元あった所には付箋で記録を移した旨の注釈を入れている。
「104.105期のは纏まったけど、どんどん遡っていかないと」
部室の棚に入れてある自分が整頓した衣装本を眺めて1人溢した。
とりあえずは年代毎に纏めるのが無難だけど全部纏め終えたら紙媒体の資料についてはユニット別とか種類別に分けても良いかもしれない。
検索するならデータの方がやりやすいが、実際のサイズ感とかはやはり物理媒体の方がイメージが付きやすい。
伝統曲衣装とか変遷の歴史とその年毎の実物の衣装とか並べたら博物館みたいで素敵だろうなぁとそんな妄想に浸りながら畳んだチア衣装をケースにしった。
お疲れ様。またいつか、素敵なスクールアイドルを輝かせる日がきますように。