偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話   作:マーケン

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6月23日(火)

 昨日の部活で決まった撫子祭台風注意対策は昨日の内に速やかに文化祭実行委員会に提言された。

 実行委員会に立候補するだけありノリもよければ決断も早く、日も少ないからか今日からもう動き出しを開始していた。翔ぶがごとくイケイケどんどんと言わんばかりの行動力だ。

 ただ校内を動き回るので精一杯なのか寮母さんへの交渉はスクールアイドルクラブに任されてしまった。

 

「それじゃノックするよ。準備はいいかい、セラス?」

 

「お、おう。いつでもかかってきやがれってんだ」

 

「いや、行くのは私達なんだが」

 

 寮母さんはなんというかしっかりした人だ。別に怖いとかそういう訳ではないが、なんとなく寮母という肩書きや立場で恐れられている感は否めない。

 セラスがちょっとビビっているのがその証拠だ。

 

「別に取って食われる訳でもないだろうに」

 

 私は構わず寮母さんの部屋をノックすると中から事務的な入室許可の声が聞こえた。

 

「失礼します」

 

「こんにちは。桂城さん。セラスさん」

 

 入ってすぐに歓談用の机と椅子があり、寮母さんはその横に立って私達を迎え入れた。

 

「こんにちは。今日は文化祭実行委員会からのお使いとして来まして」

 

「あら。てっきりスクールアイドルクラブのことかとばかり」

 

「切っ掛けはスクールアイドルクラブなんですけどね」

 

 寮母さんは私達に着席を促して話をする姿勢を取ってくれる。ついでに冷たい麦茶まで振る舞ってくれた。

 

「もし今度の台風で撫子祭が中止になったら寮のラウンジを借りて上映会を開きたいと思ってまして」

 

「なるほど。撫子祭中止分の補填企画、といったところですか。それなら大丈夫ですよ。元より撫子祭で使用予定のなかったのですから」

 

「ありがとうございます。助かります」

 

 あまりにもすんなりと話が進んだからかセラスは拍子抜けしたような顔をしている。

 

「ところで桂城さんは編入でしたね。途中から寮生活する上で戸惑ったことやこうだったら便利だったなと思うことは何かありませんでしたか?編入というパターンは中々ありませんので後学のためにも何かあればと」

 

「そうですね・・・強いて言うなら」

 

 ショッピングモール、なんて花帆先輩ならそう言うだろうなと思って思わず苦笑してしまった。

 

「市内に行く学バスがもう少し本数があればなと」

 

 なんといっても週に一回だ。

 別に市営バスがあるといえばそれまでだが、学生という身分で往復数百円はバカに出来ない。

 学校の特性上、バイトもままならないので自転車を使って節約する猛者もいるくらいだ。

 

「なるほど。今更ではありますけど、コンスタントに出てくる要望ですので、しつこく学校側には要望があったことは伝えさせていただきます」

 

 何回目だというような意見を鼻で笑うこともしない。本当にこういった所は公正な人だなと思う。

 寮母さんは恐れられるというより畏れられているという方がしっくりくる。そんな素敵な人だ。

 

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