偽典・蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ106期小話   作:マーケン

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7月1日(水) 写すもの

 天まで伸びるのではないかと思うほどの煌めきが覆い尽くす客席。

 かつて夢中になった景色。けれどもその光に焼かれ背を向けた場所。

 私はそんな世界に戻ってきた。

 

"君が笑えば笑い 君が泣くたび泣いてしまう"

 

 戻ってきたけれどもあの頃とは何もかも違う。

 不格好で笑顔の一つも作れない惨めな私。

 だけど、百生部長の用意してくれたピンクのドレス風衣装にラッピングされた私は些か華やかに見えた。

 

"こんな私でいいのかな・・・"

 

 "Reflection in the mirror"、それも百生部長が加入した年にリメイクしたバージョンなので表情もクール目だ。だから笑顔がなくてもそれ程違和感なく見られる。

 今のところ人前で披露したユニット曲はそういう曲だったのでボロは出てないように見えるけどいつまでも私の欠点に百生部長を付き合わせるのは心苦しい。

 

"どこだって行けるよね せーのでこの壁を壊して"

 

 歌だってパフォーマンスだって上手くやれていると思う。けど、どこかそれが空虚に見えるのは私がその歌を信じられていないからだ。

 怖い。あの時みたいにこの素晴らしい場所が汚されるのが。

 何に?私を、私達を利用しようとする奴らに。

 奴らとは誰だ?それはーーーーーー

 

「まだ起きてる?ちょっと話したいことがあるんだけど」

 

 部屋をノックする音と共に百生部長の声が聞こえた。

 私はとっさにパソコンの画面を閉じて扉を開いた。

 

「どうしたんですか?こんな時間に」

 

「姫芽からコスプレのイベントの勧誘がしつこくて。逃げてきた」

 

「私の所に?」

 

「錦上さんの所に」

 

 ちょっと匿って、と言われたら部屋に入れるしかない。

 さっきまで座っていたデスクの椅子を部長に譲って私はベッドに腰掛ける。

 

「コスプレイベント出ないんですか?お写真見ましたけど凄く似合ってましたよ」

 

 まぁあのボディスーツのような衣装は似合う似合わないの問題ではないだろうけど。

 

「前回は姫芽のために一肌脱いだって感じで」

 

「上手いですね」

 

「茶化さない。で、今回は別にそういうのなくて、イベントあるから参加しようってノリで」

 

 部長の話を聞いててふと思った。なんとなく、私にも身に覚えがある。

 何にたいしても乗り気じゃない私を根気よく色々と誘って連れ回した葵と同じかもしれない。

 あの日、Bloom Garden Partyの日、自分の好きを共有出来ることが嬉しいというようなことを言っていた。あれと同じならーーーーー

 

「ただ百生部長に自分の好きはこんなに楽しんだって、一緒に味わいたいんじゃないですか?」

 

「確かに前回は楽しむとかそういうのじゃなかったけど・・・でも姫芽も自分用の衣装わざわざ自作してたしなぁ」

 

 端から見ることで誰かを知る手掛かりになろうとは思わなかった。

 人は誰かを写す鏡。それはなにもここにいる当人だけを写すとは限らないのかもしれない。

 

 

 




明日、明後日はGuilty Kiss × Saint Snow TWO-MAN LIVE "VS"に行ってきます。
こいつラブライブ!のイベントばっか行ってやがるとか思わないでください。行ってるのはライブだけですのでご安心下さい。

流石にこれ以上執筆が遅れるのは避けたいと思っています。思ってはいます
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