我輩は寄生虫である。
名前はまだない・・・・・・ということはなく、種としての名前というか、識別コードのような呼び名は一応ある。
その名前は「Ne-α」。
もっと正確に言うのならば、その試作体である「ネメシス・プロトタイプ」というらしい。
先ほどから識別コードだの、プロトタイプだのと仰々しいワードを聞いたあたりで察しのいい諸君ならばお気づきだろうが、我輩はまともな自然の摂理で生まれるような生き物ではない。
アンブレラ、という企業を諸君はご存じだろうか。
表向きは世界有数の製薬会社として名前を轟かせている企業ではあるが、その実態はt-ウイルスを用いた生物兵器の開発・売買に着手しているブラックと呼ぶのも生やさしい超ドブラックかつアウトな企業なのだ。
人々を庇護する傘ではなく、隠れ蓑としての傘。それがアンブレラの名に隠された本当の意味なのだろう。
・・・・・・で、簡単に言えばそんなt-ウイルスによる生物兵器開発の一環である「ネメシス計画」と呼ばれる研究で生まれたのが、この我輩というわけだ。
じゃあそんな計画で生まれる寄生虫って一体なんなんだよ、という話になるのだが、ネメシス計画の概要について簡単に説明してしまった方が早いだろう。
早い話、t-ウイルスによる肉体変異は宿主に力を与える反面、脳を破壊してしまうことによる知能劣化を引き起こしてしまうデメリットがある。人間ならばゾンビになるし、犬ならばゾンビとは比較にならない程の凶暴性を持つゾンビ犬になる。哺乳類といった高度な知能を持つ知性体に感染させれば、たちまちそのようなデメリット作用が降りかかってしまうわけだ。
生物兵器を謳う以上、それを扱う者の言う事を聞ける程度の知能を求める都合上、元にする生き物は必然とそんな知性体の動物に限られるわけだが、肝心の知能の劣化を引き起こしてしまっては元も子もない。
そんな知能劣化を克服するために、アンブレラでは各部門、各派閥が様々なアプローチから
そのアプローチの一環として建てられたのがこのネメシス計画。
フランスにあるアンブレラの研究所にて推し進められていたこの計画は、「知能だけに特化させた生体」と「戦闘用の生体」を別々に用意し、この二つを複合させることで1つの「
確かにこれが完成すれば、「知能」の問題を気にすることがなく「戦闘用の生体」を作ることができるだろう。問題は、その知能生体による戦闘用生体の制御は可能になっても、肝心の知能生体の方の制御をどうすればよいのかという問題が某博士によって指摘されていたりいなかったりするが、それは割愛しよう。少なくとも、
そして、その「知能生体」となる寄生体の第一号プロトタイプとして生まれたのがこの我輩・・・・・・「ネメシス・プロトタイプ」であるわけだ。
さて、ここまでを聞いて疑問に思った諸君はいないだろうか?
いくら我輩がその知能に特化した寄生体だからと言って、ここまで鮮明な自我と知識を持って諸君に語りかけることは果たして可能だろうか?
それは否である。
そうだ。
我輩こと試作型Ne-αには、我輩を生み出したアンブレラの人間たちですら知らない秘密がある。
・・・・・・前世の、それも人間だった時の記憶があるのだ。
こうして作り出されたばかりの我輩が、我輩の詳細をこうして知識として知っているのも、この前世の記憶のおかげである。
・・・・・・おかしいな、何か涙が出てきた。出てこないけど。
我輩、前世で何かしたかなぁ?
特に徳を積むようなこともしてないけれど、徳に反したことだってやってきていない、極めて平凡な人間だった筈なのになぁ。
しかも、これに加えてもう1つ絶望的な事実が我輩を待ち受けている。
培養試験管越しに研究員たちの会話を聞いて判明しちゃった事実なんだけどさ・・・・・・我輩、現在生まれ故郷であるアンブレラのフランスの研究所から、アメリカにあるアンブレラ城下町であるラクーンシティの郊外山奥にある、あのアークレイ研究所に絶賛移送中なんよね。箱詰めされて、景色の見えない空の旅など楽しめたものじゃないね。
そして、アークレイ研究所に持ち運ばれる、プロトタイプ・ネメシス寄生体。
・・・・・・うん、もう絶望的だ。
その末路は嫌でも前世の知識で知ってしまっている。
我輩の余命はもう僅かという所だろう。
ネメシス寄生体という生体は残されても、我輩という自我はおそらくもう直ぐ途絶える。
我輩はこれから、とある検体への寄生実験に使われることになる。
ネメシス寄生体によるt-ウイルス感染体の寄生は安定しない。大抵は寄生体側の寄生行為による負荷で、被寄生側の宿主が命を落としてしまうことが大半だ。
それに加えてこの我輩はさらにそのプロトタイプという、更に寄生が安定しないレベルでの実験体だ。
だが、問題はそこではない。
例え我輩の寄生によって検体が息絶えてしまった場合でも、我輩が死ぬことはない。我輩は寄生する側であり、そして殺す側でもある。
だが、これから我輩が試されることになる検体だけは、例外中の例外だ。
そしてそれが分かるのは、我輩に前世の知識があってこそ。
実験を行う当のアークレイの研究者たちにそんなのを知る由はない。
・・・・・・ほら見ろ、オールバックグラサンの白衣を着た研究者が興味深そう(?)に、検体への寄生実験中の我輩を見ているよ。隣にいる如何にも天才って感じの金髪研究者も興味なさげに見ている。
前世でも思ってたけど、白衣にオールバックグラサンってなんだよそのセンス。最新作に登場した
とまあ、我輩の遅すぎる愚痴はともかく。
我輩の余命がもう幾ばくもないその理由を簡潔に説明しよう。
これから、この実験で我輩が寄生させられる検体の名が、あの「リサ・トレヴァー」だからである。
以上。
・・・・・・あ、もう駄目。
寄生しようとした体に逆に取り込まれて、我輩の意識がなkなrってiku。
さrばだ、諸くn
◇
1998年7月1日(金)、アークレイ山中 洋館研究所。
その日、その洋館にて行われた実験。
その実験が彼女、リサ・トレヴァーにとっての転機となった。
彼女の脊髄に埋め込まれた、寄生体「Ne-α」プロトタイプ。
ネメシスと呼称されるその寄生体は、知能低下が著しいt-ウイルス製生物兵器に、外付けの知能を与える目的で生み出された人工生物だった。
ヨーロッパの研究所からいくつかの中継を経てこのアークレイ研究所へと届けられたネメシス・プロトタイプは、そのアルバート・ウェスカーやウィリアム・バーキンを始めとした洋館の研究員たちにより、さっそく彼女への寄生実験に用いられた。
そして、その結果は、誰もが想定し得ないものとなった。
ネメシスに寄生させられた生物の末路は、2つに分かれる。
1つは、寄生体ネメシスの寄生による体の負荷により耐えきれず命を落とすか。
それとも、寄生が完了し、もたらされた知能とともにネメシスに支配されるか。
加えて言うならば、後者で成功した例は今まで1つとして出ていない。
もしこの寄生実験が成功できれば、もしくは寄生時間を少しでも延ばすことができれば、フランスが主導している「ネメシス計画」の主導権を自分達が握れるかもしれないという冗談半分の期待があった。
だが、結果は寄生は成功せず、されど検体が命を落とすこともなく。
・・・・・・逆に、寄生体ネメシスが、検体リサ・トレヴァーに取り込まれてしまったのだ。
これが、転機。
それを見ていたウィリアム・バーキンが、彼女の中の特異性に着目し、やがて「Gウイルス」開発への足がかりとなったように。
リサ・トレヴァーにとっても、転機となった。
「
突然の、少女とは思えぬうなり声に、周囲の研究員たちがザワつく。
拘束具に捕らわれた、死なないだけの女と蔑まされていた彼女の異変を、研究員たちは予知できなかった。
「
やがて、うなり声は咆哮へと。
「
拘束具が引きちぎられる。
研究員たちは忘れていた。
彼女は曲がりなりにも、始祖ウイルスに適合し、不死身を得た化け物であるということを。
「
研究員たちを睨み付ける。
虚ろで焦点の合わなかったその瞳には、今は明確な殺意が宿っている。
「
「
そして、
・オリ主 in プロトタイプネメシス
リサ・トレヴァーに寄生予定の試作型ネメシス寄生体に憑依した原作知識(最新作レクイエムまで)持ちの前世人間。
プロトタイプネメシスに憑依したことで、自分の運命を悟り、消滅を受け入れた。
・・・・・・せめてこの知識が少しでも、彼女の力になれますようにと祈りながら。
・リサ・トレヴァー
オリ主 in プロトタイプネメシスを取り込んだことで原作知識を得た。
父ジョージと母の最期を知って、1激怒。
さらにレクイエムでのスペンサーの改心を知って2激怒。
自分の家族の仇が今更、償いなんて宣ってたのを知ったらそらキレる。