今まで土日の時間つぎ込んでもクリアできなかったのに、平日の仕事疲れの夜にやってクリアできてしまったのはかなり複雑だよん。
────ラクーンシティ市街地 シダーブルック・アパートメント。
アパートの一室にて、私はティータイムを楽しみながらある男を待っていた。
皆には言っていなかったけれど、気晴らしも兼ねてこうしてラクーンシティの方にもちょくちょく出入りをしている。何も洋館に籠りきりな訳ではない。
確かに顔面左半分を包帯で覆い隠した14歳の少女だなんて往来で目立つこと間違いなしではあるのだが、火傷の跡を隠していると説明すればみんな打って変わって此方に優しくしてくれる。
・・・・・・時に余計なお節介に感じる事もあるのだけれど、やはり、ラクーンシティの住民は殆どがアンブレラの闇とは無縁な良識人たちなのだと思い知らされた。
関連する知識の多いラクーン中心部ではなくハズレの市街地であるこの場所を選んだのは、例えほんのすれ違いであったとしても彼らと顔を合わせたくないという罪悪感からだった。特に、S.T.A.R.S.の面々とは。
「猟奇事件新たに犠牲者発生か・・・・・・そろそろ市民感情を抑えるのも限界に近い、やっぱり時間はないようね・・・・・・」
ラクーンプレス社が発刊している「デイリーラクーン」なる新聞記事の見出しを眺めながら、私は呟く。
以前、“知識”の中での洋館事件の起こった理由として奴の独断である側面もある事を説明したが、何より大きかったのはこの市民感情を抑えられなくなったというのが大きかった。いくら洋館のバイオハザード発生をU.S.S.を派遣して証拠隠滅しようとも、あくまで現場のスタッフや研究員たちの口を黙らせただけで一度漏洩したバイオハザードは止まることを知らない。
そして何よりアンブレラにとってもどかしいのは、私という存在のせいで、“知識”と違って洋館の状況を把握できていないことだ。
それも当然だ。
洋館に設置された監視カメラなどの映像データを送信する通信装置は私が好きに弄らせてもらったし、館の状況を記録したデータが奴らの本社に送られることはない。
洋館の現在の所長IDも私が乗っ取って使用させてもらっているため、レッドクイーンから咎められる心配もない。
「本社にデータを定期送信しないことをレッドクイーンが許容してくれるのは・・・・・・おそらくコネクションの存在を危惧しての事よね」
“知識”の事を考えれば、既にコネクションはアンブレラの兵器開発部門のかなり深い所まで入り込んでいることは間違いない。
総帥たるスペンサーが欧州に身を寄せていたり、ソ連出身であるセルゲイ・ウラジミールが本社の連中を差し置いてアンブレラ内でスペンサーに次いで権限を得ている事実からも、今やアンブレラはコネクションに乗っ取られた欧米支部と未だスペンサー派が強く根付いている欧州支部に別れているのではないかと私は推測している。
肝心の本社もコネクションがどこまで入り込んでいるか分からない現状、レッドクイーンが私のこのような行動を見過ごしてくれるのもそういった事情が大きいのかもしれない。
「コネクションに加えてトライセルやH.C.F.まで・・・・・・火事場泥棒を狙う輩が多いのも大変よね彼奴ら・・・・・・」
同情はしないけれど、と付け加えて紅茶のカップを啜る。
そもそも、私の復讐相手はスペンサーただ一人。
だが、その道程でコネクションの干渉をはね除けることはおそらく、不可能に近いだろうとも思う。
そもそも政府の中枢に深く入り込んでいる奴らの手がどこまで届いているのかすら不明瞭だし、例え動きを見せたとしても何か別の組織というカモフラージュを通してであることは間違いない。
例え私がスペンサーを捜す道程で奴らの干渉があったとしても、それが奴らの干渉であると認識することは不可能に近い。
・・・・・・そう考えると少し苛ついてくる。
「・・・・・・そう考えると未来であの
せっかく表舞台で確認できたコネクションという組織のある程度の地位に就いているであろう男の死。
エルピスを全人類をコントロールできる超強力なウイルスであると勘違いして自分に投与して、結果的にウイルスの力を失って
まあその出来事も既にスペンサーが死去したずっと後の事だし、考えても仕方ない。
コネクションの邪魔があろうとなかろうとスペンサーへの復讐だけは私がやる。あのグラサン野郎だろうがそれは譲れない・・・・・・ただそれだけだ。
コンコン、と玄関のノックする音が聞こえる。
「いるわよ、いらっしゃい」
リモコンで玄関の扉の電子ロックを解除すると、扉が開くと共に、左右にスーツ姿の護衛を1人ずつ侍らせた一人の男が入ってきた。
黒いタキシードの上に白色のコートを身に纏ったその男性は、私を見るや否や、目を見開くと同時に見定めるような視線を送ってくる。
疑念を込めた男性の視線を受けた私は、それを受け流すように笑いながら、彼に話しかける。
「何よその目は? 安心なさい・・・・・・ここに貴方達を呼んだのは正真正銘、ここに座っているこの私よ」
「・・・・・・君がか? 確かに気品のようなモノは感じるが、こんな病人のような包帯を巻いた少女が、私達をここに呼んだと?」
「信じられないかしら? まあ確かに、この体は14歳の少女のままだし、私の精神年齢も人生経験もほぼこの肉体と同じだし、無理もないかしら」
「・・・・・・ふむ」
私の含むような言い方に、男は顎に手を当て思案しつつ私を見つめる。
男から見れば、今の私は胡散臭い空気を持つただ少女に過ぎないだろう。
格好には気を遣っているけれど、それでも顔の右半分を包帯で覆った少女など、誰が信用するものか。
「紅茶も用意するし、座られては如何がかしら?」
私のティーポッドから男の分の紅茶を用意し、その次に自分の分のカップに注ぎ入れて一口飲んでみせる。
暗に毒は入っていないから心配するなと伝えてみたつもり。・・・・・・尤も、毒なんてあったところで私の体に効きなんてしないが。
「・・・・・・いいだろう。君が何者かは知らないが、話を聞いてみようじゃないか」
私の意図が伝わったのか、男は私の対面のソファーに座ってみせた。
「
「・・・・・・私とアダムの関係についても調査済みか? やはり君はホワイトハウスの政官としての私ではなく、《ファミリー》の長としての私に用があって接触を図ってきたようだな」
男の口から出てきたアダムという男のフルネームは、アダム・ベンフォード。
今の時代ではまだ軍官を務めているようだが、今から15年後の未来においては軍人から政治家を志し、やがて大統領にまで昇り詰めることになる男の名だ。
そして同時に、目の前の男が起こしたバイオテロにより暗殺される事になる人物の名前でもある。
「こんな姿の私が何を言った所で、貴方の食指が動くことがないのは承知の上よ。だからまずは・・・・・・これを見て欲しいの」
「拝見しよう」
そう言って私が用意したのは、何束かに纏められた紙の資料の数々。
それを彼の目の前にストンと置いてみせる。
彼は資料を一端、懐の護衛に見せて何か毒や暗器などが仕込んでないかを予め確認してから、ようやく自分で資料を手に取り読み始めた。
そして、読み進めていく内にみるみる顔色を変えていった。
「こ、これは・・・・・・!」
「画像データがノリで直貼りだったり、文字や表が全部手書きなのは許して頂戴ね。迂闊に電子データとして持ち込むと、アンブレラの人工知能たるレッドクイーンに差し止められる畏れがあったから、こうするしかなかったのよ」
尤も、これらの資料に書いてあることを、レッドクイーンは知りもしないだろう。
迂闊に奴らのコンピューターに書き込んでしまえば、それはアンブレラの利になってしまう。間違ってもそんな事をしたくなかった私は、あの洋館で行った実験記録については全て手書きで作成してきた。
今回はその一部を、この目の前の男に見せているに過ぎない。
やがて全ての資料を見終えるわけでもなく、男の視線は訝しげに私の方へ向く。
もう全て読まずとも、これらの資料の有用性を、彼は理解してくれていることだろう。だからこそ、次の疑念が彼の頭の中に到来するわけだ。
「・・・・・・君は一体何者だ? これら全ての記録が全て君1人によるものだとしたら、君の頭脳は大凡外見通りのものではない。アンブレラが隠してきた天才児が、まさか鞍替えを企んでいるとでも?」
「・・・・・・アンブレラが隠した天才児、ねえ・・・・・・フフフ、アハハハ♪」
男の言葉に、ついつい腹を抱えて笑ってしまった。
苛立ち気に、皮肉気に、でもなるべくそれを悟られないように年相応の笑いを装って笑ってみせる。
あやうく紅茶が零れそうになったが、そうなる前にソーサーに置いておいて本当によかった。お気に入りの白いドレスが汚れる所だった。
「・・・・・・そうね、推測されるのは勝手だけれど、そう言われるのだけは流石に我慢ならないわ」
「違うとでも?」
「断固否定します、ミスター・シモンズ。同じ穴の狢だとしても、私が奴らに与したことなんて一度たりともありはしないし、これからも有り得ない」
笑いをかみ殺した後に見上げた私の表情は、とても14歳の少女とは思えぬモノだっただろう。男も、後ろに控えていた2人の護衛も、冷や汗を流して息を呑んでいる。
「そうね、私が貴方達の素性を把握しているのに、其方が私の素性を把握できていないのは不公平なこと。明かすつもりはなかったけれど、そのように言われた以上は、私も自身の素性を明かしましょう」
そう言って、私は顔面の右半分に捲いた包帯を解く。
「ッ!?」
唖然となる彼らの表情。
目の前の男────ディレック・C・シモンズは驚きのあまり口をあけたまま硬直し、後ろの護衛ふたりは一瞬反応が遅れた後、化け物の素顔を晒した私に対してマシンピストルの銃口を向けた。
それは無理もない反応だった。
自惚れのつもりではない、左半分の晒された私の素顔は、美少女といっても差し支えない見た目だ。そんな少女のもう半分の顔面が、こんなキメラのような醜い外見をしていては、あまりのギャップに言葉を失ってしまうだろう。
今となってはどちらも私の顔だ、そこはもう受け入れている。
「私の名は、リサ・トレヴァー。27年前、両親ともにこの資料の研究施設に招かれ、そこで全てを失った・・・・・・只の亡霊よ」
ごくり、と息を大きく息を呑む音が聞こえる。
そこで私は、知能を取り戻すきっかけとなった寄生体の事を隠しながら、大凡の事情を彼に打ち明けた。
館で父を幽閉され、母親と共にウイルスの実験台にされ、実験の末に母親は死亡。かろうじてウイルスに適合した自分は薄れた自我のまま生かされ続け、そのまま20年間実験台として利用され続けたことを。
やがて廃棄処分されたものの、未だ生きていた自分はやがて人間だった頃の自我を取り戻し、こうして7年後の現在、実験施設でバイオハザードが起こり、それに便乗して館を乗っ取って、1人でウイルス研究を続けてきたことを。
淡々と事実を述べる私に、シモンズは信じられないといった表情で私を見るだけだった。
私が述べた事実もそうだが、彼にとって何より驚愕ものだったのが、人間の意識に目覚めてようやく活動を再開したばかりであるにも関わらず、館のウイルス学の知識を独学で学んでここまで実験を行ってきた私の頭脳が何より驚きモノだったらしい。
・・・・・・そこらへんは、学習速度の速い寄生体の脳に感謝すべきとも言えるのだけれど。
「・・・・・・そして、その亡霊が私に何の用だね? 如何様によっては、便宜を図れないこともないが?」
シモンズの口元が、心なしかにやけているのが分かる。
私の頭脳の一端を知った彼は、既にどうやって私を《ファミリー》に引き込むかに考えがシフトしているようだった。
でも生憎、私は貴方たちの下の着く気はない。
「B.O.W界隈において、多くの組織がアンブレラの成果を狙っているのは知っている。貴方達《ファミリー》もその1つ」
「人を他の火事場泥棒のように言うのはやめて欲しいな。全ては合衆国の安寧と安定のためだ」
それは貴方達《ファミリー》に都合のいい合衆国のためでしょうに、という突っ込みは仕舞っておく。
火事場泥棒そのものを否定しないシモンズの口調から、“知識”の中の《ファミリー》が如何にしてCウイルスを開発できたのか、私の中で合点が行ってしまった。
将来、彼らの手によって開発されることになるCウイルス。
このウイルスは、始祖ウイルスの変異因子にウィリアム・バーキンが開発したGウイルスと、アレクシア・アシュフォードが開発したT-ベロニカウイルスを掛け合わせることによって生まれた産物だ。
アンブレラの若手の二大天才科学者たちが開発したウイルスと原点の始祖ウイルスを掛け合わせるという悪夢のような組み合わせによって生まれたこのウイルスは、やはり規格外と評するにこの上ない代物だった。
だが、同時に《ファミリー》がどうやってこれらのウイルスを入手したのかは不透明だ。
Gウイルスについてはまだ納得できる。
アメリカ政府はそもそもアンブレラ社と癒着があったわけだし(その癒着すらコネクションの影響かもしれないが)、パンデミックが起こったラクーンシティに複数の米軍特殊部隊を派遣していたのも、Gウイルスの回収が目的だった。
その目的を達成してウイルスを入手していたと考えればまだ納得はできた。
問題は、始祖ウイルスとベロニカウイルスの方だ。
だがトライセルがコネクションの影響下にあったことを考えれば、アンブレラの元アフリカ研究所を牛耳ったトライセル経由で入手できてもおかしくないと考えれば、始祖ウイルスの入手経路もなんとなく想像がつく。
残るはベロニカウイルスだが、今のシモンズの反応を見て納得できた。
要するに、彼ら《ファミリー》もまた“ARK”を利用していたのかもしれない。
ラクーンの滅菌作戦前にアンブレラの地下研究所の1つであるARKの掌握に成功したコネクションはそこで、多くの組織とのB.O.Wの取り引き場として利用した。その組織の中にファミリーも含まれていたとすれば、ベロニカウイルスの入手経路も納得できる。
ラクーンの滅菌作戦を推進していた《ファミリー》、その裏にはARKを掌握したいコネクションの思惑が隠されていた。
要するに、彼ら《ファミリー》もまたコネクションの影響を強く受けていたことが推察されるが、つまる所これは・・・・・・。
(《ファミリー》がCウイルスを開発できるに至った土壌がすべてコネクションの存在で解決できてしまうのは・・・・・・全部掌で転がされているようで腹立つわね、本当に)
だから、彼らのことは気に入らないのだと、思考を脱線させてしまった私は、意識を目の前のシモンズに戻す。
「私の用事は2つ。今、アンブレラは洋館で起こったバイオハザードの証拠を隠滅するのに必死よ。でも度々起こる猟奇事件からいい加減隠すのも難しい。いずれ私が掌握している洋館も力尽くで制圧され、破棄せざるを得ないでしょうね」
「・・・・・・」
「だからそうなる前に、いい値で売れるものはできるだけ売っておきたいの。今ならまだ時間があるから、ここに書いてあるB.O.Wの幾つかはある程度の数までは其方に納品できると思うわ。追加料金次第では、まだここに見せていない研究データも付けてあげる」
奴らに渡るくらいなら、ここで買い取ってしまうのがお得でしょう、と私は付け加える。
思案顔になるシモンズ。
この顔を見るに、おそらく値段次第で取り引きは受けてくれると私は半ば確信していた。
だが、まだ足りない。
このままでは、彼の中での私は精々が利用価値のある駒にしか過ぎないだろう。
カーラ・ラダメスのような狂人ならばそれも喜んで受け入れただろうが、そこまで堕ちることはできない。
だから、もうひとつ、私は爆弾を投下することにした。
「それともう1つ────コネクションの支配からの脱却について、興味はおありかしら?」
私のその一言にシモンズは、明らかな動揺と、驚愕に目を揺らすのだった。
◇
「・・・・・・ふぅ」
取り引き現場から帰ってきた私は、今や帰る場所となった洋館の中庭の小屋のベッドに座り込んで息を吐いた。
「取り引きは成功。時間がある内に納入しとかないとね。・・・・・・それにしても、コネクションの事を話題に出すのはやり過ぎだったかもしれないわね」
そもそも、在り方からしてコネクションの存在そのものを知る人間は限られている。
コネクションの話題を出した私でさえ、シモンズがコネクションの事を認知しているかどうかについては正直、賭けだった。
・・・・・・だが、あの苦虫を噛みつぶすような表情からして、当たりだったようだ。
やはり《ファミリー》は、コネクションに支配された現状をよく思ってはいないようだ。
それもそうだろう。
彼らには長年の間、合衆国の支配による安定と安寧を守り続けてきたという強い自負がある。そんな自分たちの支配すら、実は別の組織の思うままのものであることを、内心で受け入れられる筈がない。
きっと、彼らの内心は屈辱で溢れていることに間違いはないのだ。
「でも、コネクションの名前を出したことによって、シモンズは私をおいそれと体のいい駒としては利用できなくなる。私が本当にコネクションに敵意を持つモノなのか、それともコネクションの手駒なのか、シモンズの中で判別ができない。そもそもコネクションの名を知る時点で、シモンズは私を警戒せざるを得ないし、それでいい。体よく利用されず、対等な取り引き相手として成立できれば、私としては文句はない」
コネクションからの支配の脱却に興味はないか、そう話題に出された時のシモンズの内心は、他でもない私自身が察して余りある。
ここで私の話に乗って、コネクションを知る人間の前で、コネクションへの叛意を表にすればどうなるのか分かったものではないだろう。
今回は、それをうまく利用させてもらった。
「・・・・・・さて、マッド。ここからが本番よ。」
『・・・・・・』
傍に控えていたマッドに話しかける。
「アンブレラがS.T.A.R.Sを派遣してくる時も、そろそろ近い。そこで彼らは、アンブレラの闇を目にすることになる」
『・・・・・・Queen』
それはこの館との別れという惜しい瞬間であると同時に、私が待ち望んでいた瞬間でもある。
「やがて彼らはアンブレラを打倒する剣となる。・・・・・・そして、私の在り方は、彼らにとっても許容できないものでしょうね」
それを否定するつもりはない。
どう足掻いたって、この身は既にウイルス研究に身を染めた外道でしかない。それは覆らない。
「おそらく、彼らにとっての敵の中には、私だって含まれることになる。それは構わないわ。もう受け入れている。・・・・・・でも、スペンサーへの復讐を遂げるまでは、私はどうあっても死ぬわけにはいかない。だから・・・・・・」
マッドの方を見上げる。
この館で私が作り上げた最高傑作。
私と同じ失敗作と見做され破棄された身でありながら、変異型t-ウイルスの重複感染実験と変異Ne-αの寄生を受け、私の忠実なる僕として生まれ変わった暴君。
慈悲なき黒衣の執行者が、私の命令を今か今かと待ち受けている。
「それまで・・・・・・私と一緒に戦ってくれないかしら?」
恐る恐る、見上げながら問う。
私が今、彼に対して抱いている感情は、兵器への、ただの駒へのモノとしては落第だろう。
だが、私と同じように失敗作として破棄され、私と同じように変異Ne-αを宿した彼は、最早私の分身と言っても過言ではない。
拒絶されないと分かっていながらも、私は彼に対し、まるで対等な意思を持つ兄弟であるかのように語りかけてしまっていた。
そして、それに対して、マッドは・・・・・・
────はたして、それは聞き間違いだっただろうか。
『・・・・・・・・・・・・Yes・・・・・・・・・Lisa』
────今まで、私を頑なに《女王》呼びしていたマッドが
「ありがとう、マッド・・・・・・え?」
────私を、《リサ》と呼んでくれたのは
人物紹介
・リサ・トレヴァー
色々思い悩みつつも、スペンサーへの復讐についてだけは覚悟が決まっている少女。
実態の掴めないコネクションを苦々しく思いつつも、シモンズとの取り引きで話題に出して利用させてもらった。
・ディレック・C・シモンズ
ご存じの通り、バイオ6のレオン編、エイダ編におけるラスボス。
この頃はまだ変態ストーカーではない・・・・・・はず。
・マッド
・・・・・・せめて、せめて、名前で呼んでやるくらいならバレへんやろ・・・・・・(震え声)
次回、マッド視点(予定)