送付された案内状に従ってアカデミーにやってきた。そのうちの一つの教室が説明会らしいけど。
「学のあるエリートさんたちばっかりなんだよね。すこし気が重いなぁ」
俺は田舎の貧農の出で文字だってゲンジさんのところに行くまで読めなかった。今も漢字はかなり怪しい。逆にここを出た子たちは皆文字の読み書きも計算もきっちりできるわけで引け目を感じる。
「し、失礼します……」
教室のドアを開けて中に入る。するとすぐに視線が俺に集まってきた。怪訝そうな感じ。
「あ?お前誰だよ?」
なんか犬を頭に乗せた男の子が話しかけてきた。
「ここはアカデミーの卒業生だけの説明会だぞ?迷子か?ん?」
「え、えーっとその。俺もここに呼ばれてるんだ。忍者に志願してて。それで今日任命されるってこれに」
俺は持っていた案内状を見せる。
「ふーん?志願組って里の外から来てんだろ?お前みたいな華奢な女には忍者なんて無理無理!」
言うだけ言って犬連れた男の子は満足したのか席に戻っていった。なんか女の子だって勘違いされてるみたいだけど、俺は訂正はめんどくさいので放置して開いてる席を探して座った。みんながっつり見てる。っていうか男の子ばっかりだ。女子はなんか黒髪の背中に団扇のマーク着いたシャツ着てる男の子見てる。そしたらなんか金髪の男の子、っていうかこの間ラーメン屋さんで見た子が黒髪の子に絡んでいって自爆して男の子とキスしてしまってなんか女子にしばかれた。なんかあの二人トラブルメーカーっぽいな。関わらないでおこう。
「よーし全員集まってるな?!席につけ!卒業おめでとう!これからみんなは三人一組の班に分かれて任務をこなしてもらう!班別けを発表する!」
顔に傷がある男の忍者が入ってきて班別けを発表していた。
「第七班、うずまきナルト、春野サクラ、うちはサスケ」
なんか金髪の子とピンクの髪の女の子と黒髪のこのところがすごく一喜一憂してる……。同じ班員に向けて露骨に嫌そうな顔するのはやめておいた方がいいと思うんだけどなぁ。
「第11班 いのり・リノイ、さとうハナコ、だだのナナシ」
ここにいるのは三十人だけど、班分けでは四が忌避されてるらしい。だから俺たちは第11班となった。俺と同じ班員も多分火影様の口ぶりだとアカデミー出てない志願組なんだろう。それも事情持ち。関わりたくないけど仕方ないんだろう。向こうからしたら俺だって面倒くさい奴だろうし。
「では午後に教室にて担当上忍が迎えに来るように待っていろよ。では昼休みだ。解散」
昼休みだから俺は持ってきたサンドイッチ(村から出て初めてパンを食べて以来好きだ)を食べる。なんか男子たちが俺をニヤニヤと見ているし、近づいてきては離れるみたいなことやってたけどスルーした。僕の班の他のメンバー二人もなんか遠巻きに見られてる。
「ねぇちょっといい?」
女の子が声をかけてきた。金髪に碧眼のかわいい子だった。紫色の服にインナーにゲートル巻いてる。変わった格好してるなぁ。
「なに?」
「あなたって志願組なんでしょ?里のことよく知らないんでしょ?どう?ウチの班のメンバーとごはん食べない?」
優しいお誘いだった。だけど関わっていいのかな?
『だいじ』
ジャシンがなんか呟いた。好意的ってこと?ならその声に従うのもいいのかもしれない。
「ありがとう。じゃあご一緒させてもらうね」
「そう?!よかった!じゃあいこうか!あ、あたしは山中いの。よろしくね」
そしてその子と茶髪のぽっちゃりしたことと塩顔イケメンな髪を縛ってる男の子と一緒にご飯を食べることになった。
わりと話題は弾むものだった。
「じゃあナナシって湯の国から来たの?外国なんだ?!すご!」
「うん。色々あってね。連れてきてもらったんだ」
茶髪のぽっちゃりな子は秋道チョウジといい、黒髪の塩顔イケメンは奈良シカマルというそうだ。
「温泉いっぱいでいいところだって聞いたけど?それに忍者になるなら湯隠れの里に志願できるよね?しなかったの?」
「俺、人買いに買われてさ、それを助けてくれたのが火の国の人で、ここに推薦してくれたんだ」
「え?!なんかごめん……」
いのさんと男子たちがすごくいたたまれない顔してる。
「え!?ああ、気にしないで。俺は助けてもらったし、別に痛い目とかひどい目には合わずに済んだから!あはは!」
「そうなんだ。美人なだけじゃなくて、とてもいい子なんだねあなたって」
勘違いされてるみたいだけど。訂正するのもあれだしそっとしておこう。
「なんかあったら頼ってくれ。それなりにうちらの一族はそれなりに里じゃ顔が効くからな」
黒髪の塩顔イケメン、シカマルがすごく頼りがいあるナイスガイだった。女の子だったら惚れてるかもしれない。
「ありがとう。何かあったら頼るよ」
そうやってなんか昼食は和やかに終わったのだった。
そして午後になって担当上忍を待っていたのだけど、ちっとも来ない。同じく来ない第七班のメンバーたちと残された。なんか空気が重いです。主に黒髪の男のうちはサスケくんとうちの班員のせい。
「なんでうちらの先生来ないんだよ!忘れてるんじゃねーのか?!」
金髪の子、うずまきナルトというらしい。ナルトがなんか黒板消しを教室のドアに挟んだ。
「そんなべたなブービートラップに上忍が引っかかるかよ」
サスケがごもっともなツッコミを入れた。だけどこの態度自体がまずそうだと思って。俺はドアに近づいて黒板消しを取り除いた。
「あー!何やってんだよ!?」
「やめといたほうがいいよ。これから先生になる人に悪態ついてもよくないよ」
「お前は優等生か?!俺たちは舐められてんだよ。ここは一発ぎゃふんと言わせないと!」
「なるほど、さっそく班同士で意見が割れてるのか。今年は跳ね返りが多いと見える」
なんか灰色の髪のマスクな忍者がいつの間にか黒板の前に立っていた。みんなが驚いてる。すごい抜き足だ。これが上忍の実力。
「カカシさん……なんかかっこよく入るのやめてくれません?私が入るタイミングのがしちゃったんですけど……」
声がしたから教室のドアを開くとそこに忍び装束にサングラスをかけたくのいちがいた。長い黒髪を三つ編みハーフアップにしている。美人だしなんかどこぞのお嬢様みたいな雰囲気だ。サングラス以外は。
「お、おう。なんかすまん」
「まあいいですけど、じゃあわたしの班から。第11班。私が担当上忍の向日ヒヨリ。じゃあミーティングに行くわよ」
ヒヨリ先生は教室を出る。俺たちの班員はその後ろをついていく。第11班が正式に稼働した瞬間だった。
ついてきて辿り着いたのはカフェだった。
「好きなもの頼んでもいいわよ。だけどあんまり高いのはやめてね。奢る側の気持ちの裏の裏まで読みなさいよ忍者ならね」
なんかめんどくさいこと言ってる。俺たちはそれで黙り込んでしまう。
「なに?頼まないの?じゃあみんなコーヒーありありね」
注文はそれで決まった。コーヒーが席に並べられて、ヒヨリ先生が切り出してきた。
「あなたたちはもう気づいているわよね?この班の歪さに」
俺たち下忍はお互いに顔を見合わせる。
「俺たちはみんなアカデミー出てないのに、卒業生と同じ待遇になってる厄介メンバー」
「そうよ。同時に言うと担当上忍の私もこの里じゃ厄介さんの一人なの。はっきり言うけど火影様はともかく他の相談役とか上忍たちは私たちなんて殉職してくれても一向にかまわないと思ってるわ。そのつもりでいなさい」
酷いこと言うなぁ。まあ俺なんてまさにそういう対象だってのは理解してるけど。
「じゃあ自己紹介して。名前となんか適当に趣味とか将来のキャリアとかなんか適当に。じゃあそこの灰色っぽい茶髪の子から」
灰色っぽい茶髪に金色の瞳の綺麗な女の子が指名された。スパッツにパーカーのラフな服装。
「あたしはさとうハナコ。趣味は……修行。キャリアの希望はある。いいえ、希望なんて言葉じゃ言い表せない。あたしは人柱力以上の力となって里を繫栄させる忍びになること」
「実にパンクね。じゃあ次は青髪の子」
青い髪に碧眼のこれまた綺麗な子が指名された。ゆったりとした着物と袴でいいところのお姫様みたい。
「わたしはいのりリノイです。趣味は山に入ること、読書、相撲とお芝居を見に行くことです。キャリアは、その研究班がいいです……戦うのは苦手です」
「実に忍者に向いてない感ありがとう。じゃあ最後銀髪に紫色の瞳の綺麗なあなた」
俺が指名された。
「俺はただのナナシ。趣味は……ないです。パンは好きです。えーっと。食っていくというか生きるために忍者になりに来ました。よろしくお願いします」
「あー。仕方なく忍者する子なのね。ドンマイ」
そしてヒヨリ先生はコーヒーを一口飲んでいった。
「もう一度言うけど、私は向日ヒヨリ。見た目でわかると思うけどあなたたちとぶっちゃけ年齢もそんなに変わらない。まだ15歳。ぶっちゃけ先生なんて呼ばれるほど人生経験積んでないけどまあよろしくね。まあおなじくのいち同士仲良くしましょう。じゃあ今日は解散。明日は政庁の一階広場に朝九時に集合。バリバリ任務するからよろしくね」
それだけ言ってヒヨリ先生は金だけ置いてしゅっと消えてしまった。
「行っちゃった。あれ?お金……会計の半分しかない……」
なんかけちだ。
「あたしたち舐められてるわね」
ハナコがそういった。
「なんでそう思うんですか?」
リノイが尋ねた。
「アカデミー卒業生は本来ならこの後選抜試験があるのよ。落ちたらアカデミーに戻される。あたしたちは試す価値さえないってことよ」
「そうなのかぁなるほど……」
俺は感心すると同時にむしろ使いつぶす気満々なんじゃないかと疑ってるところもあるけど。まあ口にする必要はないか。そして俺たちは特に会話をすることなく。金だけ置いていって自然解散となった。そう言えばまた女って勘違いされけど、まあ明日あたりに誤解をとけばいいか。
本作ではアカデミー卒業生はエリート。里以外の一般人から志願で集めたのが志願組で下忍に任官されるノンキャリみたいな設定でいきますね。こうでもしないと原作の忍者の数が説明できんかったんや……。