次の日、言われたとおりに政庁一階のホールにてヒヨリ先生を俺たち第11班は待っていた。そして九時ジャストになって俺たちの前にヒヨリ先生が瞬身の術で現れた。
「時間通りね。よしよし。では任務を説明するわ。はいこれ資料」
ヒヨリ先生によって資料が配られる。そこには任務の概要が書かれていた。
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Cランク任務 No.1287212
依頼人 火の国行政庁治安課
タニマチ村周辺に山賊が出現。これを排除せよ。
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「あの。下忍ってDからじゃないんですか?」
俺はさすがにデビュー即Cランクに驚きを隠せなかった。
「他の新人班に取られちゃったのよ。うちはほら政治パワーがないからね。あはは」
なんか悲しい事情が裏に見えてるぞ。それに対してうちの班員はというと。
「いいわね。あたしの性能を証明してみせるわ!」
やる気なハナコ。
「戦闘ですか。気が進みませんね……」
やる気のないリノイ。
「まあまあ。さあ任務地に行くわよ!レッツゴー!」
ヒヨリ先生を先頭に俺たちは任務に繰り出したのだった。
忍者の足で約三時間ほどの距離にあるタニマチ村が今回の任務地である。俺たちが村に入るとすぐに村人たちがよってきた。
「あいつらひどいんだ!俺たちの作ったコメを奪いやがった!」
「野菜も豚も盗られた!早く退治してくれ!」
「はいはい。わかりましたよー。じゃあしばきに行きますか」
ヒヨリ先生は適当に村人たちの話を聞き流していた。そして俺たちは村はずれの森に向かった。そちらの方角に山賊は逃げたそうだ。
「じゃあ追跡ね。あなたたちのスキルを見せて頂戴」
どうやら現場でOJTらしい。ヒヨリ先生が探してくれるとかそういうのはなさそう。多分戦闘になっても手を貸さないんだろうなってわかる。仕方ないので俺は森の中の藪に慎重に入る。そしてすぐに足跡を見つけた。
「足跡見つけました。大人の男が多分十名前後」
「はい。よくできました。じゃあ追跡開始!」
俺たちはすぐに木の枝に飛び乗って木々の間を跳んでいく。そしてすぐに山賊を見つけた。
「はははは!ほら焼けたぞ!」
「うめぇ!うめぇ!!」
俺たちに気がつかずに豚を焼いて食事をしている。
「じゃあ。用意、ってえー?」
「ひゃっはー!!」
ヒヨリ先生が合図を出す前にハナコが山賊に即効飛び掛かった。
「うわ?!なんだ?!あっ……」
山賊の一人がハナコのクナイで首を刎ねられた。そんですぐにハナコは近くにいた男の心臓をクナイで一突きした。
「やりすぎです!!」
リノイが飛び出したので、俺も跳ぶ。とりあえず目の前にいた山賊の腹を殴って気絶させる。リノイは腰の刀を抜いて高速で動きながら峰うちで山賊を次々と気絶させていく。そしてすべての山賊が戦闘不能になった。
「おめぇら遅いぞ。まああたし一人で十分だったけどな!」
「あなたは何て非道なんですか?!恥を知りなさい!!忍者でもないこの人たちを殺す必要なんてどこにもないでしょう!!」
リノイは真剣に怒っていた。だけどハナコはどこ吹く風だ。
「任務は排除だ。生死なんて問われてない。こいつらが弱かっただけだろう。それに依頼人も喜ぶだろうさ」
「命をなんだと思ってるんですか?!」
「あーやめやめ。喧嘩は後にして」
ヒヨリ先生が二人の間に入った。
「任務はこれで達成。リノイ。ハナコが言う通り任務には排除とだけあって生死は不問よ。解釈は間違ってない」
「ですが!」
「あなたが忍宗の敬虔な信徒の一族なのは把握してる。だけど今は忍者よ。割り切りなさい」
「……っ」
リノイは悔しそうに顔を歪める。
「ハナコ。あなたもよ。今回の任務の場合、先に交戦基準をチームで話し合うべきだった。殺すのか生け捕りか。決めてからでもよかったでしょう?それに隊長である私の指示の前に突撃した。それは評価できない。いいわね?」
「……くっ」
二人とも叱られちゃった。まあ今回の任務は確かに適当に臨みすぎたんだろうなと反省しかない。
「ナナシは、まあ冷静だったわね。特に二人ともめた感じはなかったのは大きいわ。今後は前に出てフォローしてあげて頂戴」
「はい。わかりました」
「じゃあ山賊どもは縛って運ぶわよ。村人たちに引き渡す。行くわよ」
ヒヨリ先生とみんなと一緒に生き残った山賊たちを縛って担いで村まで持って帰った。死んだ奴らはヒヨリ先生が火遁で燃やして灰になった。
「おお!さすが木の葉の忍びじゃ!ご苦労様!ご苦労様!」
村長と村の衆が喜んでいた。任務は成功した。少し誇らしい。
「ではこいつらはあなた方に引き渡します。奉行所への引き渡しはお任せします」
ヒヨリ先生が村長に任務達成のサインを書類に貰いながら言った。
「奉行所?何をいっとる。こいつらはここで殺す!」
村長がそう言うと村の衆が鍬やら鎌やらもって山賊たちに近づいていく。
「や、やめてくれぇ!?」
山賊たちが叫ぶ。だけどすぐに村人たちは山賊たちをリンチしてあっと言う間に殺してしまった。
「はぁ。やっぱりねぇ……」
ヒヨリ先生が肩を竦めている。リノイは涙を流しながら目を反らし、ハナコはにやにやしてる。
「ほらな。あたしらが殺してやった方がましだったんだよ。抹香臭いメスガキちゃん」
「間違ってますこんなの……」
ハナコはリノイを煽るけど、俺自身も田舎の村出身だからわかる。盗人が出たら村総出で殺す。そんなのはこの世界じゃ当たり前のことなんだ。