俺たち下忍が敵を排除し終わってヒヨリ先生の方へと近づいていった。
「あらら。これはまずいねぇ。困ったねぇ」
敵上忍のジーが俺たちを見て肩を竦めていた。
「このままご子息さんを置いていくなら見逃してあげてもいいわよ」
ヒヨリ先生ははっきりとそう言った。
「そういうわけにはいかないねぇ。忍びなんだからねぇ。任務を果たすのが仕事なんだからねぇ」
そう言ってジーは俺たち下忍の方へとクナイを投げてきた。それをヒヨリ先生の風遁が吹き飛ばした。
「あなたたち下がってなさい」
「そんなことよりみんなで殴った方がよくね?」
ハナコがそういうがヒヨリ先生は首を振った。
「こいつは上忍、今のあなたたちでは手も足も出ない。まあ見てなさい。あなたたちの先生はそれなりにやるってね」
そしてジーとヒヨリ先生がにらみ合う。ふっと二人の姿が消えてクナイ同士がぶつかる音がした。
「早い!」
リノイがとても驚いしている。確かに早い。ジーは雷の肉体活性で目で追いかけるのが難しい。ヒヨリ先生もまたその動きに軽くついていっている。
「その眼はなんだ?写輪眼ではない。うちはは滅びたはずだ。その透遁法は白眼に似ているように見えるけどねぇ?」
「答えてもいいけど、その時は死んでもらうわよ」
「は!なら殺してその眼を持ち帰るだけだねぇ!!」
ジーが距離を取って印を高速で結ぶ。そして彼の手から雷があふれ出す。
『雷遁 励挫鎖荷素』
「解!」
ヒヨリ先生が印を結ぶとジーの手に会った雷が四方八方に暴発した。何が起きてる?
「やっぱり術が歪んだねぇ?まさかその眼は……術をキャンセルするのかなねぇ?」
「はあ。そうね。気づいたか。じゃあ死んでもらう!」
ヒヨリ先生は印を結ぶ。さっきみたジーの雷遁励挫鎖荷素の印の順番だ。
「雲隠れを舐めるな!キャンセルするなら先に殴っても変わらないんだねぇ!!」
ジーはヒヨリ先生に果敢に距離を詰めてクナイをその胸に刺した。
「はは!致命傷だねぇ!え?」
ヒヨリ先生の姿がふわっと消えた。
「影分身?!本体は?!」
俺たちも気配を探ってヒヨリ先生を探す。するとヒヨリ先生が印を結んでいた。だけどそれは。さっき消えた影分身の印の続きだった。そしてすぐに印を組み終わって術が発動する。
『雷遁 励挫鎖荷素』
「中断した印の続きを編んだ?!そんな馬鹿な!?うぁがあああああああああ!!!」
ヒヨリ先生から放たれた雷がジーに命中した。そしてジーは倒れた。あちらこちらが焼け焦げている。そしてヒヨリ先生は近づいていって。
「どうせあなたたちの依頼人については吐かないんでしょう。だからこれで終わり」
「その眼は……術の中断を保存できるのか?」
「想像に任せるわ。さようなら」
ヒヨリ先生はジーの胸にクナイを刺してジーは息絶えた。
「ふぅ。あなたたち。御子息さんを回収してきて。遺体は私が処理しておくから。生き延びてる奴は放っておいていいわよ。敵の依頼人に引くようにプレッシャーを与えるからね」
俺たちは指示通りにご子息さんを確保した。縄を解いて簡単に検査するけど傷や拷問の跡はなかった。
「ご子息さんは無事ですね」
俺がご子息さんを背負いながらヒヨリ先生にいう。
「じゃあこのまま依頼人のところへ行くわよ」
俺たちはすぐに依頼人の下へと帰っていった。
依頼人は涙を流して息子さんの帰還を喜んだ。
「アリシ!よかった!よかったぁ!」
「父さんごめん!」
「いいんだ!お前さえいてくれれば何もいらない!」
親子関係は良好らしい。羨ましいなと思った。
「いいところで悪いのですが、ちょっといくつか話して起きたことがあります」
「なにかな?」
「敵の目的です。向こうは向居カンパニーの火の国領海内海洋資源開発の入札に参加しないようにさせるために息子さんを誘拐したそうです」
「なに?……そうか。たしかにあの利権はとても大きい。忍びを使ってきてもおかしくないな……それにあの男ならやってきてもおかしくないだろう」
「心当たりがあるのですね。誰でしょうか?」
「ガトーだ。あの海運系商社のな」
「あのガトーコーポレーション?!なるほど納得しました。今回拉致の阻止を行ったので雲隠れは撤退するはずです。今は平時なので任務が失敗したら通常は戦力を逐次投入はしません。いちいち任務の失敗を挽回しようとは忍びの里は考えないのです」
「なるほど。それはよかった……」
「ただ念のため護衛を木の葉に依頼するといいと思います。安心はできますので」
「わかった。そうすることにする。今回は本当にありがとう。私は一番大切なモノを取り戻せた。君たちには感謝しかない」
「ふふ。それは良かったです。では私たちは護衛のチームと入れ替わりで撤退いたします」
「ああ。ありがとう。何かあったら君たちにまた任務を依頼したいところだ。本当にありがとう」
こうして任務は完了した。そして入れ替わりで来た護衛の中忍チームと引継ぎをした後に俺たちは里へと帰った。
俺たちがこなした奪還任務はAランクに事後評価された。結果的に俺たちはCランクとAランクを同時にこなしたことになる。帰ってきて次の日には火影様に呼ばれてちょっとしたイベントが行われた。
「では規定にのっとり、正規の忍び装束の贈呈式を行う。さとうハナコ、いのりリノイ、ただのナナシ。前に」
木の葉の忍び装束を来た俺たちが前に出る。そして火影様が俺たち一人一人に木の葉のベストを与えてくれて、俺たちはそれを着た。
「下忍がこれを着るのは通常任官後一年たってからだが、お前たちはAランク任務を損がいなくこなした。この功績を持って装束を与える。これからも励んでくれ」
俺たちは上忍たちの拍手を受けた。一応一人前と認められたようだ。そして式が終わってすぐにヒヨリ先生と共に打ち上げにでも行こうという話になって政庁から出ようとした時だった。
「すまないが。任務の話がある」
特別上忍に話しかけられた。
「森乃さん。任務とは?私たちは式が終わったばかりなのですが」
「ああ。わかってはいるのだが、それでもこの任務については君たちにこなしてもらいたい。火影様の要望でもある」
「わかりました。お話をお聞かせください」
ハナコは嫌そうな顔してる。リノイもだ。なにせちょっとお高い焼肉屋に連れて行ってくれるって話だったのにである。だけど下っ端忍びは大人しくついていくほかない。
「では君たちに任務を説明する」
政庁の会議室の一つに案内された。
「依頼は火の国経済産業省からだ。君たちがこの前にこなした誘拐阻止事件と関連がある」
「もしかしてガトーコーポレーションですか?」
「そうだ。通常企業間抗争で忍びが雇われるのはごくごく一般的なことだ。むしろ里の収入源の大きな部分を占めている。火の国も黙認している。我が身我がビジネスは自分の力で守るものだからな。だが今回の件で向居カンパニーは国にガトーコーポレーションの危険性をつよくロビー活動した。結果的にガトーコーポレーションの排除を行うことになった」
「ではガトーの暗殺ですか?」
「いいや。暗殺ではない。ガトーを合法的に犯罪者として拘束する。これは火の国の意志だ。自国内の経済権益にガトーのような危険人物に関わって欲しくないというな」
「ふーん。拘束って言っても、技術的には可能ですけど、合法的に出来るならずっと前にやられてるんじゃないですか?火の国の法に触れないぎりぎりのラインと証拠を残してこなかったのがガトーという奴ですよね?」
なんかとんでもない話になってきたぞ。国際政治ってやつはよくわからない。だけどただの誘拐事件ではなく国際紛争の矢面に俺たちは立たされることになったらしい。
「暗部の国際情報部からの情報によると今ガトーは波の国にて活動中だ。どうやら現地住民への弾圧などを行っているそうだ。当該国大名もガトーの圧力負けている。だがそこに隙がある。火の国から波の国に圧力をかけた。波の国でガトーが行ったもろもろの犯罪行為での逮捕状を出させることに成功した。その逮捕状をもとに我々木の葉の忍びがガトーを拘束する」
「なるほど代執行ですね。情報部の皆さんは屁理屈考えるのが得意ですね。こわいこわい」
森乃特別上忍は資料を俺たちに配る。
「君たちは木の葉の忍びとして正式に波の国の司法を代執行してガトーを逮捕拘束して欲しい。私がオペレーターとして現地の調整を行う。君たちのチームが現場で拘束を行う」
「なるほど了解しました。……これ終ったら休暇くださいね?」
「ああ。ちゃんと上には言っておくよ。ではすぐに波の国に向かう」
こうして俺たちはすぐに次の任務が与えられた。波の国においてガトーの逮捕拘束。また大変そうな任務だ。だけどやるしかない。忍びに引くことなど許されないのだから。
ナルトたちのいる波の国へ向かいます!