放課後――
「梨子ちゃん!作曲お願い!」
千歌の言葉に、梨子は驚いたように目を瞬かせた。
「えっ…私ですか?」
「うん!だって音ノ木坂にいたんでしょ?」
千歌は身を乗り出す。
「スクールアイドルやるなら曲が必要だもん!」
梨子は少し困ったように視線を落とす。
「私は…ピアノはやってますけど…作曲は…」
言葉を濁す梨子。
曜も少し気を遣うように言う。
「無理にじゃなくてもいいんじゃない?」
海音も静かに続けた。
「まだ始まったばかりだし」
千歌は少し悩むが、それでも諦めない。
「でも…やっぱり梨子ちゃんにお願いしたい!」
梨子は少しだけ考えたあと、小さく首を振る。
「ごめんなさい…今はまだ…」
千歌は少しだけ肩を落とした。
――――――――――
その後。
千歌は再び生徒会室へ向かっていた。
「もう一回お願いする!」
曜が少し心配そうに言う。
「ダイヤさん、厳しそうだけど…」
海音も一緒についていく。
「理由はちゃんと聞いた方がいい」
コンコン
「どうぞ」
扉を開けると黒澤ダイヤがいた。
「またあなたですの?」
千歌は真っ直ぐに言う。
「スクールアイドル部、作らせてください!」
ダイヤは静かに立ち上がる。
「あなた方…μ'sについてどれほど理解していますの?」
千歌が戸惑う。
「え…?」
ダイヤの表情が変わる。
「μ'sはただのスクールアイドルではありません!」
熱のこもった声だった。
「彼女たちの努力、覚悟、そして奇跡――」
千歌は圧倒される。
ダイヤはきっぱり言う。
「勉強不足ですわ」
そして――
「部の新設は不許可です」
再び、はっきりと言い渡された。
千歌は悔しそうに俯いた。
海音はその様子を静かに見ていた。
――――――――――
その帰り道。
千歌は一人、砂浜に来ていた。
波の音が響く。
「はぁ…」
ため息をつく。
その時――
「高海さん?」
梨子がいた。
「梨子ちゃん…」
少し気まずい空気。
そこへ曜と海音もやって来る。
「千歌ちゃん、ここにいたんだ」
千歌は少し元気を出す。
「ねぇ…海の音、聞いてみない?」
「海の音?」
千歌は笑う。
「きっといいイメージ浮かぶよ!」
そして――
千歌は海へ入っていく。
「ち、千歌ちゃん!?」
曜も慌てて続く。
梨子も少し迷いながら海へ。
海音は砂浜から三人を見守る。
波の音が響く。
梨子は目を閉じる。
「……綺麗」
曜も笑う。
「いいね…」
千歌は嬉しそうだった。
「でしょ!」
三人で同じ海を感じていた。
海音はその様子を見ながら、小さく笑った。
――――――――――
翌日。
「高海さん」
梨子が声をかける。
千歌が振り向く。
「梨子ちゃん?」
梨子は少し照れながら言う。
「作曲…手伝ってもいいです」
千歌の目が一気に輝く。
「ほんと!?」
曜も嬉しそうに笑う。
海音も頷いた。
「よかったね」
――――――――――
千歌の実家、旅館。
作詞を始める四人。
しかし――
「うーん…」
千歌は悩んでいた。
「難しい…」
曜が言う。
「スクールアイドルやりたい気持ち書けば?」
梨子も頷く。
「想いをそのまま…」
千歌はノートを開く。
「これ…」
『ユメノトビラ』
千歌の書いた歌詞だった。
「μ'sみたいになりたいんだ」
真剣な表情だった。
海音が静かに言う。
「いいと思う」
千歌は少し驚く。
「ほんと?」
海音は頷く。
「気持ちが伝わる」
千歌は嬉しそうに笑った。
――――――――――
夜。
梨子の部屋。
ピアノの音が響く。
優しい旋律。
向かいの部屋――
千歌がその音に気付く。
「梨子ちゃん…」
窓を開ける。
梨子が気付く。
千歌が言う。
「スクールアイドル…やろう!」
梨子は少し驚く。
そして――
小さく頷いた。
「…はい」
海音もまた、静かに見届けていた。
続く。