素敵なボーイフレンドを求めて!Traveler of newcomer! 作:THE・STRENGTH
潮風が吹き抜けるコルボ山の崖の上、白く削られた名もなき墓石の前に、二人の男が立っていた。
かつて火拳と呼ばれた白ひげ海賊団の元2番隊隊長、ポートガス・D・エース改め、ゴール・D・エース。そして、革命軍参謀総長、サボ。二人の間には、あの日交わした「4杯の盃」の最後の一杯が、静かに手向けられている。沈黙を破ったのは、墓石を愛おしそうに見つめるエースの声だった。
「なあサボ、あの日を覚えてるか?俺達が姉さんに初めて会ったあの日を…」
サボはトレードマークのシルクハットを胸に抱き、ふっと目元を和らげた。
「覚えているさ。お前が泥棒に失敗して返り討ちにあって、グレイ・ターミナルに転がり込んできた日だろ?」
「おい、失敗じゃねェ。油断しただけだ!」
サボは笑いしながら、エースの肩に手を置いた
「姉さんに襲いかかる前に泥棒に失敗した時の怪我をそのままにしたせいで姉さんがグレイターミナルまで付いてきちまったんだったな」
「…あの時、俺は誰の助けも要らねェって突っぱねたのに、あの人は無理やり俺の腕を引っ張って、ボロ布で手当てしやがった。『痛いなら痛いって言いなさい!』って、ダダンよりでけェ声で怒鳴りながらな」
「ははは!お前、あの時完全に圧倒されてたもんな!」
サボが遠い目をして、懐かしそうに言葉を繋ぐ
「俺も最初は警戒してた。チャラチャラしてるというか、身なりがいいやつだから貴族の誰かだと思ってた。でも姉さんが作ってくれたおにぎりを一口食べた瞬間、そんなのはどうでもよくなった。あんなに…温かい飯を出せる貴族はいないからな…」
「ルフィなんて、最初から『肉をくれた良い姉ちゃんだ!』って懐きやがってさ…」
「今思えば俺達案外チョロいよな…フフ」
サボの言葉に、二人は同時に小さく吹き出した。
風が墓前の花を揺らす。サボの表情から少しだけ笑みが消え、切なげに墓石を見つめた。
「…俺が天竜人に撃たれて、記憶を失くして革命軍にいた時も、姉さんはずっとお前とルフィを支えてくれてたんだろ? エース、俺は…」
「気にするな、サボ」
エースはサボの言葉を遮るように、その肩をポンと叩いた。
「生きることは悪いことじゃねぇんだ。お前が生きてたって知った時、ルフィがどれだけ泣いて喜んだと思っていやがる」
「お前がそれをいうのか?『俺は…生まれてきてよかったのかな…』なんて言ってたお前が?」
「…まあな。俺は俺が思っているよりも俺を愛してくれる奴らがいるってことを理解した。言葉じゃなくてな。俺が死んじまったらそいつらが悲しむし苦しませちまう。だから俺は生きるって決めた」
「…そうか」
そう呟くサボの表情はどこか嬉しそうだった
「…なあエース、俺たちはもう姉さんの手作りご飯を食べることも、無茶して叱られることもない…出来ない…けど、姉さんがくれた温もりは、俺たちの中でずっと生きている」
「ああ…俺の空っぽだった心に炎をくれた。勿論お前とルフィ、あとダダンにジジイ、白ひげ海賊団の皆のおかげで俺の心は…」
悩みましたけどオリキャラなのでね。亡くなってもらおうかなと思います。