劇場版限定みたいな能力持ってるタイプのTS魔法少女 作:しにかるさん
《END - Conclusion》!!!!
機械音声が鳴り響くと同時に、戦場をグリーンの稲妻が包み込んでいく。
……魔法少女と異形の化け物【コクーン】達は一瞬にしてその稲妻に飲み込まれ――双方共に戦闘する事が不能となった。
魔法少女は、それぞれが持っている変身アイテムであり武器でもある【コンパクト】に異常が発生し、その能力を使えなくなった。
そして【コクーン】は……全身を「ばちばち」と稲妻が走らせ致命的なダメージを受けていた。
そのダメージのほとんどが致命傷で、放っておいても【コクーン】達は死に至る事だろう。
事実として魔法少女レインの目の前にいた【コクーン】は一度びくりと体を震わせたと思った瞬間、その身が靄となって消えてしまう。
「これ、は……!」
苦しそうに喘ぎながら、レインはこの現象の中央に立つ者へと視線を向ける。
先ほどの機械音声。
――《END - Conclusion》と言ったか。
これは魔法少女が【コンパクト】に【ジュエル】をセットして力を解放した時に発せられるものの筈だ。
法則に従うのならば、【End】の力が決められた【ジュエル】の力が使われたのだろう。
そしてこの凄惨なる結末をもたらしたのは、自分と同じ魔法少女。
しかし、一体誰が……?
「ふむ……思ったよりも【ジュエル】の効果が薄かったな」
そこにいたのは、緑色のメッシュが一房混じった金髪の魔法少女だった。
魔法少女に多いスカートスタイルの衣装ではなく、ほぼ黒に近い迷彩柄の名がズボン。
真っ白いドレスシャツに緑色のネクタイ、そして真っ黒な革のジャケットという様相。
恐らく彼女の【コンパクト】であろうものがその手に握られていたが、その形は巨大な刃が取り付けられた拳銃のようだった。
あまりにも異色。
そして何より、一度も見た事のない魔法少女だ。
「あ、貴方、は――」
「……ああ、すまない。こちらとしては君まで巻き込むつもりはなかったんだけどね。だがいかんせん『これ』は融通が利かないじゃじゃ馬でね」
ちゃき、と拳銃型の【コンパクト】を見せてくる。
それから少女は言った。
「こんなものだから出来るだけ誰ともつるまず一人でいるんだが……その所為で悪魔だのなんだのと言われている気もするが、まあそういうあだ名がつけられるのも悪くない」
それからその魔法少女は――おもむろにその銃の先をレインに向ける。
緊張が走り、レインはしかし全身が痛みと虚脱感に包まれていたがために身動きが取れなかった。
「なに、を」
「
そして、魔法少女は。
その引き金を、引いた。
「一旦、これの幕引きだ」
◆
……もうこれで死ぬのかと思っていたが、しかしレインは目を覚ました。
「え!!??」
そこは彼女が住まう町の魔法課、その休憩室だった。
記憶が飛び、戦場からいきなり日常の空間に移動していた事に彼女は呆然とする。
「な、なにが……?」
「目が覚めたんですね、雨ちゃん!」
と、ぱたぱたと部屋の出入り口の方から魔法課所属の広瀬という女性が走り寄ってきた。
あまりにも見慣れた存在が近づいてくる事に魔法少女レイン――いや、中田雨は「こほん」と咳ばらいをする。
「……い、一応魔法少女レインなので」
「もう変身は解いているでしょ? それより体の方は大丈夫、痛いところはない?」
「それは、ないです。不思議な事に、何なら前より力が溢れてくるような」
じっと自分の手のひらを見る。
……昨日、うっかり包丁で切ってしまった指の傷がなくなっていた。
「誰か、回復系の魔法少女の方がいたんですか?」
「う、うーん。そういう事では一応ないかな。ただ回復系の魔法を使ったらしいのは確か」
「……?」
「最近うちに、新しい魔法少女が所属する事になったらしいの」
「そんな話、聞いてませんでした、が……」
「東京の方から異動してきたらしいね」
「……エリートって事、ですか?」
「どうだろ。私が見た感じだと、なんていうか孤高のクールビューティーって感じだったけどね」
と、そこで。
「ああ、目が覚めたんだな」
出入り口の方から新しい来訪者が現れる。
小柄な体躯、黒のミディアムヘア。
瞳にはなるほど、冷たい光が宿っていた。
「良かった。【HEAl】の【ジュエル】の力は使ったとはいえ、毎回ちゃんと効いたのかと不安になるから」
「えっと、貴方が……?」
「ああ、そう言えば自己紹介がまだだったな」
と、少女は言う。
かつ、とその場で背筋を伸ばし、シニカルな笑みを浮かべて言った。
「私の名前は、天動銀河。どう呼んでもらっても構わないよ」