「
「……なに?」
ロケット団の
ここはタマムシシティにあるアジトの1つ。
地上はロケットゲームコーナーという誰でもスロットで遊べる施設となっているが、それを隠れ蓑に地下部分がアジトになっている。
もしかしたら一般人が隠された入り口をたまたま見つけて迷い込んでしまったなんて可能性もあるが、そんな事で組織のトップたるサカキにまで連絡をしてくるバカはいない。
そんな時は見つけた団員がその場で
サカキに連絡が来るという事はつまり、その
侵入者はかなりの実力者という訳だ。
「……侵入者の目的は?」
「目的は
「ほぅ。目的はこの私か」
サカキの唇が吊り上がる。
心当たりがあり過ぎて絞り込めない。
命を狙われる相手も、そしてその理由も。
しかし、サカキにとってそんな事はどうでも良かった。
誰が相手だろうが、どんな理由だろうが関係ない。
"じわれ"の如く、全てを飲み込んでやる。
サカキにはそれを成すだけの壮大な野望と、カントー屈指の確かな実力があった。
「侵入者の特徴を教えろ」
「はいっ! ダボダボのパーカーを着た女のガキです」
「はぁ? ガキだと? …………お前達はいつから、そんなガキに好き勝手させる程の無能になった?」
サカキは青筋を立てながら団員を睨みつける。
いくつもの修羅場を潜り抜けてきたその鋭い目に、団員は震えながら弁明する。
「た、確かにガキなんですが、そ、その、そいつの手持ちがやたらと強いらしく、下っ端達のポケモンではまったく相手にならず……」
「……ふん、まぁいい。分かっている手持ちはなんだ?」
「は、はい。それが、確認出来てるのはハッサム1匹でして……」
「ほう、ハッサムか。なかなか珍しいポケモンを…………待て、ハッサムだと?」
ハッサムはストライクが特殊進化した"むし・はがね"タイプのポケモンだ。
カントーで所持しているトレーナーは非常に珍しく、レアポケモン使いということで一瞬だけテンションの上がったサカキだったが、すぐに眉を潜めて何かを考えだした。
「ダボダボのパーカーを着た女のガキと言っていたな?」
「は、はい。そうです……」
「手持ちポケモンはハッサム1匹」
「はい」
「肩に掛かる程度の長さの黒髪に、つり目がちの黒目か?」
「はっ? あ、いえ、あ〜、え〜と……すみません、そこまでの情報は──」
──ありません。
団員がそう言おうとした瞬間、凄まじい轟音と共に扉が吹き飛んだ。
突然の出来事に驚き、とっさに吹き飛んだ扉の破片から顔を守るために手で覆ってしまう団員に対し、サカキはゆっくりと立ち上がりながら、もう無くなってしまった扉の先に視線を向けた。
「みつけた」
その声は可憐な少女のもの。
外見は10歳程度。黒髪黒目のショートカット。
子供にしては鋭い目をしており、後にはハッサムを付き従えている。
「──っ!
「いや、いい」
サカキは団員を制し、一歩前に出る。
それに対して少女もサカキに向かって歩きだした。
"じりょく"に引かれるようにお互いに歩み寄る。
まるで"エレキフィールド"が張られているかのようなビリビリとした緊張感に、団員はごくりと唾を飲み込んだ。
これから、命を掛けたバトルが────
────始まらなかった。
少女はサカキの腰に抱きつき、サカキは少女の頭を撫でる。
「紹介しよう。娘のノワールだ」
普段見たことのないような笑みを浮かべる