私は今、社長を探してシルフカンパニー本社内を探索中だ。
手持ちポケモンのニドキングでロケット団の下っ端を倒しつつ、シルフカンパニー社員を開放しながら歩き回る。
社員達の中には恐怖から解放されて涙ぐむ者も少なくない。
私はそれらになるべく優しく声を掛け、安心させてやる。
何故ロケット団の
それには3つの理由がある。
まず1つ目。
ロケット団の下っ端共の実力を測るためだ。
ロケット団の中でも私の正体を知る者は少ない。
当然今このビルを占拠しているような下っ端は私の事を知らされていない。
つまり、今このビルを占拠している団員達は、私の事を本当の敵だと思っている訳だ。
以前タマムシシティのアジトはノワール1人に突破された。
組織の引き締めの前に、私自ら下っ端共の実力を確認してやろうという魂胆だ。
そして2つ目。
トキワジムジムリーダーとしての私と、ロケット団の無関係を装う為だ。
万が一にも私がロケット団の
私がロケット団を打倒し、ロケット団からシルフカンパニー解放する事で、私がロケット団の
それにロケット団が少し有名になり過ぎたのに対し、ジムリーダーとしての私の名は売れていない。
今まではあえて人前に出る事を避けてきたが、今後のビジネスのためにここらで私の名前も売っておきたい。
そして最後の3つ目。
ノワールがシルフカンパニーとの繋がりを望んだからだ。
シルフカンパニーはポケモン関連の道具を開発、販売する大企業。
ここで恩を売っておけば、後々何かする時に協業や出資の依頼がしやすい。
ノワールはポケモンバトルにおいても、
全く、自分の娘ながら末恐ろしいものだ。
「くたばれぇぇぇっ!」
「不合格だ。奇襲をするなら声を出すな」
通路の角から飛び出してきた下っ端のズバットをニドキングが"れいとうビーム"一発で"ひんし"にする。
「エレブー! "かみなりパンチ"」
「バカか? 私のニドキングは"どく"と"じめん"の複合タイプだぞ? "でんき"タイプの技は効かん」
タイプ相性を覚えていない下っ端を"だいちのちから"で"ひんし"にする。
「ポッポ! "すなかけ"からの"たいあたり"だ! 後は……え~っと、もう一度"すなかけ"!」
「せめて"かぜおこし"を覚えるぐらいまで育ててこい」
ポッポを"ヘドロウェーブ"で"ひんし"にする。
トレーナーズスクールに通い始めた子供でももう少し出来るぞ?
ふーむ。
こうして相対してみると分かるが、中々に酷いものだな。
一階にいた奴等はまあまあだったんだが……。
下っ端なんぞ替えの効く駒だとしか思っていなかった為、今までこいつ等のバトルの強さを気にした事はなかった。
だがしかし、いくら下っ端とはいえこれは流石に……。
ロケット団は最強で最恐、そして最凶のポケモンマフィアでなくてはならない。
そしてロケット団の構成員がこの弱さでは、他の組織や警察どころか、一般人にも舐められるだろう。
急ぎこいつ等を教育せねばならん。
取りあえずはカモフラージュとしてトキワジムの見習いとしてジムトレーナー達に鍛えさせるか。
よし、この仕事が終わったらトキワジムを再開させよう。
下っ端を鍛える序に、ノワールもジムトレーナーとして参加させるか。
ジムトレーナーとポケモンバトルの経験を積ませつつ、ロケット団の下っ端を使って部下の使い方も学ばせ、次期
そして、もう1人……。
ノワールの腹違いの弟、シルバー。
シルバーは現在トキワシティで母親と住んでいる。
トレーナーとしてはなかなか才能がありそうなので、こいつも見習いとして参加させてみよう。
ノワールと競わせるのも面白いかもしれん。
ノワールとシルバー、まだ会わせた事はないが、会わせた時にどういった反応をするのか楽しみだ。
シルバーは少し甘ったれな所がある。
ノワールの事を姉と慕うというよりは、ライバルとして敵視しそうだ。
そんなシルバーに対し、ノワールはどう対処するだろうか?
懐柔するか? それとも排除するか?
いずれにせよ、ノワールの新しい一面が見られるだろう。
もし上手く対応出来ないようであれば、親として教育してやらねばならん。
子供の教育というのは、ポケモンと同じで難しいものだな。
しかし、面白い。
ノワールにシルバー。
2人がどう育つのか、今から楽しみだ。
さて、この詰まらない仕事はさっさと終わらせてしまおう。
私はニドキングに指示を出し、"かえんほうしゃ"で社長室のドアを吹き飛ばした。