ロケット団首領の娘   作:ポコポコぱんぱん

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第11話 姉と弟①

 

「オレはお前が姉なんて認めないからなッ!」

 

 

オレはトキワジムのジムリーダー・サカキの息子、シルバー。

オヤジにトレーナーとして鍛えてやると言われ、トキワジムでトレーナーとしての訓練を積むことになった。

 

オレはオヤジのように最強のトレーナーになるためにトキワジムへとやって来たのだが、そこで紹介されたのが目の前にいるこの女だ。

 

この女はノワールといい、オレの腹違いの姉らしい。

オヤジからはポケモンバトルについて色々と教えて貰えと言われたが、こんな奴から教わることなんて何もない。

 

 

「おいオマエッ! さっきから無視しやがって……! オレの話を聞いているのかッ!?」

 

 

ノワールはこのオレを無視し、何故かジムの中を落ち着きなくウロウロと徘徊している。

この女、頭がおかしいのか……?

 

 

「…………あ、生まれる」

 

 

突然ピタリと足を止めたノワールが訳の分からない事を呟く。

「生まれる」という言葉に思わずノワールのお腹を見てしまった。

当たり前だが、ノワールのお腹はまったく膨らんでおらず、ほっそりとしている。

 

 

「お前、何を言って──ッ!?」

 

 

ノワールがモンスターボールからポケモンのタマゴを出すと、そのタマゴにピシッと亀裂が走った。

その亀裂はドンドンと大きくなり、一匹のココドラが誕生した。

 

これが孵化……!

ポケモンが生まれるところを見たのは初めてだ。

ノワールは他のジムトレーナー達から『おめでとう』と言われている。

何時も無表情なノワールだが、心なしか嬉しそうだ。

 

 

「それで?」

 

「え?」

 

「私を、姉と認めないって?」

 

「──ッ!? そ、そうだ! オレは認めないぞ!」

 

「別にいいよ」

 

「なに?」

 

「だって、私も今日初めて会った君のこと、弟と思えないし」

 

「……ふん。それなら話は早い。先に生まれたってだけで偉そうな顔を──」

 

「でもね」

 

 

ノワールが俺の方に一歩、歩み寄る。

 

 

「ここは、カントー最強のポケモンジム。弱い奴が、偉そうにしないで」

 

「オマエ……ッ!」

 

 

コイツ、この俺が弱いだと……ッ!?

思わずノワールを"にらみつける"が、逆にまっすぐと見つめられ、その"プレッシャー"に少し気圧される。

 

 

「…………一対一(ワン・オン・ワン)

 

「あ゙ぁ゙?」

 

「私はこの子(ココドラ)を使うから、一対一(ワン・オン・ワン)で勝負しよう」

 

「この子って……そいつは生まれたばかりだぞッ!? 勝負になるわけないだろうがッ!」

 

「君()()なら、この子(ココドラ)で十分」

 

「舐めやがって……ッ! いいだろう! ブチのめしてやる!」

 

「バトルコートへ行こう」

 

 

ノワールはココドラを連れ、バトルコートへと歩いていく。

コイツは一体何をするつもりだ?

まさか本当に生まれたばかりのポケモンでバトルするというのか?

 

 

「準備はいい?」

 

「こちらのセリフだ! ポケモンを変えるなら今だぞ!?」

 

「君は、この子(ココドラ)の恐ろしさが分かってないみたいだね」

 

「馬鹿を言うな! 生まれたばかりでろくにトレーニングもしていないポケモンの何を恐れる必要がある!?」

 

「…………ふふふ。それなら、私が教えてあげるよ。掛かっておいで」

 

「後悔するなよ!? 行け、ゴルバット!」

 

 

このゴルバットは、オヤジにオツキミヤマに連れていって貰った時、俺が自分の手で初めて捕まえたズバットが進化したやつだ。

オヤジの息子として恥ずかしくないように、必死に育て上げた自慢の相棒。

ココドラは攻撃力、防御力ともに高く、"いわ・はがね"タイプなので"どく"状態にもならない。

しかし、オレのゴルバットの敵ではない!

 

 

「ゴルバット! "エアカッター"!」

 

 

ゴルバットの"エアカッター"がココドラに直撃する。

だが、ココドラは"ひんし"一歩手前で何とか持ち堪えたようだ。

 

 

「特性"がんじょう"か。小賢しい。でも次で終わ──」

 

「"がむしゃら"」

 

「なにッ!?」

 

 

ココドラの攻撃がゴルバットにヒットする。

"がむしゃら"は自身と相手の体力が同じになるダメージを与えるワザだ。

ココドラはほぼ"ひんし"状態。

つまり、ゴルバットもほぼ"ひんし"状態になる程のダメージを受ける……!

 

 

「クソッ! でもこれで終わりだ! ゴルバット! もう一度"エアカッター"!」

 

 

"がむしゃら"でかなりのダメージを負ったゴルバットだが、何とか持ち直してワザを放つ。

よし、これでワザが外れたらピンチだったが、ゴルバットの"エアカッター"はココドラにヒットした。

これでオレの──

 

 

「"がむしゃら"」

 

 

オレが勝利を確信した瞬間、ココドラの攻撃がゴルバットにヒットし、ゴルバットが力尽きた。

 

 

「何だとッ!? ゴルバットの"エアカッター"は確実にココドラにヒットした! 何故まだ動ける!?」

 

「"かいがらのすず"だよ」

 

「"かいがらのすず"……だと? …………確か、与えたダメージによって回復する事が出来るアイテム。──そうかッ! "がむしゃら"で大ダメージを与えた事で体力を回復していたのか!」

 

 

ココドラは生まれたばかりでレベルが低いから大抵の攻撃で大ダメージを受ける。

しかし、特性"がんじょう"により一撃で倒される事はなく、逆に大ダメージを受ける事で"がむしゃら"の威力が上がり、"がむしゃら"の威力が上がれば"かいがらのすず"の回復量も上がる。

さらに体力の上限も低いので全回復し、全回復する事でもう一度特性の"がんじょう"が発動する。

このココドラを倒すには"にどげり"のような複数回ダメージを与えるワザや、"どく"状態による継続ダメージ、"すなあらし"などの環境ダメージを与えないと倒せない。

でもココドラは"いわ・はがね"タイプなので"どく"も"すなあらし"も効かない。

あとは"ゴースト"タイプで"がむしゃら"を無効化するぐらいしか対策がない。

 

何と計算された戦術……!

オレのゴルバットでは、"ちょうおんぱ"で"こんらん"状態にして運に任せるしか勝ち筋がなかった。

 

…………そうか。

オレはバトルする前から、トレーナーとしてコイツに負けていたんだ……。

 

 

「パパに言われたから、これから私が貴方を鍛えてあげる。これはレッスン1。ポケモンバトルにおいて、ポケモン単体の強さは、戦術でいくらでもひっくり返せる。貴方もパパの…………最強のポケモントレーナー・サカキの息子なら、弱いままでいるのは許さない」

 

 

ノワールから放たれる"じょおうのいげん"のような圧倒的強者の威圧。

オレはゴクリと喉を鳴らし、静かに頷いた。

 

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