ロケット団首領の娘   作:ポコポコぱんぱん

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第13話 グリーン再び

 

「ここが最後のジムか……」

 

 

オレ様はグリーン。

ポケモン研究の第一人者と呼ばれるオーキド博士の孫で、いずれチャンピオンになる天才ポケモントレーナーだ。

 

7人のジムリーダーを倒してオレ様の実力を認めさせ、7個のジムバッジを手に入れた。

ポケモンリーグに挑戦するには、8個のバッジを集める必要がある。

残すはここ、トキワジムのみ。

 

 

「頼もうッ!」

 

 

ガラッと勢い良くドアを開け放ち、ジムに入る。

その瞬間、"ミサイルばり"のようにビシビシと突き刺さるジムトレーナー達からの鋭い視線。

オレ様なんかに興味はないって感じでその視線は一瞬で外されたが、その一瞬だけで分かる事があった。

 

 

────今までのジムとは、レベルが違う。

 

ジムに入るだけで、これからのバトルが厳しいものになる事が容易く予想できた。

 

 

「……面白え」

 

 

オレ様はチャンピオンになる男だ。

このジムの奴等がどれ程強いか知らねぇが、全員ぶっ飛ばすだけだ。

 

 

今は丁度ジムトレーナー同士でバトルをしていたようだな。

バトルしているのは生意気そうな赤髪のガキ。

ポケモンは……カイリキーか。

見ただけで分かる。

あのカイリキー、かなり鍛え込まれてるぜ。

 

対戦相手は……ハガネールか。

とんでもねぇ防御力の、カントーでは珍しいポケモンだ。

こっちも良く鍛えられてるようだが、タイプ相性的にはカイリキーが有利。

トレーナーは──

 

 

「──ッ!? アイツは!?」

 

 

肩に掛かるぐらいの黒髪のミディアムヘア。

ニューラのような"するどいめ"。

服装こそ動きやすいようにジャージを着ているが、やたらとキラキラ光る宝石の指輪を付けているのはタマムシシティで会った時と同じ。

 

間違いねぇ……!

ハッサムのトレーナー!

アイツ、トキワジムのトレーナーだったのか……!

 

 

「カイリキー、"インファイト"だ!」

 

「……ハガネール、"じしん"」

 

 

ハガネールは防御力は高いが足が遅い。

それに攻撃力も高くないから、"じしん"を当てても一発じゃカイリキーは倒せねぇ。

そもそもカイリキーの"インファイト"はタイプ一致な上にハガネールには効果抜群。

 

しかも良く見りゃ4つある腕の1つに真っ赤な玉を持ってやがる。

あれは"かえんだま"だな。

持っていると"やけど"状態になるアイテムだ。

という事は特性は恐らく"こんじょう"。

状態異常になると攻撃力がアップする特性で、ただでさえ高いカイリキーの攻撃力を更にアップさせる嫌らしい組み合わせだぜ。

 

もしハガネールの特性が"がんじょう"なら一発だけ耐えられるが、次のターンで終わりだ。

 

あの女……仮にもオレ様に一度勝った奴が、あんなガキに負けるとはな。

クソッ! 胸糞悪りぃぜ……!

 

オレ様の予想通り、カイリキーの"インファイト"が先にヒットする。

ハガネールは特性"がんじょう"で何とか耐えて"じしん"で反撃し──

 

 

──カイリキーは倒れた。

 

 

なに!? 何が起こった!?

あのハガネールに何故そんな攻撃力が……?

レベルもそこまで離れてねえはず……。

 

赤髪のガキも、わけもわからず"こんらん"しているみたいだ。

 

 

「カイリキー!? どうして……!?」

 

「ハガネールには"じゃくてんほけん"を持たせてある。惜しかったね、シルバー」

 

「クソッ! また負けた!」

 

 

"じゃくてんほけん"か!

 

"じゃくてんほけん"は弱点を突かれた時に攻撃力が大幅に上がる道具だ。

特性"がんじょう"のハガネールなら必ず一発は耐えられる。

攻撃力の低さを道具でカバーして、強烈な"カウンター"をお見舞いしたって事か。

なるほど、良く考えてやがるぜ。

 

思わず口の端が吊り上がる。

 

やっぱりあの女────強えッ!

 

 

「おーす! みらいのチャンピオン! 残念だけど今日は──」

 

「邪魔だッ!」

 

「うわぁッ!?」

 

 

どのジムにもいる変なメガネを突き飛ばし、バトルコートへ向かう。

 

以前あの女に負けた時、おかしいと思っていた。

オレ様はアイツが何処の誰なのか全く知らねえ。

オレ様が負ける程の強さを持ったトレーナーが、何故無名なのか。

 

トキワジムのジムリーダーは最強と噂されながらも長らく誰だか謎とされてきた。

しかも暫くジムが閉鎖されていたにも関わらず、最近になって突然の再開。

恐らく閉鎖していたのは前のジムリーダーが引退したからだ。

そして、新しくジムリーダーになったのがあの女なんじゃねえか?

 

あの女がジムリーダーなら、あのバトルの強さも納得だぜ。

オレ様とタマムシシティで会ったのはジムリーダーになる為の修行中だったってとこか?

 

つまり、あの女を倒せば8つ目のバッジが手に入り、前回のリベンジも果たせるって訳だ。

 

オレ様は観覧席から飛び降り、バトルコートに降り立った。

 

 

「おい、オマエッ! 次はオレ様と勝負しな!」

 

 

オレ様の声に、ジム内にいる全員の視線が突き刺さる。

おぉ〜怖え怖え。

どいつも殺気立ってやがるぜ。

 

 

「何だぁこのガキ」

「どこの子供だ?」

「お嬢と勝負だと……?」

 

 

オレ様の周りにワラワラと集まってくるジムトレーナー達。

バトルをしてた赤髪のガキと女もポケモンをボールにしまい、こちらにやってくる。

 

 

「誰だキサマは? ジムチャレンジなら出直すんだな。今日は──」

 

「負け犬は引っ込んでな! オレはこの女に用があるんだ!」

 

「なっ……! キサマ……!」

 

 

赤髪のガキを押しのけ、女の前に立つ。

相変わらずのポーカーフェイスで何考えてんのか良く分からねぇ顔だ。

これからその顔を悔しさで歪ませてやるぜ……!

 

 

「オマエに負けてから、どうやったら勝てるのか死ぬ程考えた。そして完璧なポケモンを探した。色んなタイプのポケモンに勝てるコンビネーションも研究した」

 

「……」

 

「旅をしながら限界までポケモンを鍛え上げた。7人のジムリーダーを打ち倒し、7つのジムバッジを手に入れた。チャンピオンに挑戦するのに必要なバッジはあと1つ。…………ここ、トキワジムのみ」

 

「……」

 

「トキワのジムリーダーはカントー最強……そんな噂だけが独り歩きしている正体不明の謎のトレーナー。…………オマエなんだろ? いや、そのバトルの強さ、オマエに違いねえ!」

 

「……」

 

 

この女の強さ、コイツがカントー最強と呼ばれるトキワのジムリーダーだ。

以前タマムシシティで負けた時からおかしいと思っていた。

オレ様がそこらのモブに負けるわけねえからな。

 

 

「オレ様はオマエをブチのめして、最後のバッジを手に入れる! そしてポケモンリーグに挑み、四天王もチャンピオンも倒し、オレ様こそが最強のトレーナーだと証明する!」

 

「……」

 

「さぁ! さっさとポケモンを回復させろ! オマエに負けた屈辱を、一時たりとも忘れた事はなかった! オマエに勝つために、死に物狂いで戦い続けてきた! オレ様達の強さ、見せつけてやるッ!」

 

「………………ふふふ、あははははッ!」

 

「なッ!? 何がおかしいッ!?」

 

 

コイツ……! 人様の努力を笑いやがって……!

 

 

「姉貴が、笑っている……だとッ!?」

「俺、お嬢が笑ってるの初めてみたぞ……?」

「お嬢も人の子だったんだな……」

 

 

この女が笑っているのを見て、ジムトレーナー達も驚いている。

コイツ、普段どんだけ無表情なんだ……?

何だかレッドみたいでムカつくぜ……!

 

 

「クフフ……プッ…………ごめんごめん。別に、君を馬鹿にして笑ったんじゃないんだ」

 

 

女は笑い過ぎて目尻に浮かんだ涙を拭いながらそう言った。

 

 

「……好きなだけ笑えよ。オレ様は絶対オマエに勝つし、ジムバッジも手に入れる。そしてチャンピオンになって、見返してやる……!」

 

「……ウフフ……アハハハ! ……ふぅ……ふぅ。…………気合十分なところ、悪いんだけどね。今日うちのジム────定休日だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかも私、ジムリーダーじゃないから」

 

「…………………………え?」

 

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