ロケット団首領の娘   作:ポコポコぱんぱん

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第15話 グリーンの挑戦①

 

「君がグリーンか。娘から話は聞いている」

 

 

コイツがノワールのオヤジか。

そして、トキワジムのジムリーダー・サカキ……!

にこやかに微笑んでるのに、すげえ"プレッシャー"だ……!

 

これが……カントー最強のトレーナー!

 

 

「昨日は折角来てくれたのに済まなかったな。このジムは再開してからまだ日が浅いんだが、再開したことばかりが広まってしまって、定休日についてはあまり認知されていないんだ」

 

「……構わねえよ。代わりに色々見学させてもらえたしな」

 

「そうか? それなら良かった。今日は君がうちのジムトレーナー3人に勝てたら、私が相手をしよう」

 

「3人と言わず、ここのトレーナー全員でもいいぜ?」

 

「ハッハッハ! 威勢がいいな! やりたければ好きなだけバトルするといい。うちのジムはバトル好きばかり集まっているから皆も喜ぶだろう。しかし、私もジムリーダー以外に色々なビジネスを抱えていて忙しい身でね。夕方には出掛けてしまうから、それまでに頼むぞ?」

 

「ハッ! 十分過ぎるぜ! さっさと3人倒して、アンタからバッジを頂くとするさ!」

 

「うむ、楽しみにしているぞ! …………では、そうだな。君の相手は──」

 

「オヤジ! オレだ! オレにやらせてくれ!」

 

 

自ら名乗り出たのは赤髪の生意気そうなガキ。

ノワールの弟の、確か……シルバー、だったか?

 

 

「シルバーか……。ふむ、いいだろう」

 

「よっしゃあ! 残念だったな! キサマの夢はここで終わりだ! オレのポケモンで叩き潰──」

 

「ただしッ!」

 

 

シルバーの啖呵を、サカキが大声で遮る。

 

な、何だよ急に……。

びっくりするじゃねーか。

シルバーも驚いてズッコケたぞ?

 

 

「ベストメンバーを使うのは禁止だ。ちゃんとジム戦用のメンバーで相手しろ」

 

「…………ちぇッ! 分かったよ。ま、コイツ程度ジム戦用のメンバーで十分か」

 

 

一瞬、言われたことが理解出来なかった。

 

ベストメンバー禁止?

ジム戦用のメンバーで十分?

 

 

「…………どういう意味だ?」

 

「言葉も理解できないバカだったか? キサマなんぞに、全力を出すまでもないという事だ! ここは最強のトキワジムだぞ!? 身の程を知れ!」

 

「この天才たるオレ様に身の程を知れだと……ッ!? 後でパパに慰めて貰うことになるぞクソガキっ……!」

 

「止めんか2人とも!」

 

 

サカキがオレ様とシルバーの間に割って入る。

 

 

「グリーン君、君は1つ勘違いをしているようだ。君は……チャンピオンを目指しているんだろう?」

 

「あぁ? だったら何だよ? オレ様はやると言ったらやる男だ! チャンピオンになって、このオレ様こそが世界最強だと──」

 

 

 

──間違っている

 

 

 

 

ズンッ……と"じゅうりょく"が100倍になったかのような錯覚。

サカキの言葉が、物理攻撃のようにオレ様の上に"のしかかる"。

 

 

「チャンピオン・ワタルは、このジムの中でどの程度の強さだと思う?」

 

「……は?」

 

「チャンピオン・ワタルの強さだよ」

 

「……そりゃあ……チャンピオンなんだから……一番強えんだろうよ」

 

「…………フッフッフ…………アッハッハッハ!」

 

 

サカキが笑い出した途端、他のジムトレーナー達も釣られるように笑い出した。

 

 

「フフフ、ねぇ、笑っちゃ可哀想よ」

「ハッ、そういうお前だって笑ってんじゃん」

「アハハハ! ま、普通はNo1でもないのに堂々とチャンピオン名乗れないよなぁ?」

 

 

コイツ等、まるでチャンピオン・ワタルの事を何とも思っていないみたいな反応だ……。

 

 

「グリーン君。答えはな…………『下から数えた方が早い』だ」

 

「なッ……!?」

 

「フフフ、不思議か? だったら何故、我々がチャンピオンにならないのかが?」

 

「…………ああ、不思議だね。そんなに自信があるなら、アンタがチャンピオンになればいいじゃねえか」

 

「そんなの決まっている。『チャンピオン』という肩書は、足枷にしかならないからだ」

 

「足枷……だと?」

 

「ああ、そうだ。私はジムリーダーだけでなく複数のビジネスも抱えている。唯でさえ忙しいというのに、ポケモンリーグからボランティアで1円にもならん仕事を押し付けられるなんぞ堪ったものではない。それに何より、チャンピオンになったらポケモンバトルをしては()()()()んだ」

 

「何? ……そう、なのか?」

 

「そうさ。考えてもみたまえ。ポケモンバトルに絶対はない。もしチャンピオンが野良バトルで一度でも負けてみろ? ポケモンリーグの権威は地に落ちるだろう」

 

「……」

 

「チャンピオン・ワタルが野良バトルをしているなんて噂を一度でも聞いたことがあるか? ないだろう?」

 

「……」

 

「まあ、そういう訳だ。シルバーが同世代に負けることはないだろうし、うちのジムでも平均程度の実力はある。本気を出したらチャンピオン・ワタルより強いことになってしまう。それに君はジムチャレンジに来たのだろう? ジム戦用のメンバーで相手をするのは何もおかしな事ではない」

 

「……」

 

「もし君が勝てたのなら、シルバーのベストメンバーともバトルしてみればいい。きっと、君にとって良い経験になるだろう」

 

「…………じ……だ」

 

「ん? 何か言ったか?」

 

「……上等だってんだよッ! ジム戦だろうが何だろうが関係ねえ! 全員ぶっ飛ばしてやらぁッ!」

 

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