ノワールにトキワジムを案内されるが、改めてこのジムの凄さに驚かされる事ばかりだった。
特にこのジムで"型"と呼ばれている育成方法ごとのポケモンについては、私やカンナだけでなく、普段物静かなシバも非常に興奮していた。
「何だコイツは!? このようなポケモンは知らぬ!?」
「この子はウーラオス。パパの部下が、パルデア地方で捕まえたダクマというポケモンを進化させた子です。進化するには"みずのかけじく"か"あくのかけじく"が必要で、"みずのかけじく"を使用すると"かくとう・みず"タイプ、"あくのかけじく"を使用すると"かくとう・あく"タイプのウーラオスに進化します」
「なに!? 同じ進化先なのにタイプが違うのか!?」
「はい。でも、タイプが違うので、別の進化先と考えても良いかもしれません。その辺りの分類については、ポケモンの生態を研究している方々にお任せしたいと思います」
「確かに、ポケモンバトルにおいては進化先の分類などどうでもよい事だな……」
「はい、そういう事です。それでなんですが……。今回はたまたま…………そう、たまたま! そのダクマのタマゴ、1つだけ在庫がございます」
「なに!? 本当か!?」
「はい。ダクマのタマゴは非常に珍しく、何時もなら即売り切れてしまうのですが……。もしかしたら、今日シバさんがいらっしゃったのは運命だったのかもしれません。"みずのかけじく"か"あくのかけじく"のどちから1つサービスするので、ダクマのタマゴ、購入しませんか?」
「…………よし、買った! ウー! ハーッ!」
「ご購入ありがとうございます」
「まあ! この子は"こおり"タイプのキュウコン!? 始めて見たけれど、気品があって美しいわ!」
「これは、アローラ地方のリージョンフォームです。アローラ地方のリージョンフォームだと、"こおり"タイプのサンドパンもございます」
「へえ、こちらも背中のトゲが氷になっていて美しいわね」
「はい。でも美しいだけでなく、バトルでも優秀ですよ。アローラキュウコンは"こおり・フェアリー"タイプなので、タイプ相性的には通常のキュウコンよりも弱点が多く扱いが難しいですが、特性が"ゆきがくれ"か"ゆきふらし"なので、"こおり"タイプのパーティにとっては非常に魅力的なポケモンです。アローラサンドパンも特性が"ゆきがくれ"と"ゆきかき"なので、うちのジムの"こおり"使いには人気です」
「確かに"こおり"使いにとっては魅力的だわ」
「ええ、そうでしょう。そしてなんと先日、運良くこの子達のタマゴを入手しました。もしカンナさんが良ければ、購入しませんか?」
「ええ? この子達のタマゴを? でも、ポケモンを売買するというのはちょっと……」
「そうですか……。それは残念です。この子達は見た目が美しいのでポケモン愛好家達に観賞用として非常に人気が高く、常に予約いっぱいで普通ならとても販売なんて出来ないのです。しかし、お金持ちの愛好家に飼い殺しにされるより、カンナさんのような"こおり"使いのエキスパートに育ててもらう方がこの子達も幸せだと思ったのですが…………」
「…………分かったわ! この子達は私が幸せにしてみせます!」
「ご購入ありがとうございます」
「馬鹿なッ!? 育成が難しいと言われる"ドラゴン"タイプが、何故こんなに……!?」
「トキワジムには、優秀なトレーナーが揃っていますので」
「確かに君達の優秀さは認めるが、それにしてもこの数は異常だ……!」
「うちのジムでは、優秀なトレーナーに育ててもらったポケモンをレンタルポケモンとして買い取っています。トレーナー達からしてもバトル以外の収入源になりますし、ジムとしてもレンタルポケモンの充足に繋がるので、Win-Winの関係となっています」
「そのような取り組みを行っているのか……」
「はい。ジムトレーナーからの買い取り以外にも、パパのツテで各地方に協力者がたくさんいます。そうやって色々な地方からポケモンを集めて、バトル用にレンタルポケモンとして貸し出しています。ポケモンジムとしては高額な入学金や月謝も、このレンタルポケモンの拡充や維持に使われています」
「確かに、これだけのポケモンを維持するには金が掛かるか」
「はい。他にも資金源として、ポケモンのタマゴの販売もしています。そういえば、ワタルさんのパーティはハクリュウ2匹にカイリューが1匹。進化前後とはいえ、同じポケモンが3匹もいますよね? うちでは"ドラゴン"タイプのポケモンのタマゴも多数販売していますよ? 試しにどれかお一つ、いかがですか?」
「なに? "ドラゴン"タイプのポケモンを販売だと? "ドラゴン"タイプは非常に危険なポケモンだ。一歩間違えれば、トレーナーがポケモンに殺される事もある。そんなポケモンを金銭で販売するというのは……」
「お言葉ですが、トキワジムにはポケモンに殺されるような弱いトレーナーはおりません。入会したばかりならその限りではありませんが、ポケモンがタマゴから孵る頃にはそれなりの実力が身に付いています。もちろん、通常はジムトレーナー以外にポケモンを販売するような事はしていません。販売したジムトレーナーに対しても、ベテラントレーナーからの十分な指導を行っております。何も知らずにたまたま野生のポケモンをゲットしてしまうより、むしろしっかりと指導を受けられる分、うちのジムで購入する方が安全だと考えております。今回ワタルさんに購入のお話をしたのはポケモンリーグ四天王というその実力を見込んでの事です」
「なるほど。このジムで腕を磨いていれば心配するような事でもない……か。それに、たまたま身の丈に合わない野生のポケモンをゲットしてしまうより、ここで実績のあるトレーナーから指導を受けた方が安全というのは納得できる」
「そういう事です。それで? タマゴの購入はいかがですか? ボーマンダにガブリアス、オノノクスやサザンドラ、色んな子が、貴方に育てて貰えるのを待っていますよ? 最近では、ドラパルトも人気です。珍しいものだと、アローラナッシーも"くさ・ドラゴン"タイプですよ? あ、ワタルさんのパーティにはプテラがいましたね? 同じく化石から誕生したポケモンであるガチゴラスやウオノラゴンも非常にオススメのポケモンです」
「う……どのポケモンも、非常に魅力的ではあるが……」
「もしかして、育成方法などに心配がありますか? ご安心下さい。本来ならばジムの会員のみに公開している情報ですが、ワタルさん達には特別に、そう、特別にお教えしましょう。当ジムには様々な戦術がデータベース化されており、間違った育て方をして、いざバトルになったら使えないなんて心配はございません」
「それはありがたいが……。でも、ポケモンを育てるというのは大変だ。そんな簡単に決められる事ではないよ」
「なるほど。しっかりと育成してあげたい、そういったポケモンの事を考えてのお悩みだったのですね。大変ご立派な事だと思います。しかし、当ジムにおいて、そのようなお悩みは不要です。当ジムでは、有償でのポケモン預かりサービスも承っております。育て屋さんのポケモンバトルに特化したバージョンだとお考え下さい。当ジム自慢のトレーナー達が、お客様のご要望に沿った育成のお手伝いをさせて頂きます」
「う……し、しかし、値段の事もあるし……」
「この子達も、ワタルさんのような
「クッ……! 分かった! この子達は私が育てる!」
「ご購入ありがとうございます」