ロケット団首領の娘   作:ポコポコぱんぱん

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第22話 ノワールのポケモンショッピング②

 

「全く……何やってんだい、アンタ達は」

 

「……」

「ご、ごめんなさい」

「め、面目ない……」

 

 

サカキの息子のシルバーにバトルで負けたらしいキクコは、すこぶる機嫌が悪いみたいだ。

そんな虫の居所が悪いキクコに叱咤されるが、私達は何も言い返せない。

 

 

「小娘に言いように転がされちゃってさあ! ポケモンリーグ四天王として恥ずかしくないのかい!?」

 

「す、すまない。だが私には、ポケモンリーグ四天王という肩書の前に、真の"ドラゴン"使いとしての使命が……」

「わ、私だって! "こおり"使いのエキスパートとして、この子達を幸せにしてあげられるのは私だけなんだから!」

「……運命だったのだ」

 

「黙りな! 今回は四天王としての仕事で来てるんだよ! それなのにアンタ達は──」

 

「キクコさん、皆さんを怒らないで?」

 

 

ノワールがキクコをなだめてくれるが、このような子供に庇われる自分が情けない。

だがしかし、あの"ドラゴン"ポケモン達は、私が引き取らねばならなかったのだ……。

反省はするが、後悔はしない。うん。

 

 

「ノワール! 元はと言えば、アンタがコイツ等にセールスしたのが原因だろう! 余計な口を挟むんじゃないよ!」

 

「本当にごめんなさい。私もポケモン達に幸せになって欲しかったから、皆さんに購入をお願いしちゃったの。だから、悪いのは私。皆さんを叱らないであげて?」

 

「甘っちょろいこと言ってんじゃないよ! ポケモンの幸せだって!? ポケモンってのはね、戦わせるもんなんだよ! 」

 

「そういう考え方もあるのは知ってるよ? でもね、それなら尚更、勝てなくちゃ駄目でしょう?」

 

 

このノワールの言葉に、キクコの目がスッと細められる。

 

 

「…………アンタ、何が言いたいんだい?」

 

「キクコさん、さっきシルバーに負けたでしょう? キクコさんのパーティは"あく"タイプに弱すぎるわ」

 

「余計なお世話だよ! 確かにあのガキは強かった! でもね、あたしもポケモン達だって次は負けないよ!」

 

「──負けるよ」

 

「なんだって!? アンタ、もういっぺん言ってみな!」

 

 

マズい!

気性が荒く負けず嫌いなキクコは子供相手でも引くような性格はしていない!

ここは私が止めなくては!

 

 

「おいキクコ! 子供相手に何をムキになってるんだ!」

 

「黙ってなワタル! あたしは今、この小娘と話してるんだよ!」

 

「何度でも言うよ。貴方は、絶対にシルバーには勝てない」

 

「おいノワール! 君もキクコを"ちょうはつ"するのは止めろ!」

 

「ごめんねワタルさん。でも、少し黙ってて」

 

 

ノワールまで!?

私は君を助けるために口を出したんだが!?

 

 

「それだけ怒るって事は、悔しかったんでしょう? シルバーみたいな子供に負けて。でも、貴方のパーティでは"あく"タイプ相手にどうしたって強くは出られない。でも、捨てられないよね? 今まで貫いた、"ゴースト"タイプへの拘り。でも、我慢出来ないよね? 自分を弱いと吐き捨てる子供に負けるなんて。ただ、今のキクコさんに出来るのはゲンガーの"さいみんじゅつ"による運頼りの戦法のみ。…………違う?」

 

 

おいノワール!?

何て事を言うんだ!?

確かにキクコのパーティでシルバーに勝つのは難しいが、そんな正論を言ってもキクコを怒らせるだけじゃないか!?

 

 

「…………フンッ! …………続けな」

 

「…………私もね、悔しいの。小さい頃からずっと、キクコさんのバトルを見てきたんだよ? パパに言われてね。パパもね、子供の頃からキクコさんとオーキド博士のバトルを何回も見たって言ってたわ。キクコさんが、タイプ相性の不利を力でねじ伏せて来た事も知ってる。でもね、シルバーや私はまだ子供だけど、このジムでずっとトレーニングしているの。もし"さいみんじゅつ"が100%の確率で当たったとしても、タイプ相性で勝る相手に負けるようなバトルはしないわ」

 

 

薄っすらと目に涙をため、訴えるノワール。

そうか……この子は、本当はキクコに勝って欲しかったのか。

 

 

「…………じゃあ、どうしろって言うんだい? あたしだってね、本当は分かってるのさ。もう、単タイプに拘るやり方は古いってね。レッドもグリーンも、シルバーだって、色んなタイプのポケモンを育てている。他の地方だってそうだ。どの地方のチャンピオンも単タイプ使いなんていやしないよ。ワタルだって"ドラゴン"使いなんて名乗っちゃいるが、"ドラゴン"タイプはパーティのうち3匹のみ。しかもハクリュウにカイリューだろ? "ドラゴン"タイプは実質1種類だけさ」

 

「いや、私のパーティは──」

 

「今はノワールと話してるんだ! 横からしゃしゃり出てくるんじゃないよ!」

 

 

ウッ!? 凄い形相で睨まれてしまった……。

だが弁明させて欲しい。

私のパーティはちゃんと"ドラゴン"タイプなんだ……。

ギャラドスはポケモン生物学的に"ドラゴン"とされているし、現代に復元されたプテラは"いわ・ひこう"タイプだが、大昔のプテラは"ドラゴン"タイプだったと言われていたし……。

最近はリザードンを手持ちに入れようとして育てているけど…………うん、なんかごめん。

 

 

「キクコさん、貴方のやり方は古くなんてないよ。それどころか、貴方の実力だったら今からチャンピオンにだってなれる。…………だからこそ、悔しい。キクコさんには、まだ出会えていないポケモンがいる。もしキクコさんがもっと前にこの子達と出会っていたら、きっと、ポケモンリーグの歴史は変わっていたと思う。だからキクコさんにも、うちのジムでポケモンを買って欲しいな。きっとキクコさんなら、この子達を使いこなせると思うから」

 

「…………ハァ〜、全く商売の上手いガキだね! アンタといいシルバーといい、サカキは一体どんな教育をしてるんだ!? …………それでどんなポケモンだい!? 話だけなら聞いてやるから、見せてごらん!」

 

 

キクコのこの言葉に、ノワールの目が一瞬キラリと光る。

あれ? 君、さっきまで泣いてなかった……?

 

 

「まずはミミッキュ。ミミッキュは"ゴースト・フェアリー"タイプだから"あく"タイプの技も等倍で受けられる。また、特性"ばけのかわ"によって、最初に受けた攻撃のダメージをゼロにする事が出来る。交代出しもしやすいし、すばやさも高いから多くの相手より先に攻撃できる。攻撃力もそこそこ高いから、"つるぎのまい"を積んで"じゃれつく"を出せば大抵の"あく"タイプは一撃」

 

「ほう! カントーじゃ見たことないポケモンだね! 良いじゃないか!」

 

「キクコさんならこの子の良さを分かってくれると思ってたよ。あと、きっとこの子の事も気に入ってくれると思う。この子はパルデア地方のオコリザルが進化した子で、コノヨザルというポケモン。"ゴースト・かくとう"タイプで、"ふんどのこぶし"という技を使えるのが特徴。"ふんどのこぶし"は攻撃を受ければ受けるほど威力が上がる技で、"ビルドアップ"と組み合わせたら凄い威力になる。"みがわり"で壁を張ったり、"ドレインパンチ"で回復しながらわざと技を受けて"ふんどのこぶし"で相手を仕留める。わざと技を受けるところとか、キクコさん、好きでしょう?」

 

「ああ、好きさ! 先制攻撃して自分が優勢だと思ってる相手を一撃で落とすなんて最高じゃないか! よし、その子達、買ったよ!」

 

「ご購入ありがとうございます」

 

「"かくとう"タイプなら、俺も購入したいのだが…………」

 

「シバ! アンタは黙ってな! この子はあたしが買ったんだよ! よ〜しよし、あたしがどんな相手でもぶっ殺せるように育ててあげるからねえ!」

 

 

キクコがタマゴを胸に抱きながらキスをしている……。

 

あの激怒していたキクコを鎮めるどころか、ポケモンを買わせるだなんて……。

ノワール、なんて恐ろしい子だ……。

 

 

「他にも、いっぱい紹介したい子達がいるの。皆さん、今日は存分に見ていってね?」

 

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