先程まではなんとか我慢していたが、四天王が帰って少し経ち、ついに私の口からは笑いが漏れ出てしまう。
「……クックック、ハッハッハ! 見たかノワール! 上手くやっただろう!?」
「うん。パパ、カッコよかったよ」
ノワールを抱き上げ、頬にキスをしてやる。
そして、ノワールからもお返しのキスを貰う。
「フッフッフ、アドバイザーか。良い立場を手に入れたな。これでリーグの七面倒くさい業務はアイツ等に任せたまま、運営について口出しする権利を手に入れた」
「全部、思い通りになったね」
「ああ! 奴等は所詮ビジネスのビの字もしらん馬鹿ばかりだ! 私の掌の上でどうとでも転がせる!」
「早く、ガラルみたいになって欲しい」
「そうだな! テレビ放送となればとんでもない金が動くぞ! 放送権にグッズ制作、そして広告費! アドバイザーとしての権限で、奴等に何かイベントをやらせても良い! そして不正を防ぐとは言ったが、ルールを考えるのはこの私! 抜け道など作り放題だ!」
「ふふふ、パパ、凄く楽しそう」
「楽しいさ! ノワールも聞いただろう!? ワタルの奴、ロトムフォンを貰ってありがとうと言っていたぞ! ロトムを通してリーグの全ての情報がロケット団に流れているとも知らずにな! フハハハ! フハハハハハハッ!!!」
最高の気分だ!
ついノワールを持ち上げてクルクルと回ってしまう!
ノワールも珍しく満面の笑みで楽しそうだ!
「パパ、リーグの仕組みが変わる前に、作りたいものがあるの」
「ん? なんだ? 何でも言ってみろ! 今日のパパは機嫌が良いからな! 何でも叶えてあげるぞ! ハッハッハ!」
「ロトムフォンで、写真や動画を撮影できるようにしたい。フーディン達にやらせるから貸して欲しいの」
「ハッハッハ! 良いぞ! 好きにしなさい! でも、フーディン達にそんなこと出来るのか? アイツら指3本しかないぞ?」
「大丈夫。フーディンはIQ5000あるから」
「フフフ、IQ5000か! なら大丈夫だな! アッハッハッハ!」
「ふふふ、あはははは」
そんな感じでノワールと笑い転げていたが、暫くして落ち着いた。
私とした事が、あまりのビジネスチャンスに我を失っていたようだ。
部下の前でなくて良かった。
「それでノワールよ。ロトムフォンで写真や動画なんか撮影してどうするんだ? カメラがあるだろう?」
「ロトムフォン1つで全部できたら便利でしょう? それにね、本当にやりたいのはもっと先なの」
「もっと先?」
「うん。撮影した写真や動画を、公開するプラットフォームを作りたいの。誰かがアップロードしたものを、何時でも、誰でも見れるようにする。そしてそれに広告を付けて、広告費の一部をアップロードした人に還元するの。そうすれば、どんどんアップロードする人が増える。そしてアップロードする人が増えれば、当然見る人も増える。私達は、どんどん増える広告費をいっぱい中抜きするの。いずれはテレビ局を駆逐して、私達でぜ〜んぶ支配する」
私は思考を巡らせる。
もしノワールの言ったようになれば最高だが、そんなに上手くいくだろうか?
素人が撮影したもので、テレビやラジオを駆逐するようなものが作れるとは思えんが……。
「パパ、心配しなくても大丈夫。ある程度人気が出たら、テレビ局とかから人が流れてくるよ。テレビ番組を作っていた人達が、私達のプラットフォームに動画をアップロードようになる。そうすれば、もう私達の勝ち」
「なるほど……。ある程度流れを作ってやる必要はありそうだが、逆に言うと流れさえ作ってしまえばもう止められんという事か」
「そういう事。ロトムフォンは、何時でも、何処でも見れる。テレビは放送時間が決まってて、もし予定があったらそもそも見る事さえ出来ない。録画すれば後からでも見れるけど、ロトムフォンならそんな手間も必要ない。負ける道理がないよ。それにパパは、ポケモンリーグのアドバイザーだもん。バトル中のロトムフォンでの撮影、許可してね?」
「バトル中の撮影?」
「そう。トレーナー視点でのバトルの映像、皆見たいでしょう? でもテレビ局は駄目。カメラが大きくて邪魔だし、バトル中に人が近くにいたら、トレーナーの気が散るもん。だから、トレーナー視点の映像は私達の独占。やったねパパ。これでもう、勝確だよ?」
娘のあまりの聡明さに、せっかく収まった私の馬鹿笑いは再発した。
この子が、ノワールがいれば、きっと出来る。
この世界を手にする事が。
いつか考えた世界征服。
夢はでかくと思い掲げた目標だったが、もはや夢ではない。
手に入れるぞ。
この世の全てを。
支配するぞ。
この世界を。
私の野望は、ここから始まるのだ!