【三章開始】いずれ神成る恋物語-天使と悪魔とラブコメ生活- 作:ビスマルク
よ、幼少期リョウ君とエルの口調が難しい……!!
それぞれを幼くした感じというのがどうにも掴めぬ今日この頃……!!
雲一つない青空の下、公園の真ん中で二人の少年少女がボールを使って遊んでいた。少年、リョウはサッカーボールでリフティングをしながらそれを天使の少女、エルにパスを出す。
「いっくよー!!それ!!!」
「わっわっわっ!!やっ!!」
「うわぁ!!本当に初めてなの!?凄い上手だよ!!!」
慌てながらそれを胸でトラップしたエルは地面にボールをつけることなくリョウに再びボールをパスする。そのパスは非常に正確でリョウが足を構えて待っていた場所に吸い込まれるように寸分違わず収まる。初めてと聞いていたのに素人とは思えないその精度の高さにリョウは驚き笑いながらエルを褒めた。その真っ直ぐな誉め言葉に頬を赤くしながらそっぽを向いた彼女は口をとがらせながら何でもないことを装いつつ言う。
「と、当然です。私は天使なのですから。あなたとは積み重ねが違うんです」
「じゃあ天使さんってみんなこんなにサッカー上手なの?」
「えっ、いや、それは……どうなんでしょう?やっているところ見たことないですし……」
「じゃあ天使さんが凄いんじゃなくてエルちゃんが凄いかもしれないってことだね!!!」
笑いながらパスをしてくるリョウに対して再び同じことを繰り返す。言葉を返しながら、ボールを返しながら、そうやって二人はその時間を楽しんでいく。
「ぷはぁー!!ジュース美味しいねぇ。カルピスはじんるいのひほうだよ!!!」
「それは、意味が分かっていて言っているのですか?」
「ううん、分かんない!!お父さんが言ってたこと真似してるだけだから!!!」
30分もボール遊びをしていれば喉も乾く。自販機で買ったジュースを一緒に飲みながらベンチで座り涼む。汗を流していたエルにタオルを渡し、リョウはシャツで汗を拭っていた。自分の分の飲み物を買ってもらった上にタオルまで渡されたエルはそれに対して居心地が悪そうにして使おうとも飲もうともしない。
「どうかしたの?カルピス嫌いだった?」
「いえ、飲んだこともないですから好きかどうかも分からないです。でも私の分もいいんですか。タオルだって……」
「だって暑いもん。エルちゃんだって汗流してるし冷たい物飲もうよ。それにお母さんが言ってたんだ。こういう時はれでぃーふぁーすとだって。女の子に優しくするのが男のかいしょうって言ってたよ!!!」
「……カッコいいご両親ですね」
「ごりょうしん?えと、お父さんとお母さんのこと?うん!!二人共カッコいいんだよ!!外国に行ったりして僕はおじいちゃんの所に住んでるけど帰ってきた時は色々と教えてくれるんだ!!」
「……お二人といられなくて、寂しくないんですか。私は親がいないから、分かりませんけど」
「うーん……寂しい、のは寂しいけど。でも僕は男だから!!」
エルの質問に悩みながら飲み終わったジュースの缶をゴミ箱に入れたリョウは振り向きながら強がりでも何でもない本当の顔で言う。笑顔で、強く。眩しそうに目を細めながらエルは少年を見た。
「僕は強いんだよ!!だから大丈夫!!!今はエルちゃんもいるしね!!!」
「……なんですか、それ。何の理由にもなってないです」
「そんなことないよ!!可愛い女の子の前じゃ男は強くなれるってお父さんも言ってたもん!!」
「変な人……」
そう言いつつ彼女自身も気付かないうちに笑みを浮かべる。これが人間なのかと、初めて会った自分達天使が守るべき存在を知る。自分の周りにいる天使達とは違う。力もなく、悪魔に対して抗う事も出来ない存在なのにもかかわらずその輝きは何人にも冒させてはいけないと思わせた。
「ほら!!次行こう!!お小遣いいっぱい貰ってるんだ!!ゲームセンターで遊ぼうよ!!」
「あっ!?手を引っ張らないでください!!転んじゃう!!?」
楽しそうに公園から出て行く二人。天界から抜け出してきたのにこんなに楽しんでいいのだろうか、次から次へと押し寄せる怒涛の展開にそんなエルの考えも吹き飛ばすようにリョウは駆けだす。
「わー!!ピカピカいっぱいだねぇ!!」
「目が眩しくなります。うぅ……私、光の天使なのに……」
多くのゲームがあるその輝きに目を光らせるリョウはそのまま格闘ゲームに向かって走り出す。手をつないだままのエルも自然とその後を追いかけざるを得なかった。
「お兄さん!!次は僕もやっていいですか!!」
「おっ、なんだ坊主彼女持ちかぁ?小学生だろうに……それに比べて俺達は……」
「子供見て泣くなよ怖いだろ。ほれ、こっち空いたから使いな」
「えっ、私ですか?でも、いいんですか?」
「いーのいーの。ほれ、こっち座ってあっちの子と対戦すりゃいいよ。動かし方は分かる?」
高校生の青年二人に操作方法を教えてもらいながらリョウと対戦する。初めの頃は負けていたが数度か続けるうちに操作に慣れ、動かし方を学んだエルが勝ち越してリョウが悔しがりながら笑っていた。
「メダルゲームだって!!えっと、メダルを狙った場所に落としてそれでメダルをまた落とす、みたいなのかな?」
「メダルを増やす……増やしたメダルでまた遊ぶんですか?楽しいんでしょうか?」
「やってみようよ!!二人で出来るみたいだし!!!」
隣り合ってコイン落としのゲームをする。どこに落とせば効率的に落せるかをすぐに理解したエルがどんどんメダルを落としていきやがて二人のメダル入れに入りきらない程のコインを手に入れた。景品も落とすことが出来、エルはそれを貰い笑っている。
「もうこんな時間……そろそろ、帰らないと駄目だね」
「そう、ですね……あ……」
「どうかしたの?クレーンゲーム?」
夏だからまだ日は沈んでいないが、それでも小学生が外を出歩くにはそろそろ遅くなる時間。残念そうにしながら帰らなきゃいけないと考えていたリョウと、天界に戻ろうと思い直していたエル。そんな少女の目に留まったのは白いうさぎのぬいぐるみ。物欲などなかった彼女はそれを欲しいと思い、そんな少女を少年は見逃さなかった。
「僕がとってあげる!!!」
「えっ。で、でももう帰る時間なんじゃ」
「大丈夫!!僕クレーンゲーム凄い得意なんだ!!!!」
その言葉は本当だったようでリョウは何回か繰り返しただけでそのぬいぐるみを手に入れた。そのまま小学生には大きいそのぬいぐるみを抱えてエルに手渡す。エルはそれを大事そうに抱きながらリョウを見た。
「はい!!これあげる!!!今日僕と遊んでくれたお礼だよ!!!」
「で、でも、色々と貰っちゃったのは、私の方で……」
「ううん、そんなことないよ!!エルちゃんと友達になれただけで僕、すっごい嬉しいもん!!だからこれは僕からのプレゼント!!!また会える時まで大事にしてくれると嬉しいな!!!」
「だ、大事にします!!絶対、ずっと!!」
「本当!?えへへへ、嬉しいなぁ」
「だから、いつかまた一緒に」
何を伝えればいいのか分からない。でも何か伝えなければならない。そんな想いに突き動かされながらエルはリョウの手を握って、言葉を紡ごうとして。
「――――見つけましたよ、エル」
その言葉と同時に周囲の人間の意識が変わる。周囲からエルとリョウを誰もが認識できなくなった。そんな空間で意識を失ったリョウを抱えた最上級天使、エルの生みの親ともいえる存在であるミカエルが現われた。ミカエルは抱えたリョウに光る手を向けながら天界から抜け出したエルを冷静に見つめる。
「エル。この少年に天使について話しましたね」
「う、あ……」
「天界規則の違反です。彼から今日の記憶、その全てをなかったことにします」
「そん、な……。で、でも、私……」
泣きそうになるエルの頭に手を乗せてミカエルは微笑む。自分がいつか置き去りにした物を手に入れた少女を眩しそうに見ながら。それでも最上級天使としての責務を果たす為に大切な娘に語り掛ける。
「エル。これはこの少年を守る為でもあります。そして同様に、貴女からも記憶の一部を抜き取ります。そうしなければ悪魔討伐の過激派が違反を理由に貴女を手駒にするでしょう。今は分からないかもしれない。ですが、貴女が言った言葉はそれだけ危険なのです。少年と貴女を守る為にも、いいですね?」
いいとは言えない。だけどもそれがリョウを守る為と言われたら断ることなど出来ない。エルはこくんと頷くとそれに反応するようにミカエルの手が光りだす。リョウの記憶から今日一日の記憶は抜き取られ、違和感がないよう保管される。エルの記憶には自分が迂闊なことを言った記憶と少年との約束を抜き出す。リョウとの出会い自体には手をつけずにいたのはミカエルの慈悲だったのか、それとも他の理由があったのか。エルは今になっても判断できなかった。
◆
目を覚ましたエルは自分がかつての夢を見ていたことに気付く。リョウと初めて出会った時の記憶。そして最上級天使によって改竄されていた記憶。当たり障りのない内容にされていたが、それでも一番大事な彼と出会ったという部分を弄られなかったのは迎えに来たミカエルの慈悲だろうか。それとも自分という天使のツガイになりうる存在として確保するつもりだったのか。
「…………考えても、意味はないですね」
ベッドの上で膝を抱えて丸くなる。初めて出会ったあの日に自分はリョウをツガイに選んでしまった。他の誰でもない彼を天使の歴史上最高の天才である自分が選んだのだ。その時点で巻き込んでしまった。彼の人生を捻じ曲げてしまった。
「リョウ、くん……」
ドッペルの正体を知ってから二日経っても何をする気にもならない。姿を消したというヒャンの行方を捜すことも、リョウの仇である『炎天渇奪』を探しに行くことも、自身に復讐しようとしている『永死殺総』を迎撃する準備も何も出来ない。愛しい少年が血に濡れて倒れたその時からエルの時間はずっと止まったままだった。
「わたしの、せいだ……」
枯れていたはずの涙が再び溢れて零れていく。自堕落に、何もしたくないと言わんばかりに膝に顔を埋める。大切な者を失ってしまった。リョウが再び目を開ける可能性が非常に低い今、エルが戦う理由はほぼ消えてしまった。いっそリョウを庇って死ねていたらどれほどよかっただろうとさえ思う。
「わたしが、まきこんだんだ……」
初めて会った時、天使であることを話してしまっていた。ミカエルはその時の記憶を消していた。リョウとの思い出も改竄していた。だけどそれをしていなかったら、きっと今頃はヒャンの言う最上級天使へ位階を上げる為の贄にリョウは使われていただろう。天使の存在をリョウが知っていたら世に広めたくない陣営が動くに決まっている。
「わたしが、リョウ君をドッペルにした……」
それでも忘れきれなかった思い出に縋りエルはリョウの元に行った。どうしても会いたかったから。どうしても一緒にいたかったから。例えそれが数年という短い時間であっても。それがどれほど致命的な行動なのか、全てを知った今なら分かってしまう。リョウがドッペルにならずとも命が狙われるのは時間の問題だと理解してしまう。
「わたしが、リョウ君を、ころすんだ……」
ヒャンがリョウを後ろから刺した。それに関して怒りがないわけではない。だけどそれはヒャンがエルを想ってのことだった。結果として追い詰められてしまったが、その弱味を見せてしまったのはエル自身。そもそもリョウがドッペルになった理由など容易に想像出来る。タイミングを考えれば『大飢万征』ドルザルクと戦うことが決まったから。リョウがエルを心配し、守りたいと思ったから。エルが弱いから、リョウは戦うことを決めた。
「もう、しんでしまいたい……」
エルが弱かろうと強かろうとリョウは戦うことを決めていただろう。だけどその事実に至ることなくエルは思考を止める。自分のせいだという強い思い込みがエルの思考をロックする。それが正しいか間違っているのかを判断するだけの心の力はもう残っていない。
「もう、なにもしたくない……」
彼女が立つことは、まだできない。
エルとリルナは一人の要素を二分割して一人分にしている感じで書いてます。
エルの方は主に献身さと依存性。精神的にもろくて依存症になりやすい部分がある。リョウ君に何かあった場合勧めなくくらいには依存しているがリョウ君が地獄に向かって進んでいる時は嫌われようと止めに来るタイプ。
リルナの方は主に独立独歩の暴走癖。精神的に頑なで意志が強すぎる部分がある。リョウ君に何かあっても自分の意思を貫く部分があるけどリョウ君が地獄に向かって進んでも止めずに一緒に行こうとするタイプ。
相反する部分を二つに分けた結果互いに互いを嫌う形に。だけども自分には出来ない行動に対して尊敬の念も持っている。
二人の前世の彼女は強くて一人で何もかもしようとする英雄タイプ。自分が罪を犯して大切な人ももういなくなったので止まることなく悪魔絶許の魔王ぶっころ状態に。とある盾の戦士がいなかったら志半ばで死んでるタイプの強者。盾の戦士君は復讐するは我にありって感じで一切敵の攻撃を通さなかったからね、仕方ないね。
死んだ家族に対して依存して死者の為に生きている部分と、家族を殺した魔王と見知らぬ他人を殺した自分に対する殺意で絶対に止まらない部分があった。まさにエルとリルナ二人の良い所も悪い所も煮詰めた少女だった。盾の戦士君じゃなかったら攻略不可能キャラである。
なおそんな盾の戦士君が目の前で死んだ模様。復讐相手だけど復讐できないくらい好きになってしまったって愛の告白した上で復讐になるかも分からないけどこれがケジメだってことで心臓一突きで自殺したとさ。しかも自分が皆殺しにした村の生き残りで出会った当初からそれを知っていたと彼の死に際の告白で知った。メンタル崩壊待ったなし!!!!(滅茶苦茶笑顔)
今回の曇らせは良かったか?
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最高だった
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良いと思う
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もっと時間をかけて欲しい
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絶望が足りてない
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もっと序盤で見たかった