【三章開始】いずれ神成る恋物語-天使と悪魔とラブコメ生活- 作:ビスマルク
こっちを止める気がないって分かってもらうために毎日投稿しないと(使命感)。
作戦会議を5分で終わらせた僕達はそのままディアンナの能力により移動する。ついてくるのは戦力になるシルフィとダフネ、移動要因のディアンナだけだ。もっともディアンナは僕達を送り届けた後すぐに出戻りして次の場所へ行かされるらしいが。
今現在はここまで使用し続けた結果移動に必要な“欲望”が足りないディアンナのチャージ待ちである。こうして意識がはっきりしている僕が近くにいれば割とすぐに溜まるらしいが、やっぱりこれはおかしいのではないかと我ながら思う。なんか仕込まれたりしないかな、僕。
一方のディアンナはここまでの生活で最も乱用されて来た影響かしわくちゃの電気ネズミのような顔をして愚痴っていた。ダフネは時間まで寝ている。戦う時以外はこうして眠っている辺りこのラボで一番マイペースなのは彼女なのではないかと思えてくる。
「なんで面倒で移動したくないって“欲望”から生まれたこの能力をこんなに連続使用しないといけないんデスか……。わたし、基本的に何もしたくないのに……お菓子だけ食べて生きてたい……」
「そんな生活が許される奴がいるわけないでしょうが。人間も天使も悪魔もみんな死ぬまで動き続けるのよ」
「噂の『怠惰』の魔王は文字通り死んでも働かないらしいデスよ。心の底から羨ましくなるデス」
「元々七人いた魔王が討伐されたり潰し合ったりした結果が今の三大魔王だっけ。やっぱり強いのかな?僕、というよりドッペルでも無理だったりする?」
魔王と言われるからには滅茶苦茶強いのかもしれないが、これまで何人もの上級悪魔と遭遇して生き残っているからかもし出会ったとしても何とかできそうな気がする。ただそう上手くはいかないだろうということは僕の発言を聞いたシルフィとディアンナの反応で分かる。
「ドッペルさんも相当化物だと思うデスけど魔王は別格デス。あれはもう生物としての格が違うデスよ。わたしも一度だけ『強欲』の魔王を見ましたけど……空間が歪んで見えたデス」
「又聞きだけど私やエルの上である最上位天使であるミカエル様達でも魔王を相手にすれば時間稼ぎが精一杯らしいわ。その上その能力は他の悪魔達以上の、世界を滅ぼしうる力だって言われてるから敵対しないに越したことはないわ。特に魔王は一柱倒すとその分の能力が魔王に分配されるらしいし……」
「なにその危険存在……。聞けば聞くほど厄介なんだけど。よくもまぁ四柱も倒せたね……」
「大昔の英雄って奴よ。一番新しい『傲慢』討伐でも500年近く前らしいけどね」
そんな昔から天使と悪魔は戦っていたと。しかも間違いなくそれ以前からずっとやり合っていたというのだ。そりゃ人間も簡単には見つからないくらいに激減するよね。多分生き残りとか入ると思うけど。ただの人間の僕だってこうして心臓近くぶっ刺されても一週間程度で立ち上がれるんだ。人間全体のしぶとさを舐めちゃいけない。
「またツッコミどころ満載のこと考えてそうデスね……っと、チャージが終わったデスよ」
「よし、それじゃあ行こうか。ほらダフネも早く起きて、戦いの時間だよ」
「戦い!!強い奴とやり合えんのか!!!」
「なんというか、悪魔と交流し始めたばっかでこういうこと言うのアレかもしれないけど普通はこのダフネってのが悪魔のスタンダードのはずなのよね。なんか外れ値ばっかな気がするけど……」
「“欲望”の方向性が人に迷惑かけないタイプの悪魔は多分人間社会に溶け込んでると思うよ。大多数が今まで相手して来た上級悪魔みたいな感じだからそっちが印象深いだけで」
多分、教授のように起業する程の悪魔は早々いないだろうが人に迷惑をかけないで自分の“欲望”を満たしている悪魔はきっと存在する。リルナやここにいる彼女達がその証明だ。そんな悪魔となら僕らは共存できるかもしれない。
「だけどそんな未来も、『炎天渇奪』共を放置してたら消える。そんなもの僕は認めない」
「…………改めてリョウがドッペルだって分かった気がするわ。その気の強さには既視感を覚えるもの。いつもは気が長いのに」
「言っておくけど君やエル相手でも僕のデザート勝手に食べたら怒るからね?泣いても許さないからね?お尻叩くよ」
「セクハラよ」
笑いながら僕の額をデコピンしてくるシルフィからは肩の力が完全に抜けているようだった。エルとリルナを助けつつ上級悪魔三体を相手にする。緊張するのは当たり前だけど力の入れ過ぎはどこかで失敗の要因になりかねない。それになにより僕は笑って余裕のあるシルフィが一番好きだからこの方がいい。
「よし、それじゃあ作戦開始だ」
◆
ディアンナによる転移により視界に映る光景が変化する。地下に存在する照明で照らされていたラボから夜の闇を街灯が照らしている外へ。この変化には慣れないがそれでも即座に走り出す。そうすればすぐにエルが戦っている一帯を結界で閉じているアリナが誰かと言い争いをしている光景が見えてきた。それ自体は予想の範囲内だった。問題なのはアリナが言い争いをしている相手だ。
「だから!!ここから先は一般人お断りなんすよ!!!エル先輩の友達ならなおの事っす!!!」
「その説明をしろってんだよ!!ライトガーデンさんが急に羽根を生やしたと思ったら飛んでって、今度はこの動画に出てきて戦うとか何が起きてんだ!!」
「あーもー!!説明なら後でエル先輩から直接聞いてくださいっす!!!アタイ達今滅茶苦茶忙しいんすから!!!」
「……何してるの智弘君?」
言い合っていた二人が同時にこちらを見る。グルンと擬音が聞こえてきそうなほど勢いよくだ。若干怖かったがとりあえずエスカレートし始めた言い合いを止めることは出来たみたいだ。二人して僕の名前を叫んでいたが驚かせるようなことしただろうか?
「いや、なんで生きてるんすか。しかもピンピンになってるっすし。アタイ、リョウ先輩は心臓間近をぶっ刺されて死にかけてるって聞いたんすけど」
「ああうん、もう治ったよ。とりあえず今からエルとリルナを迎えに行ったついでに邪魔な上級悪魔共ぶん殴るつもり。さっさと終わらせて夕飯食べたいんだよね」
「普通は一週間程度でそんな大怪我治らないし意識も戻らないと思うんすけど。それにしてもこの状況でまるでいつもと変わらない辺りマジで先輩がドッペルだったんっすねぇ……。あの口調はやっぱりキャラ付けっすか?」
「そこに触れるな。僕の忍耐力が試されることになるぞ」
「じ、自分を脅しの材料に使わないでほしいんっすけど……?」
唐突に表れた僕がアリナと仲良く話してる上状況を理解していることを察して智弘君は黙って話しをさせてくれる。その心遣いが今はとても嬉しい。
「時間がないわ。現状の報告してちょうだい」
「シルフィ先輩まで来てたんすか!?エル先輩もそうっすけど天界から逃げ出したのになんでこうも簡単に姿出すんすか!!アタイが居場所調べてるって名目で時間稼ぎしてたのにもう!!!」
「それに関しては悪いことしてると思うわよ。それでアリナ、エルの様子は?あとどれくらい持ちそうなの?」
「現状、エル先輩と『永死殺総』の戦いは拮抗してるっす。ただその戦闘の規模はどんどん上がっていって、『永死殺総』はゾンビの放出を一切やめてないっす。来ていた警官の避難は進んでるっすけど大量放出されたゾンビはもう手当たり次第に他者に襲い掛かるようにされてるみたいで応援に来てた中級以下の天使はみんなそいつらの相手で手一杯っす」
「上級天使は来てないのね……。やっぱり海外でも同時に?」
「はいっす。『永死殺総』の動画撮影を機に一斉に似たような放送がされてるっす。もうここまで来たら人間社会に天使と悪魔を誤魔化すのは不可能だと上は判断してるっすね。これからどうなるかの見通しがまるでできないっていうのが実際の所っす」
「未来の事より今を乗り切る方を優先するわ。『永死殺総』はまだエルに任せるわ。念話は出来るでしょう。それで時間稼ぎに移行するように言って」
「それはいいんすけど……。残りの『炎天渇奪』と『盗炎結偽』はどうするんすか?」
「『盗炎結偽』は私が相手するわ。前回やり合ったからアイツの能力は把握出来てる。“愛”のチャージも終わってるからもう負ける気もしない」
「一週間くらい消耗しっぱなしの状態だった“愛”をこの短時間で満タンまで行くとかやっぱりリョウ先輩おかしいんじゃないすか……?」
シルフィと話しをしていたアリナがこちらにジト目を向けてくる。おかしい、僕は先輩として後輩である彼女を結構可愛がってきたはずなのになんでこんな疑いの目を向けられなければならないのか。シルフィも何か反論してほしい。
「ドッペルやってたことに比べれば大抵のことは受け入れられるわよ」
「そりゃそうっすね」
「そこで納得しないでほしいんだけど……」
僕の苦言を無視して二人は話しを続ける。聞いても無駄みたいな感じで流すのはやめてほしい。あまりの扱いに流石の僕でも涙を流すぞ。
「で、『盗炎結偽』はシルフィ先輩がやるとして『炎天渇奪』の方は」
「アイツは僕がやる。僕達がやる。誰にも譲ったりはしない」
そうだ、それだけは譲れない。リルナを助け出し、彼女と再契約をしてその上で『炎天渇奪』を叩き潰す。彼女の願いを僕は叶える。ここから先の未来でリルナがアイツのことを想い返すことがないくらいに徹底的に潰す。
「アイツは僕に執着してる。どんな形かは知らないけど必ず僕の前に姿を見せる。だから速攻で叩き潰してエルの方も助けに行く。僕がやる、誰にも邪魔はさせない」
「……はぁああああああ~~~~。半信半疑ではあったすけど、本当に本気でリョウ先輩がドッペルだったんすねぇ……。というかドッペルの出現時期からして、悪魔と契約したのってエル先輩を守る為すよねぇ……?」
「うん。リルナのことも守りたいと思ったけど、始まりはエルだね」
「本当にこのバカップルは、人騒がせというかなんというか。いや正体明かせない理由は分かるっすけど……」
何度も何度も深いため息をついていたアリナは自分の頬を両手で叩いた後はっきりした目でこちらを見る。天使として、学生として信頼している先輩であるエルの為に何か覚悟を決めた表情だ。
「分かったっす。今回の件が終わったら上層部にアタイも証言するっす。だから逃げないでくださいっすね。リョウ先輩が逃げだしたらエル先輩もシルフィ先輩も一緒に逃げるのが目に見えてるんで。流石にそんなの面倒すぎるんすから」
「そこは可愛い後輩の頑張り次第かな。でもこっちとしては天界の在り方は嫌いじゃないし協力したいとも思ってる。それは前提にしててね」
「分かったっすよ。とりあえず結界を一時的に開けるんで一分だけ待っててくださいっす」
アリナが能力行使に集中しているのを確認して僕はこのやり取りをずっと見ていた智弘君に向き合う。ずっと黙って聞いていてくれた彼に感謝して、何が起きてるのか知りたいのを飲み込んで黙って聞いていてくれた彼を真っ直ぐ見て。
「智弘君、ごめん。時間がないから今は詳しい説明をしてる暇はないんだ。エルが戦ってるところに僕も行かなきゃいけない」
「……驚いてないってことは、お前はライトガーデンさんのことについては知ってたんだな」
「うん。黙っててごめん。でも言うわけにはいかなかった。エルとの生活が楽しかったから、君と笑っている時間を消したくなかったから」
「分かってるよ。もう三年以上も一緒にいんだろ。それくらい、分かってるよ」
そう言って笑った智弘君は僕の胸に拳を当てて激励してくれる。
「詳しい説明は全部終わったらちゃんとしろよ。逃げるのも誤魔化すのもなしだ。夕飯は俺が奢ってやるから」
「…………それなら今日はお好み焼きが食べたいかな。ちゃんとお店探しておいてね」
「こんな状況でもやってるバイタリティ高いところ見つけておくわ。さっさと帰って来い、ライトガーデンさんも連れてな」
応援してくれることに心の底から感謝して、僕達は彼に背を向けて結界の中に入り込む。ここから先はノンストップ。エルとリルナを助け出し、三体の上級悪魔をぶっ倒していつもの日常に戻る。難しいようでやること自体はいつもと変わらない。だから僕の足取りは驚くほどに軽かった。
感想と評価ほしい……ほしい……。
ついでに新作の方も見てくれると嬉しい……嬉しい……。
今回の曇らせは良かったか?
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最高だった
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良いと思う
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もっと時間をかけて欲しい
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絶望が足りてない
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もっと序盤で見たかった