【三章完結】いずれ神成る恋物語-天使と悪魔とラブコメ生活- 作:ビスマルク
設定開示はあるけど基本平和だよ!!!
『ドラゴン庵』、看板にそう名前が書かれているとある店の奥では二人の男性と女性が暗い顔をして作業をしていた。それはここ最近発生している火災事件によって客足が遠のいていることも影響しているだろう。だが彼らの大事な一人息子がその連続不審火事件の少し前から姿を消したことが一番の要因だ。
「あの子は一体何処に行ったんだろうねぇ……」
「……知らん。その内帰ってくるだろう」
「もう、お父さん……。そんなこと言ってもう一週間なのよ?警察だって大変であまり頼りにならないし……」
「世間全体が大変な時に一人の子供の家出に出せるだけの人員がいない、それだけだ」
「………………」
頑固な職人と言った風貌の男が吐き捨てるように言うもその手が一切止まらない事を見て女性もまた口を閉ざす。父親も心配している、だがそれ以上のことは何も出来ないのだ。
確かに息子は最近グレたように荒れていたがそれでも不良と言われるような行動はしなかった。口では文句を言いつつも言えの仕事の手伝いだって率先していた可愛い我が子が行方不明になっている。不安で仕方ない。だが待つこと以上に出来ることはない。
「――――ただいま……」
「「ッ!?」」
そんな二人の耳に店の扉が開く音と毎日のように聞いていた息子の声が届く。二人して慌てて店の方に急げばそこには行方不明になっていた息子――――竜崎登の姿があった。
「登!!!アンタ一体今までどこで何を」
「お、お邪魔します……」
「へ?」
心配と安堵、そして親としての責任感から抱きしめてから叱ろうとしていた竜崎母に声がかかる。よく見れば息子の後ろには大勢の同年代と思われる少年少女たちがいた。その中でも特に背が高いオレンジ色の鮮やかな髪色をした少女が申し訳なさそうに頭を下げている。
「あの、このお店……い、今から貸し切りとか、出来ますか?」
「別に構わないけど……アンタ達は一体……?」
「あーえっと、その……なんと言いますか……。あの、エル様?本当に言ってしまってもいいんでしょうか?」
「アリナももう隠すの無理っすと言ってましたからいいんじゃないでしょうか。私なんてもう既にテレビにも映ってしまいましたし」
後ろにいる銀色の髪を短く整えている美しい少女に困惑しながらも問いかけるも望んでいたであろう言葉は返ってこない。もうここまで来たら突っ走るしかないという開き直りにも近い空気を感じて竜崎母は更に混乱する。どういう集まりなのか彼女達は。
「全国からエルに対する求婚者が集まってしまう。今から対策しないと手遅れになっちゃうね」
「もう、リョウ君たら……。わ、私はリョウ君、ひ、一筋ですよ?」
「くっつきすぎじゃないのピカピカ天使。光過ぎて頭もパーになった?この時期に腕に抱き着いて移動するとかどうかと思うんだけどアタシ」
「それなら貴女は大きい石にでも抱き着いていたらどうですか。ひんやりして冷たくて気持ちいいと思いますよ」
「は?」
「あ?」
「アンタら本当にこんな所でまで喧嘩してんじゃないわよっ!!!」
「「痛いっ!!!」」
なにからなにまでどういう関係性なのか分からない。息子を抱きしめながら混乱し続ける母親とは裏腹に竜崎父は何かに納得したのかうんうん頷いて少年の肩に手を置き重々しく語る。
「いつか、刺されるぞ」
「すみませんもう刺されたばっかなんです。こう、胸の所をブスーって」
「……痛くはなかったか?」
「三人泣かせたことの方が胸痛かったですね」
「気に入った。入れ」
「ありがとうございまーす!!!!」
「親父ィ!!!そいつは入れなくていいんだよ!!!」
息子の声も馬耳東風とばかりに少年とその連れである集団を店の中に入れた店主である竜崎父はそのまま看板を貸し切り状態にしてドアを閉める。店の中に案内されていく10人近い少年少女達を呆然と見ていた竜崎母はその場に残っていたオレンジ色の髪の少女、ヒャンにお辞儀をされながらその背から広がる白い翼を見ることになる。
「すみません。私達は、
「あっ、そ、そうなの……」
あまりの情報量の多さに竜崎母は考えることを放棄したという。
◆
智弘君が探し出した隠れた名店、『ドラゴン庵』。焼きそばやお好み焼き屋が美味しいと評判のお店に僕達は来ていた。あの戦いが終わってすぐに来ることになったが一番の理由はお腹が空いたからだ。特に僕はこの一週間栄養剤の中に漬けられて、胃が弱らないように流し込まれていたナニカの薬剤しかお腹に入ってない。そんな状態で暴れ通した結果滅茶苦茶お腹が減ってる。
「まさか竜崎の家がお好み焼きも取り扱っているお店だったとは……」
「お前を入れるつもりは毛頭なかったんだけどな……!!」
「言っておくけど僕の方がお前に迷惑かけられてるからね?言ってることが正論だからって悪魔の能力借りて迄殴ってくるってどうなのさ」
三股がカスだって言うことに関しては何も言えないがそれはそれとしてあの巨腕で殴られた事には言いたいことは山程ある。特に『炎天渇奪』みたいな見るからにヤバい奴と契約してしまうその迂闊さは直すべきだろう。こんなにも心配してくれる親御さんがいるというのに。
「いや、今考えてもあの女
「そう?普通に殴れるけどなぁ、僕」
「リョウちゃん気付いて。アドラメレクはアホの極みだったけどそれでも上級悪魔だから。普通そのレベルに逆らえる人間はいないってことを認識して?」
「うーん、そう言われると僕も『大飢万征』の馬鹿を始めて見た時恐怖で震えたような記憶が……あるような、ないような……逃げ出そうとしてた……気もするな」
「まぁドルザルクが言った言葉一つでその恐怖吹っ飛んで怒りでいっぱいになってた辺りあの時から片鱗はあったんだよねぇ」
呆れたようにリルナが背中に張り付きながら言っている。どうやら僕とより深く繋がったことで肉体を形成することが出来るようになったらしく簡単に外に出てくることが出来るようになったらしい。とはいえやはりあまり僕と離れることは出来ないようだが、そこに関しては僕もリルナも気にしていない。気にしているのは半眼でリルナを睨んでいるエルだけだ。
「リョウ兄、早く注文して、ね。豚玉がいい、な。今日はお兄の奢りだからいっぱい食べる、よ」
「アホか。なんでリョウ達だけじゃなくてお前にまで奢らなきゃいけないんだよ。小遣い貰ってんだからそれで食え」
「まぁまぁ智弘君。鈴ちゃんは僕が奢るから。というかエル達三人の分は僕が払うよ。うちの上司からその分お金貰ったし」
「あのなぁリョウ。あんまりコイツを甘やかすなよ。つけあがって調子に乗るぞ」
「残念だった、ね。甘やかされなくても調子には乗る、よ」
ふふんとない胸を張って笑う鈴ちゃんに笑うも内心は冷や汗をかいている。先程も言った通りアドラメレク、つまりは上級悪魔が相手なら今の僕はドッペル状態でなくとも恐怖なく戦うことが出来る。だがつい先ほど、鈴ちゃんに後ろをとられた時のあの感覚は一瞬で命を握られたと錯覚するほどだった。間違いなく、この娘がその気になれば即座にこの場にいる者はみんな殺されるだろう。
「いやまぁ鈴ちゃんがそんなことするわけないか。心配して損したや」
「……リョウ兄は、もう少し危機感持った方がいいと思う、よ?また刺されるかもしれないから、ね?」
「まったくっす。鈴ちゃんもっと言ってやってほしいっすよ。エルっちパイセン達はスケコマシパイセンに対して甘すぎるっす。ところでなんで鈴ちゃんがここにいるんすか?」
「えっ?私が『怠惰』の魔王だからだ、けど?」
「ふーん……。鈴ちゃんが『怠惰』の……………………まぁおおおおおおおおう!!??!!?」
「わぁ、二メートルも飛び上がった、ね。これは新しい、出し物になるか、も」
人数が多くなって大変だがとりあえずここにいる人物を纏めよう。まずは僕こと沢渡リョウにその相棒であるリルナ。天使であるエルにシルフィ、その部下であるヒャンさんとアリナ。事情を知ってしまったか話した方がいいと思われる人間である竜崎と智弘君。そしておそらくこの中で一番情報を持っているであろう鈴ちゃん。
合計で9人による話し合いが開始される。ちなみにダフネは『炎天渇奪』との戦いで満足してさっさと帰ってしまった。まぁ怪我も酷いから仕方ないかもしれないけど。
今回の曇らせは良かったか?
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もっと時間をかけて欲しい
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絶望が足りてない
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もっと序盤で見たかった