【三章完結】いずれ神成る恋物語-天使と悪魔とラブコメ生活- 作:ビスマルク
リルナ推しがいてくれると嬉しい。そんな作者です。
とある日、夕食前のリビングで。
「リョウちゃーん、小腹空いたー」
「はいはい。僕のお気に入りのお菓子、たけのこの里を上げよう」
「アタシきのこ派なんだけど」
「リルナ。大変珍しいことだけど僕と喧嘩しよう。たけのこの方が上だって教えてあげるから」
「リョウ君、金髪悪魔。もうすぐ夕食なのでお菓子の食べ過ぎはダメですよ」
「銀髪天使頭かたーい。やっぱすぎのこ派は戦う前から敗北者なんだね」
「ぶっ殺」
「うるさいわねアンタ達!!こっちは今配信準備で忙しいのよ静かにしなさい!!!」
またある日、教授のラボにて。
「あ~~~。この人が駄目になるソファって悪魔にも効くねぇ~~~……。もう最高って奴だよぉ~~~~~……」
「リルナさんもお好きデスねぇ。でも分かる、分かるデスよ。そのソファには人間の技術の粋が込められてるのデス。だけど一つだけ言っておくデスよ。それわたしのだから早くどいて欲しいデス」
「もうちょっとだけぇ……。リョウちゃんの膝枕よりは下だけどリラックスできるぅ……」
「人の私物使っておいてその言い草はなんデスか!?……ところでリョウさんの膝枕とは本当にそこまでいいものなんデス?」
「膝枕に加えて適度な力加減の頭ナデナデがついてていつの間にか寝てしまうという素敵効果付きだけどなにか?」
「……それ効果あるの一部の人だけじゃないデスか?人って言うか天使と悪魔デスけど」
さらにとある日、リョウの部屋。
「リョウちゃんリョウちゃん!!狛枝君って絶対苗木君の関係者だよ!!だってアナグラムで名前入れ替えると「なえぎまことだ」になるもん!!!いやぁ、これならアタシも超高校級の探偵名乗れるかもね!!!」
「うん、楽しそうなのは何よりだし僕もそのゲーム初めてやった時に興奮してたけどいい加減寝た方がいいと思うよ?」
「えっ?まだまだ夜はこれからだよ?」
「いや最近リルナ完全に昼夜逆転してるからね?健康的な生活を送った方がいいと思う。いくら悪魔だからって……いや悪魔なら夜活動するのは正しいのか?でもそれってこっちの世界の悪魔のイメージだし、リルナ達は悪魔と言ってるけど全くの別種族で当てはまらない気も……」
「リョウちゃん、私達悪魔は基本的に夜行性なんだよ?」
「ああうん、今ので分かった。リルナ嘘吐いてるね」
「えっ!?な、なんで!?」
「嘘吐いてる時の君は絶対に目を合わさないんだよ。リルナの事ずっと見ていた僕にバレないわけないでしょ」
「うぅ……。見てくれるのは嬉しいけどバレるのは嬉しくない……」
そんな生活をしていた影悪魔リルナは現在ヒルダに詰められていた。というか僕と一緒に正座させられていた。額に血管を浮かべている彼女は僕達二人を見下ろしている。普通にしていても高身長な美女であるヒルダは僕達を常に見下ろしているのだが今回は視線に力が込められていて痛い。
「もう一度言うわね。リルナ様、最近だらけすぎよ」
「えー、アタシとしてはもっとゆっくりしたいんだけどぉ。リョウちゃんの力になるのはいいけどそれ以外では動きたくない。食べる時もリョウちゃんに食べさせてほしい」
「リョウさんはリルナ様を甘やかしすぎ。見なさいよこの怒られてる途中だって言うのに今にも横になりそうなリルナ様の姿を」
「いや、まぁ、そこはごめんなさい……」
ヒルダの言う事は正論だ。僕の心に突き刺さるほどに正しいのだが僕には僕の言い分と言うか言い訳があるわけで。
「リルナはさ、ほら。今まで大変だったわけで。僕と出会ってからは色々と食べられるようになったけどそれ以前は最低限の“欲望”だけで生きてきたんだし、復讐とかお姉さん達の弔いとかが終わった今くらいはゆっくりしても良いんじゃないかなって思ってるんだけど……」
「確かにそれは私も思うわ。だけど『強欲』の魔王が数ヵ月後に動き出すかもしれないならいつでも動けるように身体を最適にしておくべきじゃないかしら?」
「でもヒルダぁ?アタシ戦う時は常にリョウちゃんの中にいて影を操ったり死角を潰したり、たまに“影形”の操作するだけだし肉体鍛えてもあんまり力にはなれないと思うんだけど」
「じゃあ言い方を変えるわ。このままだと悪魔と言えど女性にとってよからぬことになるわ」
「「良からぬこと?」」
僕とリルナは首を傾げて互いを見る。僕の目に映るリルナは初めて会った時よりも明らかに肌艶や髪の手入れがされている。肌艶の方は食事が関係しているとして髪の方はよくヒルダやシルフィに弄られているからその影響かもしれない。
「捕縛して封印している『盗炎結偽』をこちら側に迎える準備を教授がしてくれているの。せめて立派な姿を見せたいと思わないかしら?」
「ベル姉が!?」
リルナの姉でありつい先日敵対していた上級悪魔ベルサシエ。現在彼女は教授のラボで僕も入っていた医療用ポッドの中にいる。シルフィとの戦いでの傷自体はそこまで深くないのだが『炎天渇奪』が消えた影響により彼女が奪われていたナニカが戻っている可能性が高い。治療完了後そのままダフネがポッドごと時間を止めて封印している状態だ。
シルフィは心情的にこちら側だが所属的には天界になる。彼女が倒したベルサシエを僕達の勝手で目覚めさせるのはあちら側と手を組みたい僕達側からしたら喧嘩を売るに等しい。だからリルナには悪いのだけど今はまだ目を覚まさないでいてもらっている。リルナを説得するのは大変時間を要し、最終的には「何でも言う事を聞く券」を10枚渡したことで落ち着いた。
「天界側とは話しが着いたの?」
「教授が言うには封印解除の場所の選定をしてからになるとのことよ。つい先日まで敵対していた以上あちらが力に訴える可能性もあるからその場合被害が出ないところをと」
「ああ。まぁ説得には準備が必要そうだよね……」
「なんでもいいよ!!!ベル姉が目を覚ますって言うならさ!!!」
妹を戦いに引きずり込んだ僕に対する怒りとかそこらへんが爆発しそうだなと思い遠い目をする僕とは対照的にリルナは嬉しそうに大はしゃぎしている。いつの間にか正座をやめてそこらへんをぴょんぴょん跳びはねているくらいだ。ヒルダも生暖かい目で見ている。
彼女の姉妹愛が強いことを僕達全員が知っている。なにせ下級悪魔でありながら雲の上の存在である上級悪魔、『炎天渇奪』に復讐すると誓い我が身を省みず動いていたのだから。偶然僕という利害が一致する相手に会えていたからこの短期間でそれを果たすことが出来たが、もし僕がいなかったとしても彼女は決して諦めなかっただろう。ヒルダなんかはリルナのそういうところを気に入り自分の上位者として認めている節がある。そんなリルナが姉に会えると聞いて喜ばないはずがない。
「だからせめて普段の生活をもっとしっかりしてちょうだい。ぐうたらするのはディアンナだけで十分なんだから」
「なんでこっちに飛び火してるデス?」
「うぐっ……!!た、確かにディアンナくらいに怠惰なのは問題かもしれない……!!」
「横から聞いてただけのわたしに厳しくないデスか???」
人が駄目になるソファに身を沈めていたディアンナがツッコミを入れるも二人ともそれを無視、と言うより目にも入れていない。なんだかやる気になっている二人を見ながら落ち込んでいるディアンナの頭を撫でている所にプシュという音と共に白衣の男が入ってくる。
このラボを作り、現在天界と交渉を進めている人と悪魔のハーフにして上級悪魔。『観測希究』ライド・ソローネ。僕達が教授と呼んでいる彼は何が起きているのか分かっていないようで盛り上がっている二人を見ている。
「何かあったのかい?」
「いや、リルナのお姉さんが解放されるかもって話を聞いてやる気になってるところです」
「ああ。もう聞いたのかね。説明の手間が省けてよかった」
「お疲れ様です」
色々と苦労したのだろう。少し疲労の気が見えるのでねぎらっておく。僕達が戦いに出る時に教授には裏でのサポートをしてもらっているしお世話になっているのは間違いないのだ。というか僕のバイト先の社長なので敬語は当然ともいえる。
「ところで教授、その手に持っているのは?」
「ああ、これはリルナ君の物だよ」
名前を呼ばれたリルナは不思議そうにこちらを見る。流石に自分が話題になったら熱狂も落ち着くのかもしれない。そんな彼女を気にした様子もなく教授は特大の爆弾を投下した。
「リルナ君、三ヵ月前のデータから体重5キロくらい増えてるね」
「は???何かの間違いじゃないの???」
「いやいや、間違いなんかじゃないとも。ここ最近体重計に乗っていないだろう君?先日の戦いの後にやった健康診断でのデータだとも」
「…………」
わなわなと震えていたリルナはカッと目を見開き顔を上げた。その目には並々ならぬ決意が宿っている。
「ダイエットの時間だああアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
こうしてリルナの「立派な妹になったよ、見てお姉ちゃん計画」が始動したのだった。
評価&感想及びお気に入りオネシャス!!!
これまでの章でお気に入り
-
一章 愛と欲のカタルシス
-
二章 歌と病のラプソディ
-
三章 希望と炎とフラグメント
-
四章 天使と悪魔とラブコメディ
-
章ごとのバトルシーン
-
章ごとのヒロインタイム