【四章開始】いずれ神成る恋物語-天使と悪魔とラブコメ生活- 作:ビスマルク
「リョウちゃん!!覗いちゃ駄目だからね!!いやリョウちゃんならいいけど今回はお披露目をしっかりしたいから!!!」
どうにかこうにかこの湖で泳げるようになった僕達はこのエリアに用意されていたコテージで水着に着替えて泳ぐ準備をしていた。男の水着なんてパンツを変えるような物なのですぐさま終わる。Tシャツを一応羽織っているがこれを入れても1分もかからないだろう。一方女性陣は色々と大変なんだと思う。着替えている所を見たことないけど髪が長いと大変そうだ。
人工的とは思えない木漏れ日が気持ちいい木々の根もとに腰を下ろした僕はリルナの着替えが終わるのを待ちながらバハムートと呼ばれた大魚と変態ユニコーンと話しをしていた。大抵の悪魔より長生きをしているというだけあってその話は非常に興味深いものが多かった。
『なんと……『
『へへへ、流石は旦那でさぁ。あっ、肩お揉みしましょうか?』
「その蹄で揉めないでしょ。人型になれるならともかく。というかその口調は一体何……?さっきまでの尊大な感じは何処に行ったの?」
『あー、あれは初見対応の気を張ってる状態ですわ。人間ってこっちに幻想持ってるから話し方もそれに対応した方が夢を壊さないと思って。性癖は素です』
「性癖話してる時点で夢壊してることに気付いてほしいんだけど」
『この平和な空間で今まで出来なかった趣味話くらい許してくださいっす。いやぁ、今までは見つかればすぐに鬣とか狙われてたのにここは平和でいいっすわ。食事もちゃんと用意されるし美味いし。管理者を処女にしてくれたら言うことないんっすけどね』
『貴様がそんなだから『観測希究』の坊主はここにそういうおなごを置かんのだろうよ』
やけにへりくだっているユニコーンと溜息を吐いているバハムートはなんとも楽しそうだ。なんでもこのエリアは空間を拡張しているらしく上にも横にもかなり広いという。湖を中心に森が広がり様々な『憤怒』産の魔獣が住み着いているらしい。
「しっかし『憤怒』が作った魔獣ってもっとこう、人間絶滅を目的にしてるヤバい連中かと思ってたよ。ここまで話せるなんてさ」
『ああ。あっちの世界に残ってる連中はその印象であってますよ旦那。俺達は『憤怒』から外れ、もしくは不良品として捨てられた奴ですわ。あっちの連中からしたら敵も同然なんで会ったら人間同様に殺しにかかってきます』
『我らは数少ない例外ではある。『憤怒』に生み出されながらも人間、天使悪魔に対する殺意を持ち合わせていなかった。その上で世界を跨げるだけの力があったからこそこうしてこちらの世界で生きておる。力がなければあちらで他の魔獣によって殺されているだろう』
だろう、とは言っているが実際はそれ以上に酷い光景を見て来たに違いない。話しを聞いているだけで『憤怒』という存在は共存など不可能な魔王なのだと分からされる。全てに怒り、全てを滅ぼす為にあらゆる生物を無作為に生み出し続ける。その果てにあるのは何なのか理解が及ばないが僕達にとっては楽しい未来ではないのは確かだ。天使達が元々いたあちらの世界では今も人類は戦っているというがその在り方には尊敬の念を抱かずにはいられない。
『だがまぁ、人間達の手は世界中に回っておる。天使達の認識阻害の影響もあって我らの存在に気付かれることは早々ないがそれでも隠れ住むにはいずれ限界が来ると思っていたところに『観測希究』が現われこの土地を与えられたのだ。平和に過ごすことを望む我らにはここは極楽のような物よ』
『今まで会うこともなかった兄弟達とも会うことが出来たっすしね。たまに対価として角とか削られていくけどまた生えてくるから問題ないし。バハムートなんざ同種と子づくりして湖に卵あるんすよ。もう少しで孵化予定っす』
「それはめでたいね。今度お土産持ってくるよ。家族が増えるのはいいことだ!!」
『う、む。そうも手放しに喜ばれると少々面映ゆいな……。だが祝いの言葉は受け取っておこう。この組織における最大戦力と聞いていたが、想像とは違ったわ』
『聞いてた話じゃ上級悪魔を何体も相手取る化け物って話だったしな。どんな見た目してるかと思ったら大分普通だったな。目つきは悪いけど』
「うるさいな。気にしてるんだから言わないでほしいね」
男三人、いやまぁその内二は人ではないのだが和やかに話しを続けている。こうした穏やかな日々は彼らにとっても望み続けた物なのだろう。一方でこの空間を作っているという教授の協力者がどんな人なのかが気になってくる。
『そういえば旦那。あの小悪魔ちゃんといい仲っぽいすけど他にもいい人がいるんすか?あの子は未だに華が散ってないみたいだし』
「その嗅覚は凄いと思うけどそれを口にする品性はどうかと思う。……まぁ、あと二人いるけど絶対会わせないよ」
『なんでっすか!?俺幻想的な見た目で女の子にモテると思うんすけど!!!処女の美少女に鬣撫でられたい!!!!』
『その言動の時点で不可能だという事実に気付いてほしいがなぁ……。ここまで生きてきてそれは難しいか……』
「同じ場所に住んでる仲間なのにそうすぐに諦めないでほしいんだけど???」
なんともキャラが濃いというか。このエリアに移り住んでいる幻獣達はみんな似たような物なのだろうか。まだ見ぬこの地の住人に想いを馳せているとコテージの扉が開く音がした。出てきたのかと思い振り返ってみればリルナが飛び込んでくるのが見えて咄嗟に抱きとめる。勢いよく飛び込んできた彼女は小柄だがそれでもしっかりとそこにいることが分かる重さがある。急だったために素の状態で受け止めてしまい湖に落ちそうになった。
「にゃはははっ!!リョウちゃんどーん!!」
「うわっ!?急に飛び掛かってくると危ないって!!」
「いいじゃんいいじゃん!!リョウちゃんならちゃーんと受け止めてくれるでしょ?」
「そりゃ受け止めるけどさ。出来ればリルナには危ないことしてほしくないよ」
「リョウちゃんとならアタシはどれだけ危ないことしてもいいけどねー。で、どう?本邦初公開のアタシの水着!!!天使達よりも先にリョウちゃんに見せたかったんだよね!!!」
受け止めたリルナは身体に巻き付けていたタオルを外してその肢体をその場に晒した。初めて会った時より肌が遥かに健康的になったそれはしかし外に出ないこともあって日焼けなどしておらず白いままだ。一方で水着はフリルの付いた可愛らしいワンピースタイプだ。動きやすいように過度に装飾されておらず、リルナの綺麗な金の髪を際立たせる印象を持たせる。多分これを選んだ人はリルナの魅力の引き出し方を知っている。今からでも感謝の念を捧げたい気分だ。
「この前リョウちゃんを着せ返させまくった時に店員さんにアドバイス貰ったんだよねー。どうどう?アタシカワイイ?」
「語彙力がなくなるくらいカワイイ。絶対誰にも見せたくないくらいには魅力的。独り占めできることに感謝したくなる。他にも色々言いたいけど言いたいことが渋滞してて何言えばいいのか分からなくなってます」
「にははは、にゃはははは……。いやぁ、なんというか、ちょっと照れるねぇ。水着なんてなんでもいいと思ってたけど、うん。リョウちゃんにそう言ってもらえるならちゃんと選んだ甲斐があったって言うか。な、なんだか照れ臭いねっ!!!」
お互いに顔を赤くしながら笑いあう。リルナが僕に見せる為に選んでくれたという事実がとても嬉しい。本当に僕は幸せ者だと思いながら、この幸せを続けたいと欲深く求めてしまう。
『ああ……。素晴らしき華が飾り立てている姿は心を癒すな……。相手が旦那じゃなけりゃ角突き刺して処理してたわ』
『お前がここにいるのその性癖をここに閉じ込める為ではないのか?』
とりあえず変態馬はリルナを見ないように強く躾けるべきだと決意した。
これまでの章でお気に入り
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一章 愛と欲のカタルシス
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二章 歌と病のラプソディ
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三章 希望と炎とフラグメント
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四章 天使と悪魔とラブコメディ
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章ごとのバトルシーン
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章ごとのヒロインタイム