幼馴染(天使)が幼馴染(偽)だった。天使なのはガチだった   作:ビスマルク

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そういえば詳細描写してなかった気がするのでまずはメイン勢の容姿と性格

沢渡リョウ
身長168cm。黒髪黒目、目が鋭いが表情が柔らかいので怖がられたりしない。あと言動がポップなのも影響あり。メンタル最強。
可愛い女の子大好き。でもそれ以上に優しい子が大好き。そういう子が幸せになれない世界ならぶっ壊れろと思うくらいにはヤバい奴。平穏を享受する人たちも大好きなので実際はやらないけど。自分の望みの為なら自分を地獄に送り出しても平気な類の異常者。


エル・ライトガーデン
身長160cm。銀髪紅目、基本無表情で笑う時は頬を軽く上げる程度。それも親しい人間にのみ見せるくらい。メンタル弱め。
上級天使の中でも技量と能力によって上級悪魔をも単独で倒せる可能性を持つ一線級戦力。リョウ君の“愛”のおかげでほぼ無尽蔵のエネルギーを誇るが、それを無暗に使うのは利用しているという事実を強く認識してしまうので基本節約して使ってる。それでも中級以下の悪魔は一掃できる。


リルナ
身長155cm。金髪【ピー】目(ネタバレ)。金髪は長い期間切っていないので伸び放題でメカクレ状態、しかも癖毛なのでぴょんぴょん飛んでて金のボールみたいな感じになってる。表情は良く変わるが表面だけで感情が動いてない事が多々ある。最近はリョウ君に情緒ぐちゃぐちゃにされてる。これからもされる。
復讐の為なら自分のことはどうなろうと構わない。それだけの実力差があると分かっているので。ただしその復讐に他人を巻き込むのを躊躇うくらいにはまとも。名前もない姉が5人、名前のある姉が1人いた。



影悪魔と共に

 ドルザルクの3時間後の戦い宣言。それを聞いた僕は即座に影の中を走り家に戻った。そして目を閉じ再び心の空間に入り込む。この一週間で大分慣れた為1秒も待たずに入り込むことが出来た。

 

 そこにいるのは今、僕が頼れる唯一の存在。黒い翼を持つ優しい人外。本来同胞であるはずの上級悪魔を殺すことを望む異端の悪魔。

 だけど僕にとっては同じ道を歩いてくれる共犯者だ。その優しい女の子に対して僕は酷いことを言う。彼女が傷つくことを知ってなお止まる気はない。

 

 

「リルナ、もう一回言いたい。契約して欲しい、僕に戦う力をくれ」

 

「……本当に、いいの?これをやったら、もう戻れない。もう普通にはなれない。平穏な日々から確実に外れることになる。必ず後悔する事になるよ」

 

「そうかもね。後悔しないとは言い切れない。エルが死んでも、長い時間をかければその心の傷も癒えて、新しい恋をして、平穏に生きていけるかもしれない」

 

「それなら、無理に」

 

「その()()()()()()を希望に生きていくなんて僕には無理だ。というより、そんな自分を僕は認めることが出来ない。自分も認められない人生なんて僕は嫌だ」

 

 

 結局のところ僕は僕のことしか考えてない。我ながら酷い奴だと思う。普通とは違うのだと分かる。普通だったら、きっと躊躇う。戦うことを、上級悪魔と天使の戦いを見て死にたくないと思って逃げる。だけど僕に逃げるという選択肢はそもそも頭の中になかった。

 異常者だろう。上手く日常生活を送ってこれたから隠せていただけで、僕は最初からこうだった。だけどそれを悲しむ時間はない。一刻の猶予もないのだから。

 

 

「僕は、君に酷いことをしてる。優しい君が本当に、他人を巻き込んででも許せない相手がいるのを利用して契約を迫っている。だから僕が死んだらすぐに逃げて、こんな奴のことは忘れて欲しい」

 

「…………そうだね、お兄さんはかなり酷い人だよ。初めて美味しい物を食べさせてくれた人を。暖かい布団をくれた人を。奪われる恐怖のない生活をくれた人を置いて逃げて忘れろって言うんだから」

 

「僕は結局、優しいんじゃなくてただ自分がしたいことをしてるだけの」

 

「自分のしたいことが他人に優しくすることなら、それは優しい人ってことでいいと思うよ」

 

「―――――――――」

 

 

 一歩ずつ彼女が足を進める。目の前に立ったリルナは僕の頬を両手で掴んで引き寄せる。髪で隠れた目がチラリと見えて、その力強さに圧倒される。

 

 

「自分を必要以上に卑下するのはお兄さんのことを好きな人達に対する侮辱だよ。アタシも同じだからわかる。アタシだって、アタシより姉さん達が生き残ればよかったと思ってる。でも、それはアタシを助けてくれた姉さん達への侮辱だ。だから精一杯生きる」

 

「僕が、自己評価低いと確かにそうなるのか」

 

「そうだよ。それでも自分を認められないなら、認められるように頑張ろう。アタシと一緒に。共犯者だって言ったんだからいいでしょ?」

 

 

 彼女は僕に恩を感じてくれている。ここまで真っ直ぐその想いを伝えてくれる。それでも生まれてきてから育んできた常識が僕自身の異常性を認めることが出来ない。

 だけどそのおかげでエル達を助けられるなら、その事実だけは認めていいのかもしれない。

 

 

「…………いきなりは無理だけど、頑張るよ」

 

「頑張らないならアタシがお兄さんを煽ってあげる。負けん気を刺激する言い方でね」

 

 

 そう言って口から舌をチロリと出して笑うリルナに心から感謝する。彼女と出会って本当によかった。そのおかげで僕はエルを本当に好きなんだと分かった。彼女を守るための選択肢を得ることが出来た。

 怖いか、自分の本音に問う。当然怖い。僕自身が死ぬのも、エルやリルナが死ぬのも怖い。

 戦うことに拒否感はあるか。当然ある。暴力なんか嫌いだしそれで解決できる物ごとなんてない方が良いに決まっている。

 

 ならここで逃げ出す選択肢はあるか。当然ある。知らなかった頃のように知らないふりをすればいいだけだ。

 だけど僕はそれを選びたくはない。ああ、選択肢がちゃんとある。その上でどちらを選ぶのか決められる僕は幸せ者だ。

 

 

「あっ、そうだ。契約も大事だけどその前に渡す物があったんだ」

 

「なにお兄さん?変な物でも買ったの?お金は大事だってこの一週間でアタシも学んだんだけど」

 

「いやいや無駄遣いじゃないから。リルナ、ちょっと動かないでね」

 

「……?別にいいけど」

 

 

 ドルザルクの登場によってせっかく買っていた物を忘れていた。非日常というのは大切なことを忘れさせると改めて自覚する。自分のことしか見えてないなら、奴のことを笑えない。

 リルナの前に膝をつけ彼女を見上げる。下からでなければこれを付けるのはちょっと難しいのだ。

 金色の髪を掻き分け、そこに今日買ってきた星型の髪留めを付ける。今まで見えてこなかった、髪の奥にある両目が見開かれているのが分かる。

 リルナは咄嗟にその目を両手で覆って隠した。

 

 

「見られたくなかった?」

 

「そう、だねぇ。親元の上級悪魔が失敗作、って言ってきた原因だからさ。というかこんなの何時用意したのさ。前から持っていた物だったり?」

 

「今日服を買ってる時に見かけてさ、エルが試着してる時に買っておいたんだ。買わないと自分の物って思えなくてこっちに持ってこれないから」

 

「呆れた……。折角のデート中に何考えてるのさ。そこは相手のプレゼントを買うべきじゃない?」

 

「いやそっちはもちろん買ったし、もうプレゼントしたよ。日頃のお礼も込めて。リルナはこれからお世話になるだろうからその先払い」

 

「デート中に他の女へのプレゼントを買うな馬鹿」

 

 

 本来敵のはずの、いや今だって見つかれば敵だと断言され襲ってくるであろう相手へそういうことを言える優しい彼女だから、少しでも何かしてあげたかった。なんて言ったらきっと彼女は照れ隠しするだろうけれど。

 

 

「でもまぁ、色々と理由はあるけど一番はやっぱりリルナが隠してる両目を見たいってだけだし」

 

「お兄さんって“愛”も強いけど“欲望”も強いよね。自分本位って自己評価は正しいと思うよ」

 

「リルナに言われたからそんな自分のことを少しは認めようと頑張る」

 

「そういう意味で言ったんじゃないんだけどなぁ……」

 

 

 深々とため息を吐く。だけどこれが僕と一緒にいるという事だから悪いけど慣れて欲しい。僕も悪い所は変えようと思うが、人を褒めることを悪いことだとはどうしても思えないのだ。それが事実であるならなおさら。

 

 

「というわけで君の瞳を見たい。これからは目を見て話しをしたい。ダメかな?」

 

「…………怖がったりしないなら、いいよ」

 

 

 そう言って目を隠していた手を放す。少し乱れた彼女の髪を整えて改めて髪留めで固定する。リルナがゆっくり瞼を開けていく。どんな目だというのか、少し覚悟して肩透かしをくらう。

 

 

「なんだ、隠してるのが勿体ないくらい綺麗じゃないか」

 

「…………そう言ってくれたのはお兄さんが初めて、じゃないか。姉さん達も、言ってくれた」

 

 

 リルナの目は両方がそれぞれ違う色をしている、いわゆるオッドアイだった。右が夕日みたいな、鮮やかなオレンジ色で左が雲一つない青空のような蒼色。両目とも、本当に綺麗だった。

 

 

「宝石を埋め込んだみたい、って言うのは誉め言葉としては微妙かな」

 

「そうだね。アタシはあんまり好きじゃないかも。だからさ」

 

 

 リルナの手がその金糸のような髪に触れている僕の手を握る。僕の手が髪から離れても、今度はその奥にあるオッドアイを隠そうとしないのは僕を少しは認めてくれたからだろうか。そうであればいいなと思って笑う。

 

 

「ちゃんと、アタシのこと知ってアタシの喜びそうな言葉を考えておいてよ。アタシも、お兄さんのことちゃんと見てるからさ」

 

「ああ、約束するよ。絶対君が喜ぶ言葉を送ってみせる」

 

 

 互いに共犯者の手を握り力を込める。“魂魄契約”、そのやり方が頭の中に入り込んでくる。

 望みを言う。相手に望むことを。そしてそれを遵守することを誓う事で契約は成る。

 

 

「アタシの望みは復讐。姉さん達を殺した親元の、上級悪魔を必ず潰したい」

 

「分かった。僕は君の力となり、その願いを叶えることを誓う」

 

 

 その願いは今は亡き姉達へ送る為の物か、それとも自分がその悪魔を許せないからか。その気持ちを推し量ることは僕には出来ない。想像は出来てもあくまでそこまでで、理解するには至らない。

 だけど断る理由はなく、即断で決める。その早さにリルナはいつものように悲しそうに笑った。その顔は見たくない。今は無理でもいつかはいつでも彼女らしい笑顔を浮かべて欲しい。

 

 

「僕の望みは幸福。君がその復讐を終えた後、自分を許して幸せになることを諦めないで欲しい」

 

「…………分かったよ。お兄さんの言う通り、アタシは幸せになることを努力する。幸せになり切れなくても許してよ?」

 

「そうはならないように僕も頑張るよ。リルナが自分の力で幸せになれないなら、僕が幸せにするさ」

 

 

 それだけのことを君はしてくれたのだから。これからもしてくれるのだから。共犯者ならば先の未来も共有するべきだと思う。僕は幸せになることを諦めないから共犯者であるリルナにも幸せになってもらおう。

 

 

「今、契約は成された。アタシの力、それを貴方に渡す。大丈夫、お兄さんならきっと勝てるよ」

 

「生憎負ける時のことなんか考えてなくてね。勝つ為に君にも手伝ってもらうよ」

 

 

 覚悟を決める。いや、あのデートこそが僕にとって覚悟を決める時間だったはずだ。ならばもう躊躇いはない。

 

 エルを守る。エルが守りたいものを守る。

 リルナの復讐を手伝う。大切なモノを奪った報いを受けさせる。

 “愛”がある。“欲望”がある。それならば戦える。

 

 リルナの柔らかい唇が近付きキスを行われる。これが契約に必要な最後のピース。

 

 その瞬間、僕の意識は現実の影の中の世界に戻る。影が僕に纏わりつき布のように僕を包む。顔には仮面が付けられるが、視界を阻むことはない。

 力が湧き、その使い方を本能的に理解する。だけど影を操るということは難しく慣れないといけないがその時間が今は惜しい。どうしたものか。

 

 

『大丈夫。影の操作はアタシがやるから。お兄さんはどうしたいかをアタシに伝えて、後は身体を動かしてぶっ飛ばせばいいよ!!』

 

「ありがとうリルナ。やっぱり君は最高だよ」

 

 

 戦う準備は出来た。さぁ悪魔退治と行こう。

 

 




リルナ「お兄さん……もう光天使とはもうキスをしたのか?まだだよな」

リルナ「初めての相手は光天使じゃない!このリルナだッ!!!」

一章完結目前 ヒロイン誰が推し?

  • 無表情赤面幼馴染天使エル
  • ツッコミ系メスガキ詐欺悪魔リルナ
  • 承認欲求アイドル天使シルフィ
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