幼馴染(天使)が幼馴染(偽)だった。天使なのはガチだった   作:ビスマルク

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本日二話目。

この二人の格を呪術廻戦で例えるなら一級相当になります。この上にまだ特級クラスの最上級天使と魔王がいる。

まぁこの破壊規模で戦うのは上級天使と上級悪魔の中でもこの二人を含めて両手両足の指の数より少ないけど。



光天使VS『大飢万征』

 

(この悪魔の能力は大体把握できた。“巨大化”“小型化”の二つ。更にそれを解除して元のサイズに戻す“解放(リリース)”。私の“光鎖”で縛り上げてもその能力で間違いなく対応してきますね)

 

(やっぱり光の能力は厄介だな。威力もさることながら速度がヤバい。だが本物の光ほどではなく目で何とかだが追えるレベルだ。“小型化”してる時にぶち込まれれば死ぬしかねぇな)

 

 

 対峙した天使と悪魔は互いの能力の考察を進める。互いに単純だが、それ故にその破壊力や応用力は高く厄介だと感じる。詰みまで持っていく難易度が高いことにエルは眉根を潜め、ドルザルクは笑みを深める。

 

 同時に踏み出し地面が爆発したように舞う。たった一歩、駆けるために全力を出すだけでその被害は、しかしこの二人の戦いにおいては軽微と言わざるをえない。

 

 

「“光槍”」

 

「“小型化(スモール)”ぅ!!!」

 

 

 手に光の槍を持ったエルはそれを突き出し、対するドルザルクは振りかぶった右腕のみを小型化することで避けつつカウンターを狙う。だがその腕を元の大きさに戻す寸前でエルの勢いが止まり、同時に脚が跳ねその腕を上に蹴り上げる。

 

 

「“光鎖”」

 

 

 小さくなったドルザルクの腕を縛り上げて締め上げ潰しにかかる。木の枝のようになった腕はこれ以上小さくすることは出来ないと考え、ドルザルクの苦悶の表情でそれが正解だと確信する。

 

 

「潰れちまえよ!!!!」

 

 

 すぐにドルザルクは左手に握っていた瓦礫を細かく砕きエルに投げつける。どれだけ小さかろうとその悪魔の能力の前では危険性が非常に高い。小さいからこそその瓦礫片は早く、即座に巨大化すれば質量も伴う。

 

 

「“光鎖”」

 

 

 予想通り瓦礫は大きくなりエルを捉える。しかし彼女は一歩下がりつつ目の前に光の鎖を複数展開し網を形成、瓦礫の山を受け止めることに成功する。しかし勢いを完全に殺しきることは出来ずに鎖の網はすぐに悲鳴を上げ、エルは上空に飛び立つことで逃げることを余儀なくされる。

 

 

(また“小型化”で姿を隠して……!!)

 

「“解放(リリース)”ぅ!!!!」

 

 

 少しでも目を離せば視界から消える上級悪魔。その声が響き地面から元の大きさに戻ったビルがエルに襲い掛かる。翼を開きその攻撃をギリギリで回避するも、少しの間をおいてもう一棟が大きさを取り戻しエルの背後を塞ぐ。

 

 

「ヒャッハァ!!!!」

 

「“光羅”!!!」

 

 

 背後を塞いだビルの中からドルザルクが飛び出しその巨腕を再び振るう。何度もそれを無防備に受ければいずれ動けなくなると判断し身体に光の力を纏わせて防御力を中心に身体能力を上げる。

 

 

(俺の殴りを受け止めやがった!!?足の踏ん張りがきかないこの空中でか!!!)

 

「“光矢”!!!」

 

 

 再び地面に叩きつけるつもりで放った拳がエルの小さい身体に受け止められることに驚愕してドルザルクの動きが一瞬止まる。その瞬間を狙ったように上空に光の矢を生成しそれを雨のように放つ。

 

 

「ッ!!?」

 

「墜ちなさい」

 

 

 まるで豪雨のように降り注ぐ光の矢を受けてドルザルクが地面に墜ちていく。滝を登る鯉のようにはならず、一切の抵抗を許さず光は悪魔を襲い続ける。

 その光に対してドルザルクは敢えて抵抗するのをやめて身体を丸めることで防御態勢をとる。この量の光を生み出せばいずれは必ずその身に与えられている“愛”が枯渇すると予想したのだ。

 

 

(私が自信を持っていうのは間違いですが、私にくれた彼の“愛”は尽きない)

 

 

 一方でエルはその予想を理解した上で光の矢を放ち続ける。能力をいくら行使してもまるで尽きる気配のないエネルギーが存在することに罪悪感を抱く。リョウを騙し、その結果得た彼の“愛”をこんな破壊に使っているという事実に自己嫌悪する。自分の正体とこの“愛”の使い方を知ればきっと彼であっても軽蔑されるだろうとエルは確信していた。

 

 

(そうなれば私はもう戦えなくなる。だけどそれ以上に、リョウ君に嫌われることの方がずっと苦しいし辛い)

 

 

 その恐ろしい想像で身体が震えそうになるのを目の前に上級悪魔がいるという事実により湧き上がる戦意で無理矢理止める。この悪魔をここで殺さなくては確実にあの愛しい少年を巻き込みその身を危険にさらすという確信があった。ドルザルクならば、自分を捕らえた後苦しめるためだけにそうするだろう。その未来をエル・ライトガーデンは許容しない、出来ない。

 

 

「ふぅぅううううう……!!効いたぜぇ……!!!」

 

「まだ生きてますか」

 

 

 手応えはありつつ、それ以上続けることを無駄だと判断し光の矢を撃つことを一度やめる。ドルザルクは地面で巨大化した腕で身体を隠し光の矢からその身を守っていた。

 だがその代償に悪魔の腕はズタボロになり、紫の血がいたる所から流れ出ている。だがその腕の大きさを戻すことによりその傷は比例して小さくなる。

 再生力が低いドルザルクの異様なまでの打たれ強さの理由の一つがこれだ。打撃だろうと斬撃だろうと受ける瞬間に腕や部位の一部を巨大化させることで受け止め、元に戻すことでその怪我の影響を最小限に抑え込む。

 

 

(やはり、遠距離による攻撃では埒が明かないですね。それにあの防御法も面倒極まる。あれではどれほど血を流させたとしても致命傷には程遠い)

 

 

 即座にその脅威を把握したエルは両手に光の槍を出現させて握り締める。ドルザルクを殺すにはその首を断ち切るか、もしくは小さくなっている所を貫くかの二つだと判断する。

 どちらをやるにしても遠距離からの光の矢では難しい。前者はあの防御法によって隙を突いても非常に難しい。かと言って後者を行おうとしてもそのサイズの変化は早く、視力を強化してても見失う可能性が高い。

 

 

(仕方ない。近づけば奴に触れられてその能力を受けるかもしれないけど、抵抗することは出来るのは事前に確認済み。相当弱らなければ瞬時のサイズ変更を生物に使うのは無理だったはず)

 

 

 ドルザルクの能力(ちから)の他者や無機物に対する発動条件はその手で触れること。その為出来る限り距離を取り戦おうとしていたがいつまでも時間をかけるわけにはいかない。今もなおこの近くに人間を近づけない為に結界などを使っているがそのエネルギーも無限ではなく、この時の為だけに使うわけにもいかない。

 

 

(本当に、これだけは悪魔の方が有利で腹が立ちますね。あちらは被害を考慮に入れずに暴れる。それで巻き込まれる人達のことを何も考えず、むしろ“負の感情”を集めるのにちょうどいいと言わんばかりに)

 

 

 目を細めてドルザルクに近づき直接槍を刺すことを決意したエルは翼を翻し速度を上げて縦横無尽に移動しつつ突っ込む。

 回避など許さない。カウンターを狙って来ようと速度で翻弄されて碌な体勢もとれていないのであれば脅威ではない。それは顔を歪めたドルザルクの様子からしてもあたっているだろう。

 近づきながら光の矢を放ち二棟のビルを破壊しその瓦礫に紛れることで更に対応される可能性を低くする。これで終わらせるという決意と共に光の槍を振りかぶり

 

 

「えるっ!!!!」

 

 

 愛しい少年の声が聞こえエルの心と身体が一瞬どころではなく止まる。何故ここにいるのか、どうして声が聞こえるのか様々な疑問が頭に過ぎる。

 

 

(だめだ、嫌われちゃう)

 

 

 覚悟していたはずなのに、それがまるで無意味だったとばかりに身体が動かない。一つの事実に思考が止まりどうしようもない絶望感が彼女を襲う。

 

 

「見ぃつけたァ!!!!!」

 

「ぐぁ!?」

 

 

 その隙を待っていたと言わんばかりに悪魔の悪意が降りかかる。巨大化させた腕で動きの止まったエルの身体を掴み上げそのままビルに叩きつける。 小さく悲鳴を上げるエルに喜悦の表情を浮かべながら続ける。

 

 

「お返しだ。潰れちまいな」

 

 

 二棟のビルを破壊し、上から瓦礫が降ってくる。その地点にエルを放り投げる。地面を転がるエルの身体は動揺のせいで強化も上手く出来ずに傷だらけになっていた。

 

 

(“光……羅”……!!)

 

 

 降りかかるビルの瓦礫を目にし、取り戻した理性で身体を光で包みこむ。その甲斐もあり、身体に傷こそあれどなんとか生き残ることが出来た。未だに定まらない思考だが、瓦礫の中にいたままでは止めを刺されることは間違いないと考え這い出る。

 

 

「あっ……」

 

「モグラ叩きみたいにゃ楽しめねぇなァ」

 

 

 その這い出た先にドルザルクがいて、今まさに拳が振り下ろされる瞬間だった。即座に光を操ろうとし、その制御を精神が手放す。これ以上リョウに見られる可能性を減らしたいという微かに、だが確かにあった考えが能力の行使を失敗させた。

 

 そして何度も何度も巨腕を叩きつけられる。赤い血が流れ、ボロボロになりながらもなんとか反撃をしようとしてその隙も見つからずに一方的にやられる。

 

 そしてズタボロになった小さい人形を掴むようにドルザルクは嗤いながらエルの身体を握り締めてその顔を先程リョウの声が聞こえた方に向ける。

 

 

「ほーれ、よく見ろよ。お前の幼馴染君はいねぇからよぉ」

 

「な、んで……」

 

 

 そこにいたのは先程ドルザルクがクローゼットの中から取り出し捨てた悪魔の姿。死んだとばかり思っていたそれは僅かに動き口を開いた。

 

 

「えるっ!!えるっ!!えるっ!!!!」

 

 

 繰り返し、リョウの声音でその名前が呼ばれる。唖然とする天使を悪魔は嘲笑う。

 

 

「お前を監視し続けた。それであの人間のガキの声を使えばこうなると予想した。テメェら天使は“愛”を向けてもらってる人間に対して弱いって共通点があるからなァ。思った通りだったぜ」

 

 

 経験、準備、理解、その全てでエルはドルザルクに負けていた。だからこの結果は順当なのかもしれない。とはいえドルザルクにもその表情ほどの余裕はない。他の上級天使と戦っても負けるつもりは欠片もないが、今掴んでいる折角のコレクションを奪われる可能性は非常に高い。

 

 

「貴、様ぁ……!!絶対に、許さない……!!」

 

「十分弱らせた。テメェを蒐集する。その後ゆっくり時間をかけて、それでも同じことを言えるか試してやるよ」

 

 

 目の前の可憐で美しい少女が自分に対して死を懇願する姿。もしくは解放して欲しいと媚びる姿を想像してその“欲望”が膨れ上がる。

 

 

(リョウ君、ごめんなさい)

 

 

 エルもまたそうなる未来を想像するも、それが愛しい少年を騙していた罰ならばと静かに目を閉じる。能力も使えず、身体は握り締められている為抵抗も出来ない。精々“小型化”されるまでの時間を延ばすくらいしか出来ない。

 天使と悪魔の戦いはここで終わる。悪辣さで最後を制した悪魔が笑う結末を迎える。

 

 

「“影牙”」

 

 

 その言葉と同時に天使を掴んでいた右腕が斬り飛ばされる。

 目の前に壁のように現れた影に腕を切られたドルザルクは目を見開く。この場に天使が来るはずもなく、何より影を操るという能力はとある上級悪魔の作り出した下級悪魔が良く持っていた。それが自分の身体を傷つけるどころか片腕を奪った事実に愕然とする。

 

 

「よぉ、筋肉ダルマ。テメェの計画全部台無しにしに来たぜ」

 

 

 その声の元を見れば、そこには狙っていた天使を優しく抱きかかえた黒ずくめに、白い仮面をつけた異形の姿があった。

 そう、天使と悪魔の戦いは終わった。ここから先は魔人と悪魔の戦いだ。

 






 リョウ君が遅れたのには理由がある模様。
 でなければ即理性放り投げて飛び込むので。

一章完結目前 ヒロイン誰が推し?

  • 無表情赤面幼馴染天使エル
  • ツッコミ系メスガキ詐欺悪魔リルナ
  • 承認欲求アイドル天使シルフィ
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