幼馴染(天使)が幼馴染(偽)だった。天使なのはガチだった 作:ビスマルク
でもなんか書いてある方が嬉しいんですよ、近況とか
真っ白い空間、そこにいる明らかに人外ですと主張する蝙蝠のような翼を持つ少女。明らかな異常事態。僕はその場に立っていることを認識して。
「はーい、木っ端の人間ちゃ~ん?不思議な場所に来て不安になるけど安心しなよ。アンタの身体は移動したわけじゃなくて、アンタの心の中に精神だけを連れてきただけだか」
「死ねぇ!!!!!!!」
「おごほぉあ!?!!?!」
なにやら喋ってる間違いなくこの状況の下手人に対して迷わずにボディーブローを叩き込む。急に襲い掛かってきた僕に対して何の反応も出来ずに少女はその場に膝をついた。若干涙目になっているがこんな場所に連れてこられた僕の方が泣きたいくらいだ。泣く暇があるならこれをやった犯人をボコって脱出手段を吐かせた方が良いのでそうするが。
「さぁ、死にたくなければ早くここから出すんだ。いくら僕が穏やかな心を持つ一般的男子高校生でも激しい怒りに目覚めたらどうなるか分からないぞ」
「う、うそつけぇ……!!アンタみたいな男子高校生が一般的なわけあるかぁ……!!うげぇ!!重いぃ!!!」
「余計なこと言わないで欲しいな。というか早くしないとエルが帰ってきてご飯要求してくるんだよ。僕もその原因になったお前も命の危機なんだよ」
地面に膝をつき激しく咳き込みながら失礼なことを言っている推定犯人に座り体重をかける。情けない悲鳴と共に倒れ込まないよう必死になっているようだが、必死なのは僕も同じだ。
僕の幼馴染であるエル・ライトガーデンはお腹が空くと非常に機嫌が悪くなる。いつもあまり動かない表情筋がより硬くなり無言の圧力を与えてくるのだ。
あんなもの受け続けたら僕はストレスで死にかねないし、食事が遅れた原因であるあのネックレスとその中にいたコイツは間違いなく破壊されて明日の燃えないゴミに出されることが確定する。
このネックレスと変な少女と心中するなど僕はごめん被る。
「なんでこんな!!人間如きがアタシにダメージ与えられるの!?普通はこんな事ありえないのに!!!なんで悪魔が人間に殴られて膝付かないといけないの!?ありえない!!!」
「そう言われても僕は普通だよ。ただの家庭菜園と筋トレが趣味な男子高校生さ」
「まさか、アンタ天使か!!クソッ!!まさかアタシが嵌められた!?あの脳筋天使共に!?」
「誰が天使だよ人の話聞けよ。天使なのは僕の幼馴染だって。いや天使って言うのは比喩でまるで天使のように可愛らしいってことなんだけど。時間があれば5000文字くらいで語りたいな」
「夏休みの読書感想文にでも書いて教師に捨てられてろ!!!」
「むっかぁ。いいよじゃあ語ってあげるからさぁ、その耳かっぽじってよく聞くんだよ?」
「四つん這いになってるからかっぽじること不可能なの見えない訳!?というかアンタより背の低い見た目美少女に腰かけて罪悪感とか湧かないの!?」
「僕はこんな所に連れてこられた被害者。なんで加害者に対してそんなもの持たないといけないのさ?」
「だってアタシは美少女でアンタはただのブサメンでえァアアアアアアアアアアアアア!!!重いぃい!!!体重掛けるなボケナスぅうううううううううう!!!!!!!」
会話が噛み合わない。これが人と人外の差かと少し空しくなる。言葉が通じるのであればきっと分かり合うことが出来るというのが僕の持論だったが、それが否定された気分になり少し悲しい。
だがそれでもこの悪魔っぽい少女に対しても語ればきっとエルの素晴らしさを分かってもらえると思う。彼女はそれだけ魅力的なんだから。
そんなことを考えていれば真っ白い空間にエルの姿が浮かんできた。壁に投射されたように大きいエルは、まさに僕が見てきた彼女の姿そのものであり。神々しくも、微笑んでくれるその表情に僕の心は熱くなる。日々の声も聞こえてきたのはそれだけ印象に残っているという事だろうか。この少女の言うことが本当ならばここは僕の心の中。そこに焼き付くようにエルは存在している。
当然僕が腰かけている少女にも見えているだろうし、声も聞こえているだろう。その優しさと、同時に食事を逃した時の怒りを見て早くここから出してほしい物だと視線を下に向ければ、こちらを見上げてニヤァと口角を上げている彼女と目が合った。
「はぁーん、なぁるほどねぇ。そりゃあアタシに対して抵抗できるわけだよぉ……!!」
「何を言って」
犬歯を剥き出しに笑っているその表情は少女の言葉を信じるに値するような邪悪な、行ってしまえば悪魔そのものの表情で。
「――――アンタの幼馴染、あれは天使だよ」
「知ってる」
「いや違くて。そんな深く頷かないでくれない?アタシの話し聞いてくれる???」
急に幼馴染を褒められて大変嬉しくなる。彼女が加害者でなければその手を取って共に夜が更けるまで語り尽くしたいところだ。
だが僕のその態度が少女の癪に触ったのだろう。更に声を荒らげてエルが天使だと主張し始める。
「だぁからぁ!!!アンタの自称幼馴染は天使!!!エンジェル!!!分かる!?」
「うんうん、分かるよ。学校でもそう呼ばれてるからね、君もあの神々しさを理解したってことだね」
「ちっがぁう!!!比喩じゃないくて本物の天使なの!!!しかもかなり高位の上級天使!!!」
「いやそんなオカルトな話し今されても、その、困る」
「今の状況見ろや!!!オカルトそのものの状況じゃないの!!!!」
少しずつ、なにか違和感を覚え始める。それはあのネックレスをおかしいと思い始めた時のように、頭が覚めてくる感覚に似ている。
本能的に、少女が本物の悪魔だと悟り、これ以上は聞いてはいけないと警告してくる。だけど僕の身体は動かない。彼女の言葉を聞かないように耳を両手で抑えることも許されない。
「アタシは悪魔!!!アンタの自称幼馴染は天使!!!アタシ達は敵対している!!!当然アイツは人間じゃないの!!!!」
「や……やめ、ろ……」
少女を止める声も小さく、何が言いたいかを先に理解してしまう。それでも信じたくなくて、力の抜けた僕を押しのけて少女……いや、悪魔が座り込んだ僕を見下ろしてくる。
「アンタの記憶は弄られてるのさァ!!!アンタに幼馴染なんて存在しない!!!!!」
それは僕の想いも、未来予想図も、何もかもを叩き潰す事実だった。
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具体的に言うと土日が二話投降になるやもしれん