幼馴染(天使)が幼馴染(偽)だった。天使なのはガチだった 作:ビスマルク
目指せ10000……!!先は長いが頑張れば夢は叶う(フェイスレススマイル)
「沢渡君!?」
「ほう、ジャネットを庇いましたか。中々の好青年ではありませんか。流石は上級天使の付き人、というところですね。もしや彼は貴女のツガイですか?」
「ッ!!!!」
唐突に倒れ込むリョウとジャネット、それを見て慌てる様子が欠片もないマネージャー。ここにきて自分が罠にかけられたと遅まきながら気付いたシルフィは隠していた翼を広げ二人を庇うように位置取りをする。
上級天使、ツガイ、その単語を知っている時点で一般人ではない。暗い茶髪を短く切り揃えスーツを着た女は悠々と笑い自らの策がなったことを確信し笑う。
(咄嗟に庇ったけどどうする……!!私の能力なら二人を運ぶのは分けないけど、コイツがそれを想定していないはずない……!!)
この状況、明らかに自分を狙い撃ちしに来ているとシルフィは察する。二人の人間を庇い戦闘態勢に入った上級天使を見ながら部屋に備え付けられている高級ソファに深々と腰掛けるジャネット・シックのマネージャー。いや、この状況から推測されるその正体は。
「『病孤涙苦』……!!」
「そう。それが私の通り名。覚えていて下さり光栄です。ドルザルクとは違い本名を名乗ることなど滅多にありませんので他者が私を呼ぶ時はその名になるのですよ」
「ぺらぺらと聞いてもないことを、随分とお喋りなようね」
「ええ。なにせ私の安全は保障されているようなものですからね。ああ、言い忘れてましたがそこの二人をこの部屋から出したら死にますよ?私の能力は、知っていますよね?」
「お、前ぇ……!!!」
この世界において最も多くの人間を殺した悪魔は誰か?満場一致で『病孤涙苦』だと断言出来る。千年かけて殺してきたその数に並ぶことなど上級天使にも上級悪魔にも出来ない。現在三人にまで減っている魔王達ならば人類の総数を半分にすることなど容易いはずだが、良くも悪くも彼らは今姿をくらましているか、活動不能になっている。
よって『病孤涙苦』こそが、現在天界組織にとって最も優先して排除すべき悪魔となる。だからこそその危険性も理解せざるをえない。それが脅しだろうが何だろうが、この悪魔が言ったことは実際“可能”なのだから。
「出来るかもしれない。……そう思ってしまった時点でもう動けませんよね?貴女はそういう人間、いえ天使ですから。」
「……随分と私のことを買ってるじゃない。殺しに来たんじゃないの?」
「貴女程度を殺すくらいこうして姿を見せなくても出来ますよ。私はそういう悪魔なので」
陰湿に嗤うその姿には先程まであったマネージャーとしての顔はない。まるで蜘蛛の巣にかかったような感覚を覚えたシルフィは全てを放り出して逃げたくなってしまう。
だがその弱気を捻じ伏せ、上級天使であるという自負を持って立ち続ける。その小柄でありながらも確かに戦士であると思わせる立ち姿に『病孤涙苦』は更に深く嗤った。
「座ってください。私とお話をしましょう」
「沢渡君達に危害は」
「加えませんとも。貴女の付き人君にはもちろん、私の玩具であるジャネットにもね」
「この屑が」
自身が尊敬する歌姫を玩具呼びする悪魔を睨めつけながら勧められるまま座るシルフィ。その目に宿る敵意、いや殺意は心弱い者が受ければそれだけで心臓が止まるだろう。可憐な容姿だからこそその視線には物理的な力を感じかねない強さがあった。
「やはりいい目ですね。ええ、鍛えてきた自負を感じる目です。実に美しい」
その視線を真っ向から受けて全く動じず、それどころか薄ら笑いすら浮かべる女もまた怪物だろう。まるで聞き分けのない子供が怒っている様子を見ているような余裕を持つ。その態度が互いの戦力差を表しているようでシルフィの焦りは加速する。
「ああ、あの二人はソファに寝かせておきましょうか。おっとお客様に面倒はかけられません。私がやりましょう」
「それ以上二人に触るな、クソ悪魔」
『病孤涙苦』が倒れているリョウとジャネットに触れようとした瞬間その指先を風で斬る。そのまま風を操り二人を柔らかいベッドの上に寝かせる。二人の周囲を当然のように風で覆い、不用意に近づけば切り刻まれることになるようにする。
そこまでやっても、まるで安心には程遠いのが目の前の悪魔だと内心頬を叩いて気合いを入れ直す。
(出来ればエルを連れてきたかったけど、仕方ないか。ここまで早く、躊躇いもなく正体を表すとは思わなかったわ)
最悪の場合リョウとジャネット含めて三人とも死ぬかもしれない。そう思いながら、同時にそれはありえないと断言出来る。そんな短絡的行動を取るような悪魔がこれまで天界組織に全くその足を掴ませないなどありえない。
確かに天界組織はジャネット・シックに目を付けていたが、それは彼女が名前を独り歩きさせている『病孤涙苦』と何か関係があるかもしれない程度の物。だから今回シルフィが彼女と接触することに対しても特に問題ないと上から言われていた。それがこうなるとは組織としても予想外のはずで。
「本当に予想外だと思っていますか?」
「……何のことよ?」
「いえ、貴女が頭で疑問に思ったであろうことに対する質問ですよ。それを踏まえて言い直しますと「本当に天界はこのことを予想していなかったと思いますか?」になりますね」
「私を囮にしたと?他に二人の人間もいるのに?」
「その程度で私を特定し討伐するチャンスが出来るなら彼等なら喜んでやると思いますがねぇ。これでも私は天使達と長い付き合いなので」
「…………」
「ほら、否定できないでしょう?彼らは私に対して血眼ですからねぇ」
否定出来る要素がなさすぎる。確かにとシルフィ自身も納得しそうになる。
二人の人間に上級天使一人、本来であれば大きいだろう被害も『病孤涙苦』が相手ならば話は変わる。千年もの時を暗躍し続けてきた上級悪魔を特定し殺すチャンス。もしかしたら上はその正体を断定する為に生贄を出したのかもしれない。
同期であり、天才でもあるエル・ライトガーデンに“愛”を与えている少年もここにはいるが、それは全くの偶然であり天界組織としても予想外だろう。彼が自分の付き人のようなポジションになったのはつい先ほどのこと。明らかに事故だ。
だから、本来ならばここにいるのは自分と、組織から派遣されているプロデューサーで。その被害を上が受け入れるか否かと言われれば大義の為と言って切り捨てられる可能性も十分あり得る。だって、シルフィ・エアロードは
「エル・ライトガーデンの引き立て役、ですものね」
「…………い」
「誰も彼もが彼女に注目する。当然でしょうね。何故なら彼女は光を操る。悪魔に対し絶対的な天敵になりうる存在。それを囮にするなどありえないと断言できます。しかし一方で貴女はどうでしょう?」
「…………さい」
「貴女の風の操作能力はその練度が一番恐ろしい。だが再現性がないわけではない。エル・ライトガーデンと違い風の能力にそこまでの希少性はない。貴女という先達がおり、その教育方法さえ分かっているのであれば再現するのは難しいことではないでしょう」
「…………るさい」
「つまり、代わりがいる。唯一無二ではない。貴女の代わりなどどこにでもいるのです。それは天界にとってもそうでしょう。エル・ライトガーデンを守ることはあれど貴女を捨て駒にすることにそこまでの葛藤はないでしょう。ああ、なんと悲しくも辛い立場。私でしたらそのような目にあわされたら逃げ出すでしょうに。貴女は真面目、いえそれで他者に認められるのであれば構わないと言ったところですか?」
「五月蠅いって言ってんのよ!!!!」
座っていた椅子を蹴り飛ばし息を荒げながら立ち上がるシルフィに冷静さはない。その体内を既に『病孤涙苦』の能力が侵していることにすら気付かない。
病は気から、その反対を『病孤涙苦』ならば再現できる。精神を削るのに、病という力はあまりにも効率が良かった。
「貴女は誰にも認められていない。アイドルとして多くの“愛”を与えられた?いやいや、その“愛”だってエル・ライトガーデン一人に匹敵する程度でしょう?彼女に“愛”を与えているのは一人だけだったと記憶していますが。アイドルとして日本中にファンがいるのに、集められている“愛”はそれだけ……」
事実の中に毒を仕込むなど容易いこと。エルにあれだけの量の“愛”与えている人間個人がおかしいということには触れずにその心を蝕んでいく。
「所詮代わりがいる。貴女を絶対視している人間などいません。貴女がいなくなれば多少は残念に思いながらもすぐに日常に押し流されていく。シルフィ・エアロードはその程度の存在です」
「……結局、アンタは……何が言いたいの」
「実に簡単な話です。私はね、シルフィ。他の誰でもない貴女をスカウトしに来たのですよ」
「は……?」
その言葉に思わず口から空気が漏れる。その言葉を理解できないわけではない。その言葉がどういう意味を持つかを考えて、理解できずに止まる。
「天界如きに貴女は勿体ない。私と一緒に来てほしい」
悪魔は口元を歪めながらそう言って毒を差し出した。
設定公開はどういう形にすべき?
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話しの中で自然にを頑張って欲しい
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設定だけで一話使ってほしい
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設定とかどうでもいいからストーリー書いて