幼馴染(天使)が幼馴染(偽)だった。天使なのはガチだった   作:ビスマルク

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そろそろタイトルを代えないとと思っている件。

思ってた以上に世界観膨れ上がるぞこの作品……。


影法師と『病孤涙苦』 ⑨

 駆けだすのと同時にドッペルの周囲から影が伸び『病孤涙苦』に襲い掛かる。それぞれが独立した動きを見せる“突影”を後退しながら“病槍”で防ぎ距離を取ろうとする。

 

 

「させねぇよ!!!」

 

「しつこいッ!!!」

 

 

 先程作られたチャンスに嵌りかけたことなど忘れたようにドッペルが“影爪”を振り回し『病孤涙苦』を追い詰める。地面を抉りステージを破壊し、客席迄巻き込んでしまうことに罪悪感を覚えながらそれでも一切手を止めずに『病孤涙苦』に肉薄する。

 自分の命を省みないような攻めに『病孤涙苦』は動揺しながらもそれを槍の冴えに見せずに裁き続ける。“病槍”は触れた物をすぐさま分解し溶かすという性質を持っている。だがドッペルの主要武装である影は現象であり、それに質量を与えている今もその本質は変わらない。

 

 

(“病槍”は本来防御が不可能なはず……!!だが、相性が悪い!!!!)

 

 

 影は腐らず、分解もされない。それが『病孤涙苦』を追い詰めている要因。無論武器としての機能も持っている“病槍”は捉えることが出来ればドッペルの影の鎧を貫いて中にいるリョウを殺傷できるだけの力を持っている。リョウ一人ならば既に始末しているはずだった。

 

 

(コイツ、戦い慣れている!?いや違う、これはただ単に視界が広いだけ!!だがどうやってその視界の広さを確保している!!!?)

 

 

 隙を作り、欺き、死角を作り攻撃しても盾のように展開された影が防ぐ。リョウは肉体を、リルナが能力を完全に分業することでそれぞれのパフォーマンスを百パーセント発揮し攻めも守りも隙のない強さを発揮していた。

 

 

「捕まえ、たァ!!!!」

 

「ゴフッ!?」

 

 

 “影爪”を唐突に解除することで大きさを見誤った“病槍”は拳を貫くこともなく空振り、ドッペルの拳が『病孤涙苦』の顎を捉えかち上げた。

 上級悪魔とはいえ使っているのはジャネット・シックという生きた少女の肉体。死体ならば魂と菌という能力で動かしていたが、生者の場合脳に寄生することで肉体を操る。その方が遥かに燃費が良く肉体も長く持つからだ。だがそれ故に生物としての弱点も獲得してしまう。

 脳を揺らされた『病孤涙苦』は一瞬意識を失い肉体の制御を手放してしまう。それを見逃すほどドッペルに余裕も油断もなかった。

 

 

「“突影”ぇ!!!」

 

「が!?ぐがががががががががが!!!?!?」

 

 

 足元から爆発するように膨れ上がった影が『病孤涙苦』に次々と襲い掛かりその身体を空に送り出す。足場もなく、悪魔の翼を広げる余裕もなくした『病孤涙苦』はその影を肉体で受け続けなければならずその口から赤い血を吐き出す。それを浴びながらもドッペルは確実に倒すと確信するまで目を逸らさずそれを追うように跳びあがった。

 

 

「いい加減に、しろぉ!!!人間に下級悪魔がァ!!!!」

 

「知るかッ!!墜、ち、ろぉ!!!!」

 

「ぐおぉ!?なぁあああああああがぐぁああああああああああ!!!!?!?」

 

 

 空中に浮かび上がった『病孤涙苦』の足を掴みそのまま思いきり地面に向かって叩きつける。金色の整えられていた髪が解け、顔にかかる。髪の間から見える瞳に映るのは純粋な怒り。間違いなく下である存在に屈辱を味あわされている事実が『病孤涙苦』の余裕をはぎ取っていく。

 

 

「テメェに!!!そんな顔する権利なんざねぇんだよ!!!!!」

 

 

 叩きつけられた結果小さいクレーターを作ったドッペルはそれでも止まらない。『病孤涙苦』の戦意が一切消えていない事実は未だに純粋な勝率は相手の方が上だとリョウとリルナに確信させる。

 地面に叩きつけた『病孤涙苦』の顔を掴み地面に当てながら高速で走り抜ける。地面との接触させることで削ろうとするもジャネットの肉体もまた『病孤涙苦』によって強化されておりそう簡単にはいかない。それでも少しずつではあるがダメージは入っている。ガリガリと言った不快な音が『病孤涙苦』の脳に響き顔に刻まれた皴が更に増える。

 

 

「ぶっ潰れろぉ!!!!」

 

「ぶごっ!!?!」

 

 

 掴んだ顔を走り抜けた勢いのままステージの壁に叩きつけ、その威力に耐えきれない壁が壊される。流石に痛みがあったのか『病孤涙苦』は顔を掴んでいるドッペルの腕を掴みその能力を使い侵食しようとする。

 

 

「いい、加減にぃ!!!!」

 

『お兄さん!!!!』

 

「止まる気は!!ないッ!!!!!」

 

 

 リルナの警告の声を聞きつつもここで止まれば必ず『病孤涙苦』は体勢を立て直す。勢いのまま行かなければ敗北すると直感したドッペルはそのまま攻め切ることを決めた。

 今動かせる全ての影をぶつけて周囲を巻き込みながら破壊する。連続した破壊音を聞きながら、掴んでいた『病孤涙苦』の握力が弱まった瞬間無造作に投げ飛ばす。影は追撃し、その姿が見えなくなるほど濃く『病孤涙苦』を押しつぶしていった。

 

 

「ま、だ終わって、ねぇ……!!!」

 

 

 完全にとらえた感触はあるが、それでもまだドッペルは安心しない。確実に、倒した瞬間を目にしなければ『病孤涙苦』の能力によりいつ逆転されるか分からない。流れを持っている今、ここで決めなければならないと強迫観念にも似た想いで『病孤涙苦』の姿を確認しようとしたところで。

 

 

「――――あ?」

 

 

 身体から力が抜けて膝をつく。息が荒くなり、どれだけ呼吸しようとも肺が酸素を取り込んでくれない。急激に視界が暗くなっていきドッペルは崩れ落ちる。

 

 

『お兄さん!?お兄さん!!!不味いこのままじゃ』

 

「影に潜り込んで逃げる、なんてさせませんよ。そのままでは五分持たず死ぬでしょうしねぇ」

 

 

 倒れたドッペルに何が起きているのか分からずとも非常に不味いことを察したリルナが影の中にドッペルを引き込もうとするも、影の波から脱し起き上がってきた『病孤涙苦』の言葉が引き留める。

 親しい者が死ぬことにトラウマを持つリルナにとってその言葉は聞き逃せないものだった。

 

 

「聞こえていないと思いますが、それがイオラの最後の症状ですよ。酷い熱、幻覚、凶暴化。そして最後には呼吸困難になって死ぬ」

 

『なん、で……。お兄さんは、私が“欲望”も使って守って……』

 

「何故、と疑問に思っていますか?決まっているでしょう。貴方は無防備に私が吐き出した血を浴びた。そう、この『病孤涙苦』の血をその身で浴びたのですよッ!!!」

 

 

 『病孤涙苦』の意識を刈り取った直後の影による追撃。その時に吐き出された血をドッペルは追撃の為に浴びてなお無視した。その判断が『病孤涙苦』に無視できないダメージを与えたが、今こうして膝をつくことになっているのはドッペルだ。

 

 

「“病槍”はただの囮。アレでその身体を覆う影を貫けないのは分かっていた。だが、私は『病孤涙苦』。病を感染させる方法など、山のようにある。体内で熟成させた病ならば!!その抵抗力をうち破り必ず感染させることなど造作もないッ!!!!」

 

 

 狂笑が響き渡る。誰もいない場所で、倒れたドッペルを助けられる者はいない。リルナもまたリョウから供給されていた“欲望”がじわじわと減ることに気付く。更には影の操作もおぼつかない。リルナが影を操れるのはあくまでリョウがその全権をリルナに預けているから。そのリョウが意識を失いかけているこの状況では出来なくなるのが当然だろう。

 

 

「ぐ、が…はぁ……はぁ……!!」

 

「さぁ!!その無様な姿を見せろ!!!私に縋れ!!!楽に死にたいのであればなぁ!!!!」

 

 

 影も身体も動かせず、視界は黒に染まり、リルナの声も聞こえなくなっていく。『病孤涙苦』の病はどんどんその感染力を上げていく。それはドッペルが弱っていることを抜いてもおかしいほどに急激に身体全体に広がる。

 

 

(音楽フェスに集まった人達の、“負の感情”が、コイツに集まってるのか……!!)

 

 

 天使達が抑え込んでいるイオラに感染し暴徒とした人間達。更にはその暴徒に襲われる恐怖に駆られる人間達。それらの“負の感情”が『病孤涙苦』に集まりその力を高めている。答えに辿り着いても成す術はない。ここから立ち上がるほどの力はドッペルには残っていない。

 

 エルが集めた天使達も人々に怪我をさせることを避ける為に大規模なことは出来ない。このままでいけばこの人工島はイオラに感染した者で埋め尽くされ『病孤涙苦』にこれ以上ない力を与えかねない。それが分かっていても指が多少動かせる程度しか抵抗できない。

 

 

(息、が、くる、しい……!!ま、ず、い……)

 

 

 『病孤涙苦』の狂笑がドッペルを嘲笑う。これが最期なのだと確信させた。後は意識を失ったドッペルを捕らえて『炎天渇奪』にでも与えればいい取引になると考えて。

 

 

“聞いてください。私の歌を”

 

 

 音楽フェスの会場となっていた人工島全てにその歌が流れ出した。

 

設定公開はどういう形にすべき?

  • 話しの中で自然にを頑張って欲しい
  • 設定だけで一話使ってほしい
  • 設定とかどうでもいいからストーリー書いて
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