ゼンゼロのキャラに好かれ過ぎた男の話   作:しいたvol.3

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お世話になっております。

感想・評価いただけると天からネタが降ってくる頻度が上がります。


レミエール・ダン④

男が瞬光とルミナスクエアへ出かけたおおよそ5日後。

 

ラミル…レミエールと別れたあと、なんとか瞬光への説明を完了し、男はまたいつも通りの日常を過ごしていた。

 

…いや、いつも通りではないかもしれない。

 

「う~ん…暇だね!」

 

一応説明すると、ここは男の住居である。鍵は男以外持っていない(以前に鍵を術法で開けた者はいたが)し、そもそも誰にもこの住居のことは話していないのだが…

 

__おい。何でここに居る、レミエール。

 

男の殺風景な部屋のソファには、レミエールが横たわっていた。もちろん男は彼女を家に上げた覚えもないし、インターホンを鳴らされた記憶もない。

 

「あ、やっほ~。相変わらず部屋は殺風景にしてるんだね、女の子を家に上げた時に嫌われちゃうよ?」

 

__どうやって入った?そもそもなんで我の家を知っている。

 

男はひとまず二人分の飲み物を出し、レミエールが座っているソファの向かいに机をはさんで座った。

 

男がレミエールに気になっていることを質問すると、レミエールはソファから起き上がって男のことをじっと見つめた。

 

「まぁまぁ落ち着いてよ。せっかく何十年ぶりにまともに話せるんだからさ」

 

レミエールは「それに」と付け加えると、机に乗り上げて無理やり男へと顔を近づけた。

 

「…君が関わった他の女の子のことも、ちゃんと聞かなきゃ、でしょ?」

 

「いっぱいいるよね?だって教え子ちゃん以外の匂いもするんだもん」

 

レミエールはさらに顔を近づけてくる。随分と整っている顔だが、心なしか眼に光がない。

 

__暑苦しい。それと、机の上に乗るな。

 

男はレミエールの額にデコピンをした。べち、と中々痛そうな音が響く。

 

「いっ!…たぁ~…!」

 

レミエールは額を抑えて自分が座っていたソファへと戻った。なにやら不満そうな目でこちらを見つめている。

 

「全く…せっかく二人きりだっていうのにこの扱いはないよね。そういうとこ、昔からの悪い癖だと思うな」

 

__余計なお世話だ。それに、不法侵入者に茶を出しているだけ相当な譲歩だろう。

 

「はいはい、感謝してますよ~。…それにしても、その鎧まだ着てたの?」

 

レミエールは男が来ている鎧を指さして言った。過去、この鎧は何度か破損を経験し、そしてその度に男はこの鎧を修復してきた。…その内の1回は彼女によるものだが。

 

__ああ、これだけはどうにも手放せぬ。

 

「…ふ~ん。まぁ、そのおかげで私も君だってすぐに分かったんだけどね。そんなに分かりやすい恰好をしてたら、尾行もらくらくだったよ?」

 

__なるほど、空から見られていたか。

 

「うん、正解♪地上からの気配には敏感だけど、ちゃんとお空も見なきゃダメだよね~。私が近くに居ないからそういうの、鈍っちゃったのかな?」

 

男は茶を啜った。そして一息つくと、椅子へと寄りかかる。

 

「じゃ、君のターンは終わり。今度は私のお願いに答えて?」

 

どうやら交互に”お願い”を繰り返していくようだ。これは男にとっても好都合だ。なにせ様々な疑問が解消されるチャンスであるのだから。

 

男は女性の知人たちのことを話した。雲嶽山の宗主、キツネのシリオン、ビデオ屋の店主、新エリー都で大人気の女性歌手、それと自身の教え子など…

 

おおよそ男が覚えている知人の名前と簡単な情報を話し終えると、レミエールは怪訝な顔をして男を睨んでいた。

 

「…多くない?しかも結構な有名人ばっかりだし…。まぁいいや」

 

「それじゃ、次は君のターン。さてさてお次は”お願い”かな?…あ、えっちな質問はちょっと困っちゃうかな?」

 

レミエールはからかうように男をニヤニヤして見つめている。男はそれを歯牙にもかけずに言った。

 

__お前の身体に興味がある。話せる範囲で俺に教えてもらえるか?

 

「…へ?」

 

男がそう言った瞬間、レミエールはしばらくの間、呆けた顔で口をパクパクさせていた。しかし、はっと我に返ったかと思うと、途端に顔を真っ赤にして。

 

「ちょ、ちょっと待って…本当に待って…」

 

と、顔を隠して男を制止するようにもう片方の手で「待った」のサインを出した。

自身の翼を使ってなるべく男からの視線をさえぎろうとしている。

 

__どうしたレミエール。やはり何か話せぬ事情があるのか?

 

「いや、話せないこともないけど…ほ、本当に聞きたいの?ベ、別にスリーサイズくらいなら…いいかな

 

そもそもなぜ百年以上生きているのか、なぜ見た目があの頃と一切変わっていないのか。この世界の人間は基本的に知能構造体でもなければ100年程度で死ぬのだ。

 

レミエールの様子を見るに、やはり相当な隠し事らしい。自分では推し量れないほどの事情があるのだと、男はそう思った。

 

__そうだな。話したくないなら強要はしないが…話してほしいとは思っている。我がレミエールを信用してのことだ。今も、我は君のことを「大切な存在」だと思っているからな。

 

「ひぃっ…」

 

レミエールからか細い悲鳴のようなものが漏れ出た。…葛藤があるのだろうか。

 

「…ずるいよ。そんなこと言われたら、何でも話したくなっちゃうじゃん…」

 

顔を真っ赤にして瞳を潤ませるレミエールは、改めて男の方を向き合って覚悟を決めた。

 

「うん、分かった。何でも答えてあげる。それで、何を聞きたいの?」

 

__そうだな、まずはレミエールがなぜあの頃のままここに居るのか、ということについて教えてもらいたい。我としては恐らく………だと思うのだが、どうだ?

 

男が自身の考察を交えつつレミエールへ質問すると、段々とレミエールの顔が冷めていく。

 

「…あ、ふーん。そっかぁ…。そういうことか、ふぅん…へぇ…」

 

先ほどまで覚悟を決めていたまっすぐな瞳はもはや無く、あるのはただの呆れと失望だけである。

 

それと同時にあたりの空気の温度がどんどんと下がっているのだが、男には知る由もなかった。

 

__レミエール?

 

「…やっぱりやーめた。じゃ、私帰るから」

 

__おい、さっきまでの発言はどうした。そしてその目はなんだ。

 

「別に?”大切な存在”ならそれくらい自分で察してくださ~い」

 

いつになく不機嫌な様子でレミエールはさっさと男の家から出て行ってしまった。

 

__???

 

男の頭の上にはいくつも疑問符が浮かんでいたが、そういえば今日の夕食の材料を買っていなかったことを思い出し、さっさとスーパーが閉まる前に買い出しに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ 100年くらい前のレミエールとヨロイさん

 

「…なんだこれは」

 

「見てわからない?羽ペンだよ羽ペン。君って結構手紙とか書くからさ。たまにはこういうのも風流かなって」

 

「そうか。綺麗な色だな。大事にさせてもらおう」

 

「気に入ってもらえたようで良かった。…失くさないでよ?」

 

「善処する」

 




・ヨロイさん
今でも羽ペンは持っている。壊れかけだから使ってないが。
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