ゼンゼロのキャラに好かれ過ぎた男の話   作:しいたvol.3

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古びた日記

××年△月〇日

 

今日から日記をつけることにした。

 

正式に雲嶽山の宗主となり、これから様々なことが起こる。

 

印象に残った日のことは書き記しておくことにしよう。

 

沢山の物を失ってしまったが、これからは私が雲嶽山を守っていかなければならない。

 

今日はひとまずホロウの被害で荒れた適当観を掃除することから始めた。

 

姉さまと共に掃除に丸一日かけて倒れたのを思い出す。

 

 

 

 

 

 

××年△月×日

 

あいつが適当観に来た。

 

あの日に何をしていたのかと聞いてみれば、どうやら旧都のほうでギリギリまで救助していたようだ。

 

「安定するまでは手伝わせてくれ」だと。

 

ともかく、人ひとり増えればやれることは多くなった。

 

あとは…あいつの作ってくれた飯が美味しかった。

 

 

 

 

 

××年?月#日

 

初めての弟子ができた。

 

名前は橘福福というらしい。トラのシリオンだ。

 

あいつは喜んでいた。

 

「この調子でお前を支えてくれる弟子がたくさんできるといいな」

 

…このまま弟子が増えたら、あいつは出て行ってしまうのだろうか。

 

 

 

 

 

××年#月&日

 

今日はあいつが珍しく不在だった。

 

なんでも、適当観の施設の維持のためにいろいろ動いているんだと。

 

生憎私と福福はそういう面に関しては素人だ。

 

経営面を支えてくれるあいつの存在は本当にありがたい。

 

今度なにか贈り物でもしてみるか。

 

あいつがいない食卓は、少しだけ寂しいような気がした。

 

 

 

(暫く同じような記述が続く)

 

 

 

×〇年△月×日

 

少しずつ経営も安定し、弟子も増えてきた。

 

私自身も仕事で適当観を空けることがちらほら出てきたが、あいつが居れば安心だろう。

 

…少し、あの日のことを思い出してしまった。

 

失った仲間や姉さまのことを思うと、時々怖くなる。

 

唯一あの日を私と生き延びたあいつが失われてしまったら、と。

 

恐らく、私は(ページの下半分は破られていて読めない)

 

 

 

 

×△年$月!日

 

最近弟子に入った葉瞬光が、青溟剣に選ばれてしまった。

 

ひとまず代償を抑えるための棺を作り、危険な任務からは遠ざけることにした。

 

しかし、もし再び青溟剣の代償を抑える術を見つけられたのなら、瞬光はきっと雲嶽山を支える柱になる。

 

…本音としては、あの剣は二度と振るわれない事が理想なのだが。

 

あいつには瞬光に剣を教えるよう頼んだ。

 

もし瞬光になにかがあっても抑えられるし、信頼も置ける。

瞬光もよく懐いていたから適任だろう。

 

 

 

 

×$年×月?日

 

とうとう剣棺が完成した。

 

この棺の扱いを瞬光に確かめさせるべく、山奥で修行をさせることにした。

 

しばらくべったりくっついていた瞬光はあいつと離れるのを嫌がったが、あいつに諭されてどうやら納得はしたようだ。

 

最近はあいつも衛非地区を離れて任務をすることが多くなった。

 

なんでもH.A.N.D.の調査に協力しているらしい。

 

最近「虚狩り」に任命された星見雅直々の依頼だ。

 

毎度思うが、あいつは人を誑しすぎではないだろうか。

 

 

 

 

(しばらく記述がない。空白のページが続く)

 

 

 

 

#〇年△月△日

 

ここ最近、あいつに任せる仕事がほとんどないことに気付いた。

 

瞬光は山奥で修行しているし、経営の面も他の弟子ができるようになった。

 

あいつとの約束もそろそろ期限なのだろうか…

 

客人として迎えていたが、今後は雲嶽山の一員として過ごすことを提案してみよう。

 

あいつならきっと受け入れてくれるはずだ。

 

…ついでに、あいつに私の想いも(ここから下は乱雑に引き裂かれている)

 

 

 

 

#〇年△月□日

 

あいつが適当観を出て行ってしまった。

 

どんな時よりも空虚な気持ちだ。

 

エーテルの操作は鈍るし、手の震えは止まらない。

 

「弟子たちに囲まれて幸せになれ」だと?

 

私がおまえ無しで幸せになれるわけがない。

 

一か月だ。一か月乗り越えれば私はあいつを連れ戻しに行ける時間が取れる。

 

あいつには責任を取らせなければならない。

 

私をここまで歪めた責任を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方ルミナスクエアにて。

 

男はルミナスクエアを思う存分楽しんでいた。

 

仕事や調査でヤヌス区に来ることは珍しくなかったが、こうして自分だけで楽しむのは数年ぶりの事だった。

 

仕事仲間であり古くから親交があるキツネのシリオンからはしばしば誘いを受けていたが、適当観で待つ仲間たちのことを思って断っていたのだ。

 

男は映画館で一日中映画を見て、帰りには好きなだけハンバーガーを貪った。

 

日々強さを求めている男であるが、真の強さには休息も必要であることを理解している。

 

「む?お前がここにいるのは珍しいな」

 

そろそろ宿に戻ろうとスクエアの大通りをぶらぶらと歩いていると、背後から声がかかった。

 

振り返ると、そこに居たのは長い黒髪にキツネ耳が特徴的なシリオンだった。

 

「久しいな。息災だったか?」

 

 

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