ゼンゼロのキャラに好かれ過ぎた男の話   作:しいたvol.3

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今後もよろしくお願いします。


雲嶽山③

六分街のある一角に、Random_Playというレンタルビデオ店があった。

 

六分街自体そこまで有名な街というわけでもなく、この店も至って平凡なビデオ屋である。

 

__失礼する。店長殿はいらっしゃるだろうか。

 

そんなビデオ屋に、ひときわ目立つ男が一人訪れていた。

 

「はいはーい、いらっしゃ…ってヨロイさん!?」

 

__こうして会うのは久しぶりか?リン。

 

「久しぶりなんてものじゃないよ!今日はどうしたの?」

 

__暫くヤヌス区に滞在しようと思っていてな。暇を持て余していたために来た次第である。

 

衛非地区を離れてからしばらく経ち、男は暇を持て余していた。

 

しかし、男には任務をこなしていた時の伝手が多くあった。

 

そのうちの一つが「パエトーン」。このRandom_Playの店長の兄妹二人である。

 

「なるほど…ま、ここに直接来るってことは依頼じゃないんでしょ?だったらおすすめの映画をいくつか選んどくね」

 

「あ、ポイントカードいる?何回もくればどんどんお得になる仕様だよ~」

 

男はリンに言われるがままカードを作り、ビデオを借りた。

 

男はあまり映画は見なかったが、この前映画館で見た映画が面白く少しハマっていた。

 

リンがビデオを詰め込み会計をしていると、ふと口を開いた。

 

「それにしても、衛非地区離れたんだ。ここに来るまでなにをしてたの?」

 

男は悩んだ。店長殿に友人のことを話しても良いのだろうか、と。

 

先週、スクエアを歩いていると気づけば隣にいたあの友人は、仮にも世間で「虚狩り」としてある意味アイドル的な人気を誇る人物なわけだ。

 

自分のような平凡な人間が彼女と修行(ほとんどが『異性とでえとをする修行』や『手を繋ぎながらいつでも戦えるようにする修行』だったが)をしていたなど、一笑に付す案件であろう。

 

しばし悩んだ末、詳しい情報は伏せておくことにした。

 

__友人と暫く街の散策をしていた。なかなか見ないものも多くあり新鮮であったぞ。

 

「なるほどね~。じゃあ、また今度私ともお出かけしよ!」

 

__もちろん。世俗のことはあまり知らぬ故、色々と教えてもらえるとありがたい。

 

「あ、そういえばヨロイさん。最近インターノットでヨロイさんの写真が出回ってるよ?」

 

…?

 

男は首を傾げた。

 

はて、自分が何かしてしまったのだろうか。

 

まぁ全身鎧の男は普通ではないのだが、それにしてもネットで出回るには弱いというか…地味な話題のはずである。

 

「えっとね…ほらこれ。これ、ヨロイさんじゃないの?」

 

頭の上に疑問符を浮かべている男を見かねて、リンは素早くスマホを操作して写真を見せてきた。

 

男はスマホの画面を注視した。

 

『「虚狩り」星見雅、謎の鎧の男と熱愛か:32.8M views』

 

男は絶句した。

 

「これ、大丈夫な奴?…なわけないか」

 

リンは男の様子を見て状況を把握したようだ。

 

男はすぐさま星見雅に電話をかけた。

 

プルルルル…

 

「あれ」

 

聞き間違いでなければ、店の外で着信音が鳴ったような気がした。

 

男がRandom_Playの入り口のドアを開けてみれば、そこには星見雅が当たり前のように立っていた。

 

「む、今しがた電話に出ようとしていたのだが…不要だったか」

 

…?

 

男は再び首を傾げた。

 

__何故ここに?

 

「お前に気付かれずに追跡する修行をしていたからだ」

 

もはや男は深いことは考えないことにした。

 

この子は昔からこういう子なのだと。

 

ひとまず、男は雅を店内に入れることにした。

 

「あ、雅さんだ。やっほー!」

 

「む、リンか。久しいな」

 

どうやらこの二人は知り合いだったようだ。

 

それなら話は早いと、男はリンと共に雅にネットのことについて話すことにした。

 

「成程。先日の修行中に写真を撮られていたと」

 

__そういう事だ。さっさと記事を消しに行くぞ。

 

「私は構わないぞ」

 

__…雅?

 

「構わないぞ」

 

男は雅に拳骨を落とした。ゴチンという中々痛そうな音が響いた。

 

「…むぅ。痛いな」

 

雅は頭を押さえて静かになった。

 

__お前が良くとも我が良くないのだ。宗一郎殿に我が殺されてしまうだろうが。

 

男はひとまず雅の電話経由で六課の副課長である月城さんに連絡し、記事を消してもらうよう計らった。

 

恐らく何とかなるらしい。大企業の力は凄まじいものである。

 

「うわ…雅さんに拳骨浴びせられる人なんてヨロイさんくらいじゃない?」

 

「そうだな。毎度数時間は頭がじんじんとする」

 

__我の拳骨くらい避けようと思えばいつでも避けれるだろうに。

 

「そう言って、避けたらすかさず二発目を全力で当てた男が何を言う」

 

リン達と冗談を言いつつ、男はなんとか記事を消せそうなことに安堵した。

 

まったく。自分はともかく雅に付いているファンにも勘違いの嵐が巻き起こるだろうに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あ゛ぁ?あの浮気者が…」

 

 

「…ふぅん。先生、私との約束破ったくせにそういう事しちゃうんだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、燃え盛る炎にさらなる油が投下されたことに、男は何も気づいていなかった。

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