ゼンゼロのキャラに好かれ過ぎた男の話   作:しいたvol.3

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持ってくれよ身体!日に3話投稿だッ!!!

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雲嶽山⑥   レミエール・ダン③

__いい筋だ。しかし、未だ成長の余地がある。常に姿勢を正しい状態で術法を使ってみるといい、今は肩に余計な力の漏れがある。

 

「はい!ありがとうございます!」

 

ラミルと名乗る女性と出会ってから数日、男は仕事として雲嶽山の弟子たちの指導を行っていた。

 

日々努力を積み重ね、希望をもって鍛錬に励む弟子たちを見ていると、雑念が振り払われていくような感覚がある。

 

男は術法を使用できないが、彼らが操るエーテルの流れくらいは多少理解できる。

 

とはいえメインで教えるのは体術だ。徒手、剣術などは男の得意分野。ありとあらゆる強敵たちをその身と剣のみで切り伏せてきた男の技術は、現代の虚狩り達にも引けを取らない。

 

そして日が暮れるころ、修行を終えて自宅へと戻ろうとしていた時、適当観の門が開いた。

 

「あ、先生!」

 

その声の主は男の姿を見つけると嬉しそうに男のもとへと走って近づいてきた。

 

__どうした、瞬光。

 

それは男の教え子である葉瞬光だった。栗色の髪が夕焼けに良く映えている。

男の目の前まで来た瞬光は、なにやらモジモジとしている。

 

「そ、その…先生。明日って暇ですか?」

 

どうやら明日の予定を聞こうとしていたらしい。明日は指導の予定もないし、いつも通り一日中修行をして過ごそうとしていた…要は暇だ。

 

__うむ。特に予定はないな。

 

「よし、よしっ…!あ、あの!それだったら、私と…ルミナスクエアでお出かけしませんか?」

 

なんと、教え子から外出の誘いをされてしまった。最近瞬光は積極的に帰ってきて男と話すようおになった(主に”あの”一件以来だが)ため、あまり意外な事ではないのだが。

 

__我でよければ、是非とも。

 

「ほ、本当ですか!?…本当ですよね?」

 

尻尾をぶんぶんと振りながら瞬光は興奮気味に聞き返してくる。まぁ、多分新作のスイーツとかを食べに行きたいのだろう。

 

最近の女子の考えていることは男にはよく分からないが、友人のキツネのシリオンはよくそういうことを言っていたような気がする。

 

彼女も年ごろの女の子だ。青溟剣の件に振り回されて修行ばかりの日々にも退屈するだろう。

 

小さいころから修行を付けてきた親心として、荷物持ちでもなんでも付き合ってやろうという気持ちで男は瞬光と詳細な日時を取り決めた。

 

…そういえば、鎧は着ていったままの方が良いのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、先生。あ、あ~ん…」

 

 

目の前には、私服を身に纏った教え子。

それも顔を真っ赤にしながらこちらへスプーンを差し出している。

 

大変可愛らしいことだが、デカい鎧の兜の隙間へと恥ずかしがりながらあ~んをしようとしている美少女と言う絵面があまりにも異質すぎる。

 

実際、周りの客も食べる手を止めてこちらをちらちらと見ている。

 

__うむ、美味だ。

 

「良かったぁ…。あ、先生。私にもしてくれませんか?」

 

元々今日は教え子のお願いを何でもしてやろうと決めていた男は、何の躊躇もなく自身が食べていたスイーツを瞬光へ差し出した。

 

「あむ…美味しいですね!…あれ、でもこれって間接…~~っ!」

 

にこにことスイーツを食べていたのも束の間、瞬光は先よりもさらに顔を赤くしてしまった。

 

そのままパンクして動かなくなってしまったので、男はさっさと瞬光を連れて会計を済ませ、ベンチで瞬光が落ち着くまで休憩することにした。

 

パンクした瞬光は「あっ、あっ…あぅ…」とか「わた、私と先生が…」とか喋っていたが、何がそんなにおかしかったのだろうか。

 

絵面は確かにおかしかったが、ただ美味しいものを共有したくらいである。

 

年頃の女子のことはよくわからんと頭を悩ませながら、男は瞬光が正気を取り戻すまでタイプのお姉さんを探すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生、どんな映画がいいですか?」

 

少したって元に戻った瞬光からの次の要求は「映画を観たい」だった。

男は最近映画を観始めたのだが、巨大なスクリーンで観る映画というものは壮観である。

 

しかし、誰かと映画を観るというのは初の事である。

さて一体どんな映画を観たものかと頭を悩ませていると、瞬光がそれを見て話した。

 

「先生が良かったら…私はこれがいいんですけど」

 

瞬光が恥ずかしそうに指さした先には、最近公開されたばかりの恋愛映画があった。

 

年頃の女子らしい(多分)センスだ。男は童貞だが、他者の恋愛を見て自然と感情を動かされるくらいには感情的である。

 

じゃあそれにしようとポンとポップコーンとコーラ、それとチケットを購入しシアターへと入った。

 

来た時間帯がちょうど上映開始時刻の15分前ということもあって、なかなか人がいる。先ほどチケットを購入した時も思ったが、どうやら席がほとんど埋まるほど人が入るらしい。

 

少しすると、シアター内の席が満席になった。空いているのは瞬光が居ない方の我の隣くらいである。…いや、確かに我が一般客だったらこんなやつの隣願い下げだが。

 

しかし開始5分ほど前になった時、男の隣に座るものが居た。

 

男は少し瞬光の方へと寄り、新たに座る者へと視線を向けた。

 

ピンクの髪に黒を基調とした服装。それと…背中の一対の翼。

 

「…奇遇だね?君とこんなところで会うなんて。もしかして…運命だったり」

 

それは少し前に六分街で出会ったラミルだった。

 

「先生?知り合いですか?」

 

「あ、お連れさんかな?初めまして、私はラミル。よろしくね?」

 

なんとも奇妙な縁もあるものだと男が驚いていると、男は気づいた。

 

…狭い!

 

そもそも男が相当デカい筋肉モリモリ鎧男なのに、ラミルの背中には翼が生えている。どう考えてもこの満員の映画館の中では窮屈だろう。

 

それをラミルも察したのか、ふふっと笑うと翼を男の背中にまわして包むようにして言った。

 

「あ、ちょっと狭いからこうさせてもらうね?」

 

男の腕に何か柔らかいものが当たる感触がした。男はギギギと言う音が聞こえそうなほどぎこちなく首を横へ向け、ラミルの方へと視線を送った。

 

その先にはただ、いたずらをする子供のように笑みを浮かべるラミルがいるだけだったが。

 

「ふふっ…案外悪くないでしょ?ま、お互い場所取るし、おあいこだよね」

 

それを見た瞬光は一瞬ぽかんとしていたが、すぐに

 

「あっ、あなた先生に何して…!」

 

と少し控えめな声で抗議を始めた。しかし、そのタイミングで映画の開始時刻となってしまい、瞬光は話すのをやめた。

 

…映画の感想としては、年上の男性とその教え子との禁断の恋を描いたラブロマンスだった。

 

確かに期待されていただけあって面白かったのだが、それよりも男の意識は両脇に座っている教え子と知人に吸われていた。

 

上映中、ラミルは翼でグイグイと自分の方へと寄せてくる。それに対して瞬光は、その翼の間を通して我の腕に抱き着く。

 

男は童貞である。この両脇からやわらかいモノを当てられている状態は非常に心臓に悪い状況であるのだ。

 

しかし、男は100年以上生きてきた歴戦の童貞である。持ち前の鉄仮面(ガチ)と強靭な精神性でそれをエンドロールまで捌き切ることに成功した。

 

最近の女子マジでコワイ。平気でボディタッチするとか、世の男たちはこれをどうやって耐えているのだろうか。男は訝しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、エンドロールが終わったあと、男たちは映画館を出た。

 

「ん~、結構面白かったね。でもあんまり終わり方は好きじゃなかったかな?」

 

「…先生、この人とはどういう関係ですか?」

 

呑気に映画の感想を語っているラミルと、こちらへと不満げな目を向ける瞬光。

 

男が瞬光に「以前会ったゲーム友達だ」と説明すると、ラミルは不敵な笑みを浮かべて言った。

 

「私はもっと”深い”関係だと思ってたんだけどなぁ…私悲しいよ」

 

「なっ…!先生!」

 

__ラミル殿、あまり我の教え子をからかうのは辞めていただきたい。

 

「あははっ、ごめんごめん。教え子ちゃんにはちょっとジョークが分かりにくかったかな?」

 

彼女はひとしきり笑うと、「じゃ、私はもう行くから」と言って背を向けた。

 

「二人の時間を邪魔しちゃってごめんね。…ああ、鎧の君、最後にちょっとこっち来てもらえる?」

 

言われた通りに瞬光から少し離れた場所へ着いていくと、ラミルは何か意を決したような顔をしてこちらへと近づいてきた。

 

一瞬心地のいい香りが鼻を通り抜けたのもつかの間、男の首へと剣が一本迫ってきていた。

 

ガンっ!

 

男は咄嗟に自身の手甲でその刃を受けた。…そして、同時に驚きを隠せなかった。

 

その剣は、男が自ら「あの場所」へと置いていったかつて自身の片割れともいえる剣だったからだ。

 

あの場所は既に旧都陥落によって立ち入りは不可能。百年前ですら一般人はおろか軍人でも立ち寄らなかった…とすれば。

 

__やはり、我の感覚は正しかったか。レミエール。

 

「元気にしてた?その様子だと、やっぱり君は今も鍛錬バカみたいだね。鎧の騎士様」

 

彼女はふっと剣の力を緩めると、鞘に戻して再びふわっとこちらへ近づいてきた。

また襲撃かと思い咄嗟に力を込めたが、彼女はその手を取り上げて男のもとで囁いた。

 

「…感動の再会と行きたいところだけど、君の大事な「教え子ちゃん」が可哀そうだし…ここまでにしよっか。じゃ、”またね”」

 

そう言うと、彼女は足早にその場を去ってしまった。

 

 

男は顎に手をあて、少しだけ悩んだ。

 

なぜ生きているのか。そしてなぜ、今更自分にコンタクトを取ったのか。

 

尽きぬ悩みが男の頭を支配していた。

 

「先生?」

 

男は咄嗟に振り返った。それは先ほどのレミエールの斬撃とは比にならない”黒い”感情を感じたからである。

 

そこには、顔だけに満面の笑みを浮かべた瞬光が立っていた。しかし、纏うオーラは完全に闇のそれであった。

 

「『ただのゲーム友達』さんと抱き合ったり、耳元で囁かれたり…どういうことか説明してもらえますよね?先生?」

 

男はひとまず、悩みを置いて教え子への説明に頭を悩ませるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ 瞬光とスイーツを分け合う様子を見ていた時のレミエール

 

「…は?は?なんであ~んとかしちゃってるの?え?なんで?」

 

「うわ、教え子ちゃん真っ赤になってダウンしてる…そりゃそうか。鈍感だもんね、あいつ」

 

「…イライラする。私はずっと前からあいつを独占しようと思ってたのに」

 

「でも、私にはこの剣と鎧の欠片があるもんね。ドロップ品はちゃんとコレクションしておかなくっちゃ!」

 

 

 

  • レミエール
  • 葉瞬光
  • 星見雅
  • アストラ
  • イヴリン
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