異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
第1話 初対面のおっさんに連れて行かれた狩り場が異常に稼げるんだが
17……肉2、皮1。はずれ。
18……肉1、皮1。はずれ。
19……肉3。はずれ。
20匹目——
「あたりっ! おっさん、出たぞ! ドネタンだ!」
その日、僕はいつものように狩り場で金策に明け暮れていた。
……いや、正確には違う。
今日初めて会ったおっさんに連れてこられて、効率がいい(らしい)場所で、ドブネズミ狩りをしている最中だ。
レアドロップ狙いで狩り続け、ようやく20匹目。
そこで、ついにお目当てを引き当てた。
通称ドネタン。
正式には「ドブネズミの短剣」。
1本あたり約1kg(1,000g)で取引される。
初心者から中級者まで幅広く使われている装備で、
たとえ武器として壊れても、下級錬金素材として再利用できる。
つまり、無駄がない。
「なっ……言った通りだろ、坊主」
おっさんがニヤつく。
「一階東のドブネズミじゃなくてな、二階西。このエリアのやつはレアドロ率が少しだけ高いんだ」
「……でもドロップ渋いな。俺の運か……いや、坊主の運か?」
ぶつぶつと計算しながら続ける。
「本当なら、あと4本くらいは出ててもいいはずなんだがな……」
「それと忘れるなよ」
ちらりとこちらを見る。
「今日の稼ぎはきっちりと半分こだからな」
周囲をきょろきょろ警戒しながらも、どこか誇らしげだった。
「なあ……こんなの僕に教えてよかったのかよ」
僕はドネタンをアイテム袋にしまいながら言う。
「初心者には、かなりうまい狩り場だろ……」
「気にするな、坊主」
おっさんは、ぽつりとつぶやいた。
「これでわかったんだ。俺は……この世界を知ってる」
……なんだそれ。
急に吟遊詩人みたいなこと言い出したぞ。
よく見ると、ほんの少しだけ目が潤んでいるようにも見えた。
「今日はもう切り上げるか?」
おっさんが振り返る。
「それとも、もう少し粘るか」
即答だった。
ここまでの時給、明らかにおかしい。
今までの僕の稼ぎを、余裕で超えている。
やめる理由がない。
「もう少しやろう!」
思わず声が弾む。
「今日は僕がおごるよ、おっさん!」
――その日は、いつもより遅くまで狩り続けた。
結果はこうだ。
ドブネズミ:約50匹。
ドロップは——
肉72
皮46
ドネタン3
さすがに全部は持ちきれず、肉と皮はほとんど捨てた。
だが、それでも。
ドネタンが3本。
……3kg確定。
そう思った瞬間、妙な不安がこみ上げてくる。
このアイテム袋、盗まれたりしないよな……?
完全に舞い上がっていた。
この狩り場を知っていれば、もう金には困らない。
欲しかった新作の赤いコート風の防具。
僕には少し大きめの盾。
それに——店で見かけた、あの一目見てきになった大剣。
まだ売れてなければいいけど。
……全部、手に入る気がしていた。
帰り道。
拠点の町へ向かいながら、おっさんがふいに聞いてきた。
「なあ坊主。初心者って、一回の稼ぎどれくらいだ?」
「僕みたいななりたてなら……400gいけばいい方かな」
少し考えて答える。
「ドネタンみたいなのが出た日は別だけどさ。
ギルドの依頼で薬草採取とかなら、300gくらいが相場だと思う」
なんで今さらそんなこと聞くんだ?
そう思いつつも、正直に答えた。
「なるほどな……」
おっさんは小さくうなずく。
「じゃあ上級者なら……一回で100kgくらいか?」
「は!? 100k!?」
思わず声が裏返る。
そんな金額、聞いたこともない。
見たこともない。
「わからないよ……上級者の知り合いいないし……」
……でも。
いつか、そこまで僕も行けるんだろうか。
今の僕には、まだ想像もつかない。
そんな話をしているうちに、町に着いた。
僕の拠点の町だ。
中規模の町で、村よりは人が多いが、まだ田舎寄りだ。
それでも、僕にとっては一番大きな場所だった。
これ以上人が増えたらどうなるんだろうな。
ちょっと息苦しそうだ。
「やあ、冒険少年!」
門番の兵士さんが声をかけてきた。
「今日は遅かったな。心配したぞ」
「こんばんは!」
軽く頭を下げる。
「ドブネズミ狩りしてたら遅くなっちゃって。入ってもいいですか?」
いつも通り、簡単な確認。
ギルドカードを見せて、町へ入る。
「そちらの方も、カードの提示を」
兵士の視線がおっさんへ向く。
だが、おっさんは落ち着いた様子で答えた。
「田舎の小さな村から来たばかりでな。まだギルドカードは持ってない。これからギルドで作るところだ」
よどみのない説明だった。
……え?
ギルドカード持ってないのか?
てっきりベテランだと思ってたんだけど。
「そうでしたか」
兵士はうなずく。
「では、早めにギルドで身分証を作成してください。次回からは提示をお願いします」
問題なく通された。
――ということで。
夕飯の前に、ギルドへ向かうことになった。
ドロップ品の売却と、
おっさんのギルドカード作成のために。