異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜 作:raixip
朝。
僕は広場へ向かって歩いていた。
今日は絶対にツルハシを買う。
採掘は待ってくれない。
「おっさん。」
「なんだ。」
「現金が必要なんだよね?」
「ああ。」
「じゃあM資金券を現金に替えればいい。」
「……誰が替えてくれる?」
「うーん。」
その答えは、広場へ着いた瞬間に見つかった。
M資金両替所 本日開店
一口百G券 → 現金九十五G
安心・安全・即日交換
「あるじゃん!」
僕は駆け寄った。
「すみません!」
「いらっしゃいませ。」
受付の青年は満面の笑みだった。
「現金に替えられるんですか!」
「もちろんです。」
「百Gが百Gに?」
「九十五Gになります。」
「減ってる!」
青年はにこやかに頷く。
「手数料です。」
まただ。
また手数料だった。
「なんで!?」
「現金をご用意しておりますので。」
「でも僕のお金だよ?」
「ええ。」
「じゃあ百Gください!」
「九十五Gです。」
「五Gは?」
「手数料です。」
おっさんが小さく笑う。
「始まったな。」
「何が!?」
「信用商売だ。」
僕は信用という言葉が少し嫌いになってきた。
そこへ。
商人が大きな袋を抱えてやって来た。
「全部替えてくれ。」
「百二十口ですね。」
「はい。」
青年は慣れた手つきで帳簿を書く。
銀貨。
銅貨。
金貨。
次々と袋へ詰めていく。
僕は目を丸くした。
「そんなに!」
商人は笑う。
「安いもんだ。」
「五Gも取られるよ?」
「運ぶ手間を考えれば安い。」
「そうなの?」
「荷馬車一台減る。」
僕にはまだ分からなかった。
昼頃。
両替所の前には長蛇の列ができていた。
「次の方。」
「はい。」
「百口ですね。」
「お願いします。」
「手数料五百Gいただきます。」
「毎度。」
誰も文句を言わない。
むしろ笑顔だった。
僕だけが驚いていた。
「みんな気にならないの?」
おばあさんが笑う。
「便利だからねぇ。」
「でも減るよ?」
「歩くより楽だよ。」
なんだか。
世界中が僕より大人だった。
その頃。
裏社会。
「新人。」
「はい!」
マクダフは帳簿を書いていた。
「今日の利益。」
部下が計算する。
「手数料だけで金貨三枚。」
「すご!」
親分は饅頭を食べながら頷く。
「だから言ったろ。」
「偽札なんか作るより儲かる。」
マクダフは震えた。
「紙は刷らない。」
「刷らない。」
「盗まない。」
「盗まない。」
「なのに金貨三枚。」
「だから商売なんだ。」
マクダフの目が輝く。
「僕もやります!」
「駄目。」
「え?」
「お前は欲張る。」
「……。」
「まずは帳簿を覚えろ。」
部下の一言で終わった。
一方。
中立共栄大金庫。
「支店長。」
「なんだ。」
「町にM資金両替所ができました。」
「……誰が許可した。」
「民間です。」
支店長は椅子から立ち上がる。
「銀行の仕事だぞ。」
「ですが。」
部下は報告書をめくる。
「銀行より手数料が安いようです。」
「いくらだ。」
「五%です。」
支店長は固まる。
「……安い。」
部下も頷く。
「そのため利用者が増えています。」
「笑えん。」
支店長は窓の外を見た。
「少年は鉱山を掘ろうとしていただけだ。」
「はい。」
「なぜ銀行業が生まれる。」
誰にも答えられなかった。
夕方。
僕は九十五Gを握りしめていた。
「あと少し足りない。」
ツルハシまで、あと少し。
そこへ。
「ジョン!」
昨日の冒険者が走ってきた。
「また参加する!」
「ありがとう!」
百Gが増える。
でも。
現金は増えない。
僕は首をかしげた。
「これ……いつ掘れるんだろう。」
おっさんは空を見上げる。
「ジョン。」
「なに?」
「お前の鉱山より先に。」
「うん。」
「町が完成しそうだ。」
意味は分からなかった。
でも。
広場には今日も新しい看板が立てられていた。
『M資金対応店 募集中』
僕は頭を抱えた。
「違うんだけどなぁ……。」
採掘は。
まだ一歩も始まっていなかった。
【あとがき:現在のステータス】
【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13
■生産系
料理スキル 13
■その他
鑑定スキル 0.3
【所持金】
171g(銀行預け金:250g(銅貨2枚、半銅貨5枚))
M資金券を現金へ替えるには手数料が必要。
財布は軽いまま。
ジョン
「百Gが九十五Gになった……。」
おっさん
「便利には値段が付く。」
【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎(裏社会で帳簿の勉強中)
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
立場:保護対象
詳細:不明
・キュ太郎
(今日はずっと寝ていた。)
【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)
詳細:非公開/高リスク
ジョン
「そろそろ結果が知りたい!」
銀行
「まずは手数料のご説明から。」
ジョン
「説明だけ増えていく……。」
【M資金】
名称:Mining資金
一口:100G
現在の参加者:約180口
現在の用途
ジョン:鉱山採掘資金
商人:決済
両替屋:現金化
町人:貯蓄
ジョン
「みんな採掘もしようよ!」
町の人たち
「そのうちね。」
【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)
【本日の収支】
収入
M資金出資 +8,000g(管理資金)
支出
両替手数料 −5G
※採掘資金は順調に増加中。しかしツルハシはまだ買えていない。
ジョンの一言
「明日こそ、本当にツルハシを買うぞ!」