異世界金策 一攫千金!〜初心者冒険者必見?転移おっさんの怪しい儲け話Readme.exe〜   作:raixip

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第103話 銀行の新サービス

翌朝。

 

広場へ行くと、いつもと違う人だかりができていた。

 

「なんだろう?」

 

僕は背伸びをする。

 

人の隙間から見えたのは、大きな看板だった。

 

中立共栄大金庫 臨時窓口

 

M資金券お預かりいたします。

 

盗難・紛失保証付き。

 

「……え?」

 

思わず立ち止まる。

 

「おっさん。」

 

「見えてる。」

 

「なんで銀行が?」

 

「そりゃ商売だからだ。」

 

窓口では商人たちが列を作っていた。

 

「百G券五十枚。」

 

「お預かりします。」

 

「千G券十枚。」

 

「ありがとうございます。」

 

銀行員は一枚一枚丁寧に数えていく。

 

そして。

 

紙を一枚渡した。

 

M資金預り証

 

預り枚数 二十口

 

預り者 〇〇商会

 

「券を返さないの?」

 

僕は思わず聞いた。

 

銀行員が笑顔で答える。

 

「こちらをお持ちいただければ、いつでもお返しできます。」

 

「じゃあ券は?」

 

「銀行で大切に保管します。」

 

「なるほど!」

 

安全なんだ。

 

いいことじゃないか。

 

僕は感心した。

 

横で、おっさんだけが腕を組む。

 

「……なるほどじゃない。」

 

「え?」

 

「まあ、そのうち分かる。」

 

また意味深なことを言う。

 

昼。

 

パン屋のおじさんが銀行へ来た。

 

「昨日の券を預けたい。」

 

「ありがとうございます。」

 

代わりに預り証を受け取る。

 

店を出た途端。

 

八百屋が声を掛けた。

 

「その預り証で払ってくれ。」

 

「これで?」

 

「銀行が預かってるなら安心だ。」

 

「そうだな。」

 

二人は普通に取引を終えた。

 

僕は遠くから見ていて首をかしげた。

 

「あれ?」

 

「どうした。」

 

「券じゃなくてもいいの?」

 

おっさんはため息をつく。

 

「もう券ですらない。」

 

「?」

 

「信用だけが動き始めた。」

 

難しい話だった。

 

その頃。

 

銀行の応接室。

 

支店長は満足そうに帳簿を閉じた。

 

「預り枚数は。」

 

「三百四十口です。」

 

「順調だ。」

 

部下が小さく笑う。

 

「町の商人は『銀行に預けてあるから安心』と。」

 

「その通りだ。」

 

支店長は窓の外を見た。

 

「信用とは、安心を売る商売だ。」

 

部下は一つ気になることを口にする。

 

「しかし。」

 

「何だ。」

 

「発行者であるジョンは、一枚も預けておりません。」

 

支店長は少し考えた。

 

「……あの少年は。」

 

「はい。」

 

「自分で発行した券を、自分で信用している。」

 

部下は吹き出しそうになる。

 

「だから銀行を使わない。」

 

「そういうことだ。」

 

一方。

 

裏社会。

 

「新人。」

 

「はい!」

 

マクダフは今日も帳簿を書いていた。

 

部下が紙を見せる。

 

「銀行が預り証を始めた。」

 

「紙が紙になるんですか?」

 

「そうだ。」

 

「意味分かんねぇ。」

 

親分が笑う。

 

「最初はみんなそう言う。」

 

「じゃあ儲かる?」

 

「儲かる。」

 

「やっぱり意味分かんねぇ。」

 

裏社会の全員が笑った。

 

夕方。

 

僕は今日集まった出資を数えていた。

 

「百G。」

 

「五百G。」

 

「千G。」

 

高額券のおかげで数える時間が減った。

 

「助かるなぁ。」

 

でも。

 

見積書を見る。

 

必要資金 金貨二十八枚

 

まだ遠い。

 

「あと二百六十口……じゃ足りない。」

 

「もっと高額の出資者が必要だ。」

 

おっさんが言う。

 

「でも。」

 

僕は笑う。

 

「一口百Gでも参加できるのは、このままにしたい。」

 

「子どもでも。」

 

「初心者冒険者でも。」

 

「町のみんなでも。」

 

「誰でも鉱山に参加できるように。」

 

おっさんは少しだけ笑った。

 

「……そこだけは、お前らしい。」

 

その会話を。

 

商人ギルドの職員が静かに聞いていた。

 

「なるほど……。」

 

翌日。

 

商人ギルドは新しい貼り紙を出す。

 

『M資金 大口出資相談受付』

 

僕は首をかしげる。

 

「相談?」

 

誰も。

 

採掘の相談はしなかった。




【あとがき:現在のステータス】

【スキル】
■武器系
刀剣スキル 20
盾スキル 3
戦闘技術スキル 13

■生産系
料理スキル 13

■その他
鑑定スキル 0.3

【所持金】
171G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))
財布は相変わらず軽い。

ジョン
「採掘まで遠いなぁ。」
おっさん
「だから鉱山なんだ。」

【所持アイテム】
・???のスクロール 6枚
・奴隷のマクダフの野郎(裏社会で帳簿修行中)
・武器破損した剣
・???の指輪(バンステ金策で入手)
・ゴブリン(テイム)
・ケムトレイル群
 立場:保護対象
 詳細:不明
・キュ太郎
(今日はジョンの肩で気持ちよさそうに寝ていた。)

【M資金】
目的:鉱山採掘資金
券種
・100G券
・500G券
・1,000G券
・5,000G券

現在の管理資金:増加中

※ジョン個人の財産ではありません。
※町では銀行の「預り証」まで流通し始めました。

ジョン
「銀行が預かってくれるなら安心だね。」
おっさん
「安心と話がややこしくなるのは、だいたい一緒だ。」

【投資・契約】
・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)
元本:金貨10枚
状態:運用中
想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)

詳細:非公開/高リスク

ジョン
「投資も採掘も、どっちも成功するといいな。」
銀行
「契約内容につき回答は差し控えます。」
ジョン
「一回くらい教えてくれてもいいのに。」

【装備品】
・骨護札の首かざり
・水トカゲの手袋(呪)

【本日の収支】
収入
M資金出資 増加(管理資金)

支出
なし

※ジョン個人の所持金に変動はありません。

ジョンの一言
「少しずつでもいい。みんなで鉱山を掘ろう!」
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